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第264話 都市決戦編 ~えっ? リモートビューイングですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

 目が覚めると、ベッドの中でハトリとヘルにからまれながら寝ている状況に気が付いた。 まだ外は薄暗く、早朝である事を示している。


「何だか熟睡とは程遠い状態なんだよなぁ」


 早朝からヘルに無意識に尻をもてあそばれる幼女、ハイガンベイナ8歳です。


 二人ともまだ眠っているが、私の尻をいじくり回す手が止まらないヘル。 そのかたわらでハトリは大事なものを取れれない様にでもするかの恰好で、私に抱き付いて寝ている。


 本来なら私も熟睡している時間なのだろうが、朝早くから起き出して活動を始めた人間達の気配に起こされた格好だ。 全くもっていい迷惑である。


 そりゃぁ彼らからすれば繰り替えされる日常なのかも知れないが、夜襲などに備える感じで常に気配察知を展開している私からすれば、覚醒には十分な動きだったのである。


 別に彼らから殺気や悪意などを感じるワケでは無い。 だが、朝早くからなたを使ってまきを割ったり包丁を振り回して料理しているのが覚醒の原因だ。 無意識の内に武器だと判断したらしい。


 野生動物は熟睡する事は余り無い。 例えば寝ている状態でも聴覚だけは働いている状態であったり、イルカなんて右脳と左脳で別々に睡眠を取るらしい。


 それが彼らの生存戦略から来るモノなのだろうが、私もそんな野生動物の仲間入りでもしたのだろうか? いや、違うか。


 私を野生動物に例えるならば、どちらかと言えば襲う側だ。 だから草食動物の様におびえながら生活するよりも、食後のライオンの様に惰眠だみんむさぼるのが正解なのだろう。


 だが私は、何処かで戦いの場を探し求めている。 それも本能に近い部分でだ。


「バトルジャンキーになったつもりなんて無いんだがな」


 例えば殺し合いの場面などがあれば、食事などを放り出しても参加したいと思ってしまう。


 強者を求め、それを討ち果たす事で更なる高みに挑む事を本能で楽しむ黒竜の魂。 そして破壊や混乱などで人間がもだえ苦しむのを楽しむ邪神の魂。


 神格を得た時は、凄い力を獲得しただけだと思っていた。 だがそれが間違いだったのである。 まぁ当然なのであろう。


 だって神格を得る条件が人間の魂の大量摂取なのだから、人間の味方などではあるハズが無い。 どちらかと言えば滅ぼす側だ。


 そんな邪神の魂は黒竜の協力も得て、特に人間の闘争の気配を敏感に感じ取る。 下手をしなくても魔物同士の闘争よりも強く感じる位だ。


 薄々感じてはいたのだ。 人間の血が見たいのか、呪言などで殺す場合は【死ね】ではなく【ぜろ】を使いたくなる。 と言うか使っていた。


 見た目だけの問題だが、ただ死んでいるだけなら寝ているのと見分けが付かないからね。 それに派手に臓物ぞうもつなどをバラく状態も結構好きだ。


 何だか街中で感じていた違和感みたいなモノにも納得だ。 街中で暮らすなら、シリアルキラーにでもならないと落ち着かないのだ。


 早起きは三文の徳なんて言葉があるが、私の場合は早起きをすれば余計な事を考えてしまうだけだった。 二度寝でもしようかな?


 そんな事を考えていると、ヘルの手が私の下腹部へと伸びていく。


「ヘル、お前起きているだろ」

「ムニャムニャぁ、気のせいですぅ」

「そんな寝言があるかっ!」


「むー、まだ眠いのー」


「ハトリ、すまん」


 ヘルは眠りが浅いのか、それとも不要なのかは知らないが寝ているフリを続けている。 仕方がない、私も寝よう。


 ハトリを起こすのは悪い気がしたので、目をつむって意識の奥深くに潜り込む。 すると、さっきまで感じていた人間の気配が映像として見える様になってきた。


 あっ、コレって修行に良いかも。 意識を集中すると、薪を割っていた男が汗をぬぐう姿が見えた。


 気配察知と言うよりも、心眼? 神眼?


 つぶさに観察すると、男の姿形、表情まで良く分かる。 最早リモートビューイングだな。


 少し上から見下ろしてみたり、今度は横から眺めてみたり。 視点が変わるだけではなくて気配察知の効果なのか、周囲の状態まで把握出来る。


「ドローンなんて目じゃないな」


 レントゲンなどの効果もあるようで、男が所持している物まで分かる。 護衛任務などには是非ぜひとも欲しい能力だ。 まぁ未来永劫みらいえいごう、護衛任務なんて引き受ける事は無いと思うケド。


 良く観察してみれば面白い能力で、周囲を同時に見る事も可能みたいだ。 あっ、奥さん。 鍋の中身が焦げそうですよ。


 朝の散歩ならぬ、朝のリモートビューイング。 だが朝の清々しい風景のみならず、朝からお盛んなカップルの光景まで目にしてしまった。


「遠隔で爆散させてやろうかな?」


 その気になれば、人間位なら遠隔で爆散出来る気がする。 そっか、絶対命令権って言葉が届く範囲だけじゃないんだ。


 私の絶対命令権の射程距離の短さって、相手に対する位置の把握の制度が悪かったのもあるみたいだ。 リモートビューイングと合わせればいける気がするのだ。


 そうか、私は魂の融和だけじゃなくて能力の把握も不完全だったのか。 ここら辺が、ヘルと私の差なんだろうな。


 時間もこなれてきたので、起床する事にする。


「そろそろ起きるぞ。 て言うか、すきあらば私の尻もいじくり回そうとするな、ヘル」

「寝ぼけているだけなのにひどいですぅ」

「むー、ハトリはもう少し寝ていたいのー」


「朝食が出来上がっているみたいだぞ。 冷めない内に食べに行こう」


 少し渋るハトリを起こして、朝食を取るために食堂に向かう。


「良く眠れましたか? お客さん」


「まぁまぁかな」

「そこそこですぅ」

「熟睡したのー」


 それぞれがそれぞれの返事をして、テーブルに座る。 すると、ちゃんと三人分の朝食がすぐに運ばれて来た。


 こっちの世界のモーニングセットみたいな朝食だが、悪くはない。


「頂きます」


 私はそう言って、朝食を食べ始めた。



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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新作:


VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~


https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902

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