第266話 都市決戦編 ~えっ? 再びの空中戦ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「もしもあの2人が悪さをする様なら言ってくれ。 今度は確実に粛清するつもりだ。 本人たちにも告げてある」
「お手数をお掛けしました、幼女神様」
「それでは私たちは出ていくが、後の事をよろしく頼む」
「はい、行ってらっしゃいませ」
お辞儀をするジアンヌ嬢に見送られる幼女、ハイガンベイナ8歳です。
「じゃぁ行くか。 ヘル、ハトリ」
「休養も取れましたしぃ、準備も万端ですぅ」
「ハトリは元気モリモリなのー」
どうやら2人とも問題無い様子だ。 良い気分転換にもなったのだろう。
「行くぞ。 転移!」
行き先は、ドラゴンブレスで半分吹き飛ばしたあの街だ。 そこからは飛行魔術の出番になるのだろうが、蜘蛛たちの侵攻ルートを逆算していく方法しか思い付かないからな。
そして景色が変わると、そこは荒れ果てたままの状態で生物たちの気配すら無かった。 やっぱり1日程度では何も変わらないか。
狩り残した蜘蛛の気配も無いので、そこからは空を飛んで次の町へと向かう。 街道に添って侵攻してきたと思われる方向に向かっているだけだが、間違いは無いみたいだ。
アカシック先生に問い合わせながらの飛行だが、ふとハトリの方を見て感心した。 ハトリは飛行魔術も少しだが上達しているみたいだ。
こんな些細な事だが、ハトリの成長を感じられるのが少し嬉しい。 1人での討伐は何だか作業みたいな感じがしていたので、仲間がいる事が楽しいのだ。
「少し速度を上げるか。 ついて来られるか? ハトリ」
「もう少しなら、大丈夫なのー」
「そうか。 じゃぁ加速だ」
「おーなのー!」
少しずつ加速して試しているが、ハトリは最高速度も上がっているみたいだ。 とは言え得意な魔術とは言えない様で、それなりの真剣な顔をしている。
まぁ地上戦になれば、充分過ぎる戦力になるのだ。 それに空を飛べる蜘蛛の数は少ないから、問題は無いだろう。
「それはフラグだと思うのですぅ」
「えっ?」
さらっと心を読んだかの様なヘルの言葉の直後、気配察知に蜘蛛の反応があった。 それも嫌な感じに速度が早い。
「リモートビューイング!」
その気配の状況をリモートビューイングで確認すると、空中で編隊を組んだ蜘蛛の群れが真っ直ぐコチラへと向かっていた。 ぐへっ! マジでフラグだったらしい。
「私が先行して敵を落とす。 ヘルはハトリのカバーに入ってくれ。 ハトリ、無理に空中戦をする必要はないからなっ!」
「了解ですぅ」
「ハトリも戦うのー!」
ハトリは空中でも戦うつもりの様だが、嫌な予感がするんだよね。 だって2~3匹が1つの塊として、それが編隊を組んでいるんだぜ。 前回の空中戦よりも苦戦しそうな雰囲気があるんだよ。
でも前回と違うのは、コッチはリモートビューイングで3D空間として把握しているって事だ。 それに呪言との組み合わせも試しておきたい所なんだよね。
「【爆ぜろ!】」
取り敢えず神力を強めに込めた呪言を発する。 すると、先頭にいた蜘蛛が弾け飛ぶのが確認出来た。
「お見事ですぅ。 じゃぁ私もぉ、【死になさい!】」
ヘルが呪言を発すると、複数の蜘蛛が力尽きたかの様に落ちて行く。 流石は死神だな。 効率的に殺すことに掛けては勝てる気がしない。
突然仲間が爆発したり死んだりした事に少し動揺した気配があったのだが、すぐに覚悟を決めたのかそのままコチラへと向かって来る。 いや、少し速度が上がったか?
本当に嫌になる。 だって蜘蛛たちはいつも決死隊なのだ。 頭はそれなりに賢いハズなのに、死に対する恐れの様な感情は感じた事が無い。
だからと言って、蜘蛛たちに感情が無いワケでは無いのだ。 今だって、仲間を殺された恨みの様な感情をビシビシ感じる。
彼らにとっては、戦闘での死は覚悟の上なのだろう。 いや、寧ろ相打ちにでも出来る可能性があるなら、喜んでソレに挑戦する位だ。
「【纏めて爆ぜろぉぉぉ~っ!】」
接近戦に持ち込ませる前に決着をつけたいところだが、彼らは自分たちの射程範囲に入るまでは死に物狂いで近寄って来る。 ヘルも次々に落としているのだが、囮役と接近役でも決まっているかの様に、確実に距離を詰めてくる。
そして彼らの思惑通りにドッグファイトへと突入していった。
何が鬱陶しいかと言うと、彼らの連携は神懸かっている。 こちらが標的を決めて攻撃体制に入ろうとすると、必ず邪魔が入る。
いや、攻撃のチャンスとばかり標的役を見捨てて総攻撃を仕掛けてくる。 幸いなのは、ハトリやヘルが集中砲火にあっていない事か。
ヘルはノラリクラリと躱しつつ確実に1匹ずつ始末している印象だが、ハトリは何時でも撃ち落とせる的くらいにしか思われていない様子だ。 さすがにハトリにはドッグファイトは無理だったか。
でもハトリが狙われないのは有難い。 もしもハトリが集中砲火を受ける様な状態になったら、さすがに助けないワケにはいかないからね。
ならば蜘蛛たちの気を引ける様に、大立ち回りを演じようじゃないか。 精々派手にいくとしよう。
「ギガ・エクスプロージョン!」
蜘蛛たちが密集している場所に、爆裂魔術を叩き込む。 無論、魔術耐性があるのは承知の上だが、それでもダメージは入るし何より相手の気を引ける。
そっちが連携を武器としているのなら、その連携を邪魔させて貰おうじゃないか。 こう見えて私は、嫌がらせが得意なんだ。
黒竜王との空中戦では、嫌という程に進行方向に爆裂魔術を喰らったからね。 その鬱陶しさが良く解るんだ。
空中でピンボールみたいに弾き飛ばされるのは屈辱的だろ? だからと言って、怒りに任せて直線的になっているよ。
「【爆ぜろ!】」
動きが単調になった相手を倒すのは随分と楽だ。 爆裂魔術で相手を起こらせて、各個撃破。 確かに有効的な攻撃方法だ。
そうか、あの時の黒竜王はこうやって楽しんでいたのか。 さぞ私は愚かに思えたんだろうな。
「さぁ、ラストスパートだ!」
残る蜘蛛はあと僅か。 そんな空中戦は、終了までそれ程時間は必要無かった。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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新作:
VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~
https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902