第269話 都市決戦編 ~えっ? 残りの蜘蛛ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「竜爪!」
「【死になさぁぃ!】」
「抜刀十文字斬りなのー!
親玉を失った蜘蛛たちの殲滅を続ける幼女、ハイガンベイナ8歳です。
「にしても、ちっとも減った気がしないなぁ」
「まぁ、それなりに大きなコロニーでしたからねぇ」
「柳流連撃なのー」
ハトリは何気に技の種類が多いな。 いつの間に習得したのだろうか? まぁ持っているのは剣なので、抜刀術とかおかしな技も多いのだが。
「にしても、ハトリがこんなに強くなっているとは思わなかった」
「昔から器用な娘でしたからぁ」
「ハトリは剣王を名乗りたいのー」
ほぅ、剣王とな。 まぁ確かに今のハトリなら、あの剣聖にだって技術的には劣っている気がしない。 アイツって人間にしては強かった方だからね。
ハトリは蜘蛛としての視界の広さに加えて、人間よりも高い体力や持久力もある。 まだ剣を極めたって印象では無いのだが、人間相手なら負け無しである事だろう。
「良いんじゃないかぁ、剣王って。 ハトリならその内に剣を極めそうな感じもするし」
「まぁ、二つ名ってぇ、自分で名乗るモノじゃぁ無いんですけどぉ」
「ふっ、また詰まらないモノを斬ってしまったのー」
この世界には時代劇なんて存在しないのに、ハトリは何かソレっぽいモノに憧れているみたいだ。
「悪、即、斬なのー」
訂正、アニメの影響だったみたいだ。 てか、元ネタは私の記憶か。 ヘルが教えたりしたのだろうか?
「いやぁ、ベイナ様がぁ、中二病を患っていた時の事を話したらぁ、興味深々だったみたいでぇ」
「うぎゃぁぁぁ~っ! 私の黒歴史を掘り出さないでくれぇぇえ~っ!」
そう言えば、あのアニメにハマっていた時期があって、旅行のお土産の木刀を振り回していた事があったんだよ。 まぁ、親が泣いていたケド。
それにハマっていたのって、敵側のキャラ推しだったんけどね。 捻くれてる? うるせぇんだよ!
まぁソレ以降は、軍事オタクになってしまって、仲間さえも失ってしまったんだケド。 だってカッコいいじゃん、アハトアハトとか。
いや、どんな青春だよ。 そんな事だから、友達だって少なかったんだよね。 えっ、お前に友達がいたのかって? いたよ、多分。
ある時、「私たちって友達だよね」って言ったら、何故か目を逸らされた事もあるケド。
ふん! あぁそうですよぉ! ボッチでしたよ! これで満足かぁ?
今から思う出しても、酷い青春時代だったなぁ。 共感してくれる仲間だっていなかったし。 いや、でも自分に少し酔っていた事があるから、寂しくは無かったんだケドね。
「強がっていませんかぁ? ベイナ様ぁ」
「うっさいわっ! そんな事より、サッサと敵を殲滅するぞっ!」
「ベイナ様がぁ、話題を逸らそうとしているのですぅ」
「くっ!」
コイツ、楽しんでやがる。 だからと言って、手が止まっているワケでは無いので、文句は無いんだけどね。
「ヘルってさぁ、ドSのくせして何でもそつなくこなすんだよなぁ」
「それなりの長生きなのでぇ、経験が豊富なのですぅ」
「ふ~ん、経験豊富って言うよりも…」
「まぁ、将来ロリババァになる事が決定しているベイナ様に言われてもぉ、ダメージゼロですけどぉ」
「ロリババァって…」
そうか、私は外見的には歳を取らない可能性が強いんだっけか。 いまから「のじゃ」言葉とか学習した方が良いのだろうか?
「でも賢者枠には入れなくてぇ、お笑い枠に入りそうでうですけどぉ」
「えっ、ロリババァって賢者以外にもいるの?」
「それ以前にぃ、どうして自分が賢者枠に入れると思ったんですかぁ?」
「いや、私にはアカシック先生と言う、偉大な存在がついているので」
「つまりはぁ、他力本願って事ですよねぇ」
「くっ! そこまで言う事ないじゃないかっ!」
「ベイナ様はぁ、今のままで良いんですよぉ」
「私の味方はいないのかぁぁぁ~っ!」
そんなショートコントの様な事をしながらも、討伐は順調に進んでいく。 狩られている側も解っているみたいだ。 行くあてなど無いって事に。
そらゃぁね。 今から人間のいる街や都市に向かうのなら、私たちが許すなんて事はしないからね。 だって面倒いし。
「ママー、手が止まっているのー」
「あっ、ハイ。 スンマセン」
最早、惰性か作業の様な戦いだが、蜘蛛たちは必死だ。 どれだけ仲間が犠牲になろうとも、攻撃を止めたり降参したりする事はない。
だって、人間の戦争とは違うのだ。 彼らにとっては生存を掛けた戦いって事だからね。 だから立ち止まってしまう事すら出来ないのだろう。
何だか憐憫の情すら感じるな。 これが敗者の末路か。 私もこうならない様に気を付けるとしよう。
「あと一息ですよぉ。 ファイトぉ」
「うん、頑張る」
「何なら、ママは休憩するのー? ハトリが全部やっちゃうのー?」
「いや、ソコまでは迷惑は掛けられないっす」
何だか、ハトリにまでロリババァ扱いされる未来が見える。 このままではいかんな。 頑張らないと。
「竜爪連撃っ!」
「【纏めて死になさぁい!】」
「六甲連斬!」
「こんどはオバロかよぉ!」
そう言えば私って、ダークファンタジーも結構ハマっていたな。
そんなこんなで、殲滅戦は続いていく。 残りの数は、あと僅か。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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新作:
VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~
https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902