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第274話 都市決戦編 ~えっ? 命のやり取りですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「なぁ、どう思う?」

「ずっと観察されているのですぅ」


 都市への侵入を果たした幼女、ハイガンベイナ8歳です。


 都市に入ってからは静かになった。 ここは大都市とも呼べる大きさの都市で平屋は少なく、その分2階建てや3階建の建物が多い。


 そして、そんな立体的な街なのだが様々な角度からの視線を感じる。 今は様子をうかがっているのだろう。


 今度は空中と違って、私たちが歩くときに発生するかすかな振動でコッチの位置なんかを把握しているらしい。


 その証拠に、私たちを取り囲む様な配置で待機しており、攻撃するタイミングを図っているみたいだ。


「そろそろ来るか」

「ですねぇ、まぁ私たちもぉ準備万端なんですけどぉ」


 そして戦いの火蓋ひぶたは切って落とされた。 まずは挨拶あいさつと言わんばかりに、屋根の上から飛び降りる様な恰好で襲ってきた。


「【ぜろ!】、竜爪りゅうそう!」

「マインドバスターぁ」


 私は襲ってきた敵を直接殺しているのだが、ヘルは敵の数が多い事もあって動けなくする事を優先しているみたいだ。


「【まとめて死になさぁぃ】」


 そして相手が動けなくなった所を狙って、呪言でトドメを刺す。 一見二度手間の様に感じるが、撃破数で言えばヘルの方が多い。


 ヘルの戦い方は、まるで将棋かチェスでもやっているかのようだ。 誘い受けなんて言えば腐っているご婦人方が興奮しそうだが、言うなればそんな戦い方である。


 私の方は、至ってシンプル。 襲ってくる敵を返り討ちにする戦法である。 本来ならばジリ貧になりそうな戦い方だが、無限とも言える体力と魔力を有する私にとっては問題が無い。


 いや、ただ単純に頭を使う戦い方ってのには私は向いていないみたいなのだ。


 別に頭が残念な子って意味ではない。 少し戦い方を難しく考えすぎるきらいがあったのだ。


 シンプルイズベストではないのだが、対処療法的な戦い方だがその分力が上手く使える印象だ。


 ハトリのようなある種の天才が行うような戦い方とも違うが、何方かと言えばヘルの戦い方よりもハトリの戦い方が参考になる印象だ。


「そうですよぉ、だってベイナ様はぁ、少し残念な部分がありますしぃ」

「残念とか言うなし」


 こんな戦いの中でも、ヘルは私の思考を読んでいたらしい。 随分ずいぶんと余裕がある事だ。


「そうは言ってられませんよぉ。 少しずつ敵の攻撃が苛烈かれつになって来てますよぉ。【纏めて死になさぁい】」

「そりゃそうだな、竜爪&プチブレス!」


 プチブレスはつい最近思い付いた攻撃方法だ。 極太レーザーと言うよりも、細いが切断には向いているレーザーカッターみたいなブレス。


 何より、顔が竜に近付かないのが良い。 ぎ払うように放っているのだが射程距離も十分にあるし、ちょっと遠めの敵を倒すのには丁度良いのだ。


 そんな呑気のんきな事を考えてはいるが、状況は苛烈だ。 例えるなら、人混みの中かで周囲は全て敵。 尚且なおかつつ建物の上には狙撃手がうようよいる様な状態。


 うん、人間ならば余裕で死ねる状態だな。 無限にも近い体力や魔力が無ければ、かなり危ない状況に陥っていた事だろう。


 そう言えば、ヘルも涼しい顔をしているが体力的には足りているのだろうか?


「なぁヘル。 キツくなったら休憩しても良いぞ。 とは言え安全地帯なんてモノは存在しないが」

「大丈夫ですよぉ、ベイナ様ぁ。 と言うか心配してくれたんですかぁ、 嬉しいですぅ。 ぽっ♡」


 そんな会話をしながらも、実は死ぬほど忙しい。 思えば私もヘルに似てきたのかも知れないな。 まぁヘル程にはエロくはないが。


「なぁ、まだ攻略すべき都市や街は残っているんだが、全てが終わったら…」

「結婚ですかぁ? プロポーズですかぁ? それともぐちょれですかぁ?」

「ちゃうわいっ! ちょっと皆で世界漫遊の旅なんて良いかも知れないと思っただけだっ!」

「まぁ火事場泥棒ならぬ廃墟探索で数十年は暮らせていける程には貯蓄がありますからねぇ」


 そうなのだ。 現金というか貨幣と言うか、もう何種類あるんだか分からない程の現ナマがある。 しかも骨董品とか装飾品とかも加えると、前世なら一生遊んで暮らせる位にはお金持ちなのだ。


 まぁ滅んでしまった国の貨幣なんてのもあるだろうから、資産がどれ程あるのかは把握出来ないのだが。


「でもそれってぇ、死亡フラグとか言いませんかぁ?」

「不吉な事を言うなし」

「まぁ温泉とかも楽しかったですしぃ、良いかも知れませんねぇ」

「だろ?」


 確かに死亡フラグっぽいんだが、こう言ったすさんだ生活をしているとふとそんな事を思ってしまうのだ。


 とは言え今の私には正直に言って人混みはつらい。 人間嫌いになった覚えは無いんだが、周囲の人間の状態が全て分かってしまう状態ってのは、案外キツイのだ。


 だから世界漫遊の旅って言っても秘湯めぐりみたいな、観光旅行とは別物になりそうなのだが。


「だったらぁ、早めに終わらせなきゃですねぇ。 【みんな死になさぁい】」

「おおぅ、ヘルの大技って凄いんだな」

「やると時はやるのですぅ」


 周囲の蜘蛛たちが一斉に糸が切れた操り人形の様に死に絶えた。 分かる範囲内だが、凄まじい呪言だ。


「死神の名は伊達だてでは無いな」

「えっへん! これでも死神歴は長いのですぅ」


「お待たせなのー!」


 そんな感慨に耽っているとハトリも合流してきた。 体には傷は無いが、蜘蛛くもの体液でベトベトだ。


「なぁハトリ、少し休憩するか? 随分と激闘みたいだったし」

「どうせまだまだ汚れるから、終わった後にでもお風呂に入るのー」

「そうか…」


 どうやらハトリも感じ取っているみたいだ。 親玉と思われる大きな気配が、最終決戦に備えて準備している状況を。



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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新作:


VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~


https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902

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