第267話 都市決戦編 ~えっ? 都市への侵入ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「【爆ぜろ!】」
「ふぅ、疲れたですぅ」
「今ので最後だよな?」
「えぇ、そう思いますぅ」
何とかドッグファイトを制した幼女、ハイガンベイナ8歳です。
今回の敵は空中戦も得意としていたらしく、中々に苦戦する相手だった。 ハトリは見せ場が無かった事が悔しかったらしく、少し落ち込んでいる。
「気にするな、ハトリ。 この後はハトリの得意な地上戦が待っているんだ。 その時に頑張って貰えば良い」
「雪辱は果たすのー」
おっと、ハトリが難しい言葉を使っているぞ。 ハトリなりに思う所があったのだろう。
とは言え次は都市への上空からの侵攻だ。 あの時と同じ様に対空砲火に晒されるのだろうか? 何だかんだ言ったって、相手の攻撃力とか連携とかが強化されている気がするんだよね。
「地上スレスレを飛んで行くのが正解なんだろうか? それとも走って行くとか?」
「蜘蛛は罠を張る生き物ですよぉ。 大した違いは無いと思うのですぅ」
「そっか、地上には罠の可能性もあるのか」
空中戦なんかやってしまったセイで忘れがちになったが、蜘蛛は地上戦こそが得意分野なんだよな。 対空防御を備えている事が異常なだけで。
「仕方がないな。 空から普通に行くか」
「それが良いと思うのですぅ」
「ハトリはどうする?」
「ハトリも一緒に空から行くのー」
意地になっているのだろうか? 少し心配だが見守っておくか。 だが固まって移動するのは宜しくない。 格好の的になっちゃうからね。
適当な間隔を保ちながら、都市へと近付いていく。 すると、都市が見えたかどうかと思う距離まで接近した時に、それは起こった。
「うげっ! ブレスかよっ! 回避!」
強力な複数のブレスが我々を襲う、そう、複数だ。 今までなら巨大ブレスが放てるのは親玉くらいなモノだったのだが、今回は違うらしい。
「ちっ、面倒だな」
親玉レベルの蜘蛛が複数いるのか、それとも強力なブレスを放てる個体が多くいるのかは解らないが、厄介な事には違いない。
ブレスの内の数本はすぐに止んだのだが、残る数本は我々を追尾するかの様に照射時間が長い。 しかもこちらが回避行動を取っていると、また新たなブレスが飛んでくる。
どうやら照射タイプと連射タイプの蜘蛛たちがいるみたいで、回避行動には気を遣う必要がありそうだ。
ハトリは早々に飛行を取り止めて、地上を爆走し始めた。 そうだな、無理をする必要は無い。
だが、地上に降下したらしたで、それも想定済みなのか地上部隊がハトリの方向に向かっているのが確認出来た。
本来なら航空支援といきたいところだが、相手はソレを許すツモリは無いらしく、執拗なブレス攻撃が続いている。
「仕方が無いな。 短距離転移!」
問答無用で都市の上空へと転移で移動して、素早く周囲の状況を確認する。 うぉぅ、かなり大きめの個体が数体いるな。 ブレスを放っていたのはコイツらだろう。
だが問題はソコでは無い。 大きさは成体よりも少し大きい位だが、やたらと大きな魔力反応を持つ個体がいる。 しかもバッチリと目が合っている気がする。
「アイツがボスか?」
詳しく観察しようと意識を集中した途端に、見失う。
「へっ?」
するとソイツは、急に背後から強力な魔力と共に現れた。
「くそっ!」
回避は間に合わないと判断して、魔力障壁を全力で展開する。 すると、ほぼ同時に強い光りに襲われた。
「転移にブレスとか、フザケてんじゃぁねぇよっ!」
こっちも相手のブレスの終了に合わせて、お返しのブレスを放つ。 あっ、転移で避けられた!
どうやら転移を発動するスピードでは、私は負けているらしい。 だが、親玉にしたらブレスの威力は大した事は無さそうだ。
そりゃぁ無傷とはいかないだろが、即死する程でも無い。 痛そうだから無理に当たろうとは思わないケド。
「くそっ! 結局、分断されてしまったかっ!」
ハトリは地上で交戦に入り、ヘルはヒラヒラとブレスを避けながら攻撃をしているみたいだ。 何だか1人だけ余裕があるんだよなぁ。
そして私は、忍者みたいに現れては消える親玉と交戦している。 えっ、戦況? もちろん私が有利! いや、ウソですゴメンなさい。
親玉に翻弄されて、おちょくられている最中です。 くそっ! このぉ! 当たれっ!
何が頭にくるかってのは時々ワザと、挑発するかの様な攻撃を織り交ぜてくる事だ。 お互いに爆裂魔術程度じゃぁ死ぬ事は無い。
しかも少し小さめの爆裂魔術を、私の顔面目掛けて発動させてくる。 あれっ? 主導権を奪われていないか?
コイツの特徴は理解した。 威力は大した事はないから、私を落とせる程ではない。 いや、私が頑丈なだけか。
多少の怪我ならすぐに再生できるし、相手の破壊力よりも回復能力の方が上だ。 奥の手を隠し持っている可能性はあるが、まぁ何とかなる気はする。
一言で言えば鬱陶しいし、チョコマカと動くさまが私をイラつかせる。
「殺す!」
雰囲気を配役で例えるならば、私は不死身の魔王で、蜘蛛は正義のヒーローだろうか? そして観客は、地上から観戦している多数の蜘蛛たち。
良いだろう。 やってやろうじゃないか。 こちとら悪役には慣れっこなんだ。
そうして、ヒーロー蜘蛛との空中戦は激化していった。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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新作:
VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~
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