第288話 首都決戦編 ~えっ? 英気を養うですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「美味しかったよ、ハトリ。 次の機会があれば、また頼めるかな?」
「よゆーなのー!」
ウサギ料理で英気を養う幼女、ハイガンベイナ8歳です。
「偶にはこんな夕食も悪くないな」
「ハトリは狩りが得意なのー!」
「そうですねぇ、こんな晩は思わず幼女を襲いたくなりますねぇ」
「襲って来るなよ!」
「それは約束出来無い話ですぅ」
「ちっ!」
もうすぐ首都決戦が待っているってのに、緊張感の無い連中だな。 だが、気分転換出来た事もあって状態は頗る良いと言える。
「なぁ、ハトリ。 気になったんだが、どうやってウサギをそんなに狩って来たんだ? ウサギってすばしっこいだろ?」
「んとねー、気配を消して糸でグルグルってするのー」
「ハトリも気配を消すことが出来るのか?」
「よゆーなのー!」
そう言うとハトリは気配を消していく。 なる程、蜘蛛ってのは元々気配を消すのが得意なのかも知れないな。 これならハトリには正面突破とかでは無く、アサシンみたいなポジションについて貰った方が良いのかも知れない。
「なぁハトリ、今度首都を攻めるときには私のバックアップについて貰えないか?」
「バックアップなのー?」
「そう、今の私って威力に振り回されて狙いが正確じゃぁ無いんだ。 だから討ち漏らしとかがあった場合に対応して貰えたら有難いなぁとか思って」
「やるー! やるのー!」
「それじゃぁ私はぁ、ベイナ様のぉ、凝り固まったお尻を揉み拉く係がやりたいですぅ」
「そんなポジションは無ぇよっ!」
まぁヘルは自由に行動させておいても、何とかしてくれる安心感はあるんだよな。 周りが良く見えているって言うか。
「しかし今回の件で思い知らされた気分だよ。 待ち伏せされていた事もそうだけど、それぞれが役割を持って行動している感じなんだよな。 下手な人間の軍勢よりも梃子摺りそうな予感がするんだ」
「まぁベイナ様よりはぁ、頭を使っている感じでしたねぇ」
「なぁヘル。 お前の中の私はどんなイメージなんだ?」
「そうですねぇ、残念+残念×残念ってイメージでしょうかぁ?」
「酷くね?」
そんなに私って残念な娘みたいに見えるんだろうか? 確かに後先考えずに突っ込んで行っている実感はあるが、なんとも釈然としないな。
「私をおバカな娘みたいに言うのは止めてもらおうか」
「じゃぁ都市攻略の作戦とかあるんですかぁ?」
「勿論あるぞ。 まずある程度まで、街まで近付くだろ?」
「はぁ」
「そこでドラゴンブレスを放ってから一時退却」
「へぇ、で、その後はどうするんですかぁ?」
「街が復旧するにを待って、もう一度ドラゴンブレス攻撃を放つ」
「それに何の意味があるんですかぁ?」
「繰り返す事に意味があるんだよ。 そうして相手が十分に疲弊した頃を見計らって突入する」
「わぁ凄い計画ですぅ。 絵に描いた餅って表現がぴったりな気がしますぅ」
「いやぁ、それほどでも。 ははははは~っ!」
「やっぱり残念ですぅ」
「なぬぅ、何処に問題があるってんだよ」
「相手が何も対策を取らない事が前提になっている所がですぅ」
「そん時はアレだ。 臨機応変ってヤツだ」
「それっていつもと何が違うんですかぁ?」
「うぐっ!」
いや、いつも普通に都市の攻略方法とかを考えて行動しているんだよ。 でも予定と違った行動を相手が取るモノだから仕方なくそれに合わせているだけで…。
「結局は出た所勝負なだけな気がしますぅ」
「うぐぐっ!」
そうか、私は出た所勝負以外の方法では戦っていなかったのか。
「気が付くのが遅すぎませんかぁ?」
「スミマセン」
どうやら私は歴史に名を残す様な戦略家にはなれそうになかったらしい。
「こう言うのも厚顔無恥って言うのでしょうかぁ?」
「傷口に塩を塗り込むのは止めて貰えないかな?」
「本当にどこまでも残念ですぅ」
「ぐぬぬっ」
そんな事言ったって、そうそう簡単に作戦なんて思い付かない。いや、言葉だけは知っているんだけどね。 火攻めとか水攻めとか兵糧攻めとか。
だからと言って具体的に何をすれば良いのか思い付かないのだ。 この世界の都市ってレンガ造りが多いから、火攻めって言ったってナパーム弾とか無いと無理っぽいし。
となると水攻め? 雨とか降らす? 出来そうではあるんだけど、雨を降らせたから何だって気もするし、雷系魔術とか使ったらこっちまで感電しそうで嫌なんだよね。
残るは兵糧攻めだけど、アレは普通、周囲を包囲する軍勢とかが無ければ実現不可能なワケで却下。
ほらね、ロクな作戦なんて残って無いじゃん。 だから臨機応変で戦うしか残っていないんだよ。
こっちは少数なんだからテロ以外で相手に被害を負わせる方法なんて無いんだけど、街に紛れ込む事すら出来ないからなぁ。
残るはやっぱり正面突破か。
「ベイナ様ぁ、下手な考え休むに似たりって言葉、知ってますぅ?」
「そっ、それぐらい知ってるやい!」
「無理に考えると知恵熱が出ますよぉ」
「おバカ認定、確定なのかっ!?」
ぐぬぬぬぬぅ。 だって元々3人だけの攻略なんて無理筋なんだから、正面突破でも良いじゃん!
「だったらヘルなら良い作戦とかあるのかよっ!」
「そうですねぇ。 私が人間の都市を落とす場合は毒とか疫病とかを使っていたんですけどぉ」
「そうか、毒ガス攻撃って方法もあるのか!」
何だか大量殺戮兵器って言葉が私の頭に浮かんで消えた。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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新作:
VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~
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