表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
282/300

第282話 首都決戦編 ~えっ? 待ち伏せですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「ママっ!」

「あぁ、分かっている」

「嫌な感じですぅ」


 人っ子一人いない街を歩く幼女、ハイガンベイナ8歳です。


 いや、人間の気配どころか小動物の気配すら感じられない街なのだが、何処か遠くからの視線だけは感じるのだ。 実に不愉快な気分になる街だ。


「ベイナ樣ぁ、アレをご覧下さいぃ」

「ん? あぁ、アレか。 実に嫌味だよなぁ」

「悪趣味なのー」


 ここからでは良く見えない距離にあるのだが、干からびた人間が街の中央付近にはりつけにされていた。 そう言えば、昆虫の中には体液だけを吸収する奴もいたんだっけか。


 まるで、「お前たちもこうしてやるぞ」と言わんばかりの方法で糸のようなモノでで空中に安置にされている。


「ヤッパリ罠だったりするんだろうか?」

「それでも行くつもりなのですよねぇ」

「まぁな」


 もう恨みを買っている事は把握しているんだ。 罠であれ何であれ、この後には確実に戦いになるのだろう。 それでも彼らからのメッセージだ。 十分に確認したい。


 それは街の広場とも言うべき中心部に存在しているのだが、幸か不幸かそこまでは一直線に道が開けている。


 おそらくは街の中心部は噴水でもあったのだろう。 だが今はソレは瓦礫がれきになっていて、中心部の直上には人間が吊るされている。


 人間に対する警告なのか、それとも私たちに対する挑発なのかは知らないが、人間の感情を逆撫さかなでするには十分なモニュメントになっていた。


 そしてそのモニュメントの下には、武器や防具などと一緒に人間の食い散らかされたかのような骨なんかも転がっている。


「瓦礫じゃなかったんだな。 それにしても凄い数だな。 いったい何人分あるんだ?」

「ゴミ捨て場兼モニュメントって感じですぅ」

「色んな大きさの頭蓋骨ずがいこつがあるのー」


 何と言ったら良いのだろう? ここで集めた人間達を食い散らかした跡とで言えば良いのだろうか?


「あっ、吊るされている人は結核死みたいですぅ」

「グルメなんだな」


 死臭がするのは吊るされた人間からのみであり、周囲の骨はまるでシャブリ付くされたかように、匂いも色も無い。 だが、考えてみれば少し妙だ。


 蜘蛛と言えば昆虫の羽なんかは食べないみたいだが、頭とか少し固い部分とかでもバリバリ食べている印象がある。 動物の中には骨髄こつずいを好物にしている鳥なんかもおり、態々《わざわざ》高い所から落として骨の内部を食べるヤツだっているのだ。


 それに考えてみれば、感じる視線だって妙だ。 直接見ていると言うより魔術的なモノでのぞき見されている気がする。


 ふむ、折角だ。 色々と魔術関連だって上手くなっているハズなのだろうから、少し試してみるか。


「えーとぉ、魔力の流れを辿たどってから、その流れに大量の魔力を流してみるとぉ」


「うぎゃぁぁぁ~っ! 目がっ、目がぁぁあ~っ!」


 何処からか悲鳴が聞こえてくる。 と言うか、街の反対側で目を押さえて転げまわっている老人が一人。


「覗き見の犯人はアレだったのか?」

「多分そうだと思いますぅ」

「蜘蛛じゃ無かったのー」


「おのれぇぇぇ~っ! 優しく殺してやろうかと思ったがもうやめじゃっ! いけっ! わが心の友、スライムのノビ丸君!」


「ファイヤーボール」


 ジュッ!


「うぎゃぁぁぁ~っ! 騎士団すら壊滅させた我が心の友がぁぁぁ~っ!」


「なぁ、あの爺さんどうすりゃ良いと思う?」

「さぁ? 一応敵対したがっていたみたいですしぃ、抹殺ですかぁ?」

「抹殺ならハトリがやるのー!」


「くっ、こうなれば戦略的撤退じゃっ! 秘術っ、隠れみの!」


「あっ、気配が消えちゃったのー」

「いや大丈夫。 そこを真っ直ぐ十歩くらい進んで、そう、そこでぎ払ってみて」

「こうなの?」


 ブン!


「うぎゃぁぁぁ~っ! ワシの腕がぁぁぁ~っ! 何故だっ! ワシの隠れ蓑は姿は当然として、気配まで完璧に消せるハズなのにっ!」


「いや、魔力視で見れば丸見えだよ? サンダーボルト」


「ぎゃばばばばばぁぁぁ~っ! 何故だぁぁぁ~っ! 裏世界では死神とすら呼ばれているのこワシがぁぁぁ~っ!」


「あんな事を言われてますよ? 死神さん」

「あんなボケ老人が死神を名乗るなんて許せないですぅ。 デスフレイム」


「ぎょぇぇぇ~っ! 熱いぃぃぃ~っ! 消えないぃぃぃ~っ!」


「意外とシブトイな、アレ」

「人間の方だと、多分強者に入ると思いますぅ。 アレですけどぉ」

「あっ、ハトリも何となく位置が分かる気がするのー! えぃ!」


「ぐぎゃぁぁぁ~っ! 死ぬぅぅぅ~っ! こんな所で死ぬなんて嫌じゃぁぁぁ~っ!」


「てぃ、やぁ、とぉーなのー!」


「ひぃ、でぇ、ぶぅぅぅ~っ!」


「あんな死に方だけは、絶対に嫌だな」

「全くですぅ!」


「勝利なのー!」


 こうして、謎の老人は死に絶えた。 何だったんだ? アレ?



少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

新作:


VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~


https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ