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第262話 都市決戦編 ~えっ? つかの間の休息ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「意外と何とかなるモノなんだな」

「まさかドラゴンブレスで爆風を防ぐとは思いませんでしたぁ」

「ハトリは疲れたのー」


 何とか巨大蜘蛛きょだいぐもの自爆攻撃を防ぎきった幼女、ハイガンベイナ8歳です。


 咄嗟とっさの判断で放ったドラゴンブレスだったのだが、何とか相手の爆風を巻き込んで吹き飛ばす事には成功した。 とは言っても、周囲は惨憺さんたんたる風景に変貌してしまったが。


 親蜘蛛の爆発と私が放った全力のドラゴンブレスの威力が合わさって、およそ街の半分が消し飛んだ格好だ。 やはりあの自爆攻撃はとんでもない威力だったらしい。


 そして親蜘蛛が討伐された後は、その他の蜘蛛の抵抗は大したものでは無くなった。 やはり指揮をする個体が討伐されると、連携などに大きな影響が出るらしい。


 私たちとしては残った蜘蛛を掃討にもそれなりの手間や労力を覚悟していたのだが、組織的な抵抗を見せない相手に対する対処としては各個撃破をするだけであった。


 数としてはそれなりにいたのだが、三人で協力すれば駆逐くちくが完了するまではそれ程の時間を必要としなかったのである。


「とは言え、結構疲れたな」

「まさか自爆攻撃までしてくるとは思いませんでしたぁ」

「お腹も空いたのー」


 一つずつ街や都市を攻略していく程に蜘蛛が強くなっている。 それぞれの戦闘能力が強化されていくのもあるのだが、何だか抵抗の意志そのものも強くなっている気がするのだ。


 追い込まれると諦めたり自棄になったりする人間達とは違い、種族を残そうとする意識が強くなる印象を受ける。


 今回の例で言えば、自分たちが全て滅ぶとしても躊躇無ちゅうちょなく自爆攻撃を選べる点などがそうであろう。 自分たちの命よりも種の存続を選べるのである。


「一旦蜘蛛の殲滅せんめつは中止してどこかの街で休まないか?」

「そゆうですねぇ、攻めるばかりではこちらが先に参ってしましそうですぅ」

「お腹が減ったから賛成なのー」


 意見もまとまった事だし、私たちは攻略は一旦中止して途中の街にでも戻る事にした。 私自身が疲れているのもあるが、このままの方法で攻略するのはマズい気がしたのだ。


 蜘蛛のヒエラルキーがどうなっているのかは知らないが、今回の蜘蛛たちもきっと株分けされた存在だったのではなかろうか? そしていずれは私たちが倒してきた蜘蛛の総元締そうもとじめみたいな存在に遭遇する気がするってのもある。


 だからこそちゃんとした休息も取っておきたい気がするし、戦い方も変化させる必要がある気もするのだ。


「折角だからちゃんと休める場所にしたいかなぁ。 今なら転移で一瞬で帰れるワケだし」

「傭兵稼業をしていた街にでも戻りますかぁ? 残っていればの話ですけどぉ」

「ハトリは食べ物がちゃんとある場所が良いのー」


 傭兵稼業をしていた街ってアレだよな。 近くの森で蜘蛛が大繁殖していた場所。 やっぱり滅んでいるじゃないかな。 知らんけど。


 となると、残っていそうな街ってドコだ? オルレアン嬢が守っているレイクフォレストまで戻るしか無いのかな。 今現在、あの街がどうなっているかも気になるし。


「レイクフォレストまで戻ってみるのはどうだ? 久しぶりにオルレアン嬢に会ってみたい気もするし」

「そうですねぇ、結構な数の蜘蛛たちを討伐したってのもありますしぃ、あの街なら残っていても不思議ではない気がしますぅ」

「お腹一杯食べるのー!」


 ようし、そうなったらレイクフォレストまで戻るとしよう。 別に生き残った人間を探す目的では無かったのだが、蜘蛛を殲滅せんめつした街を探索して結構な量の金銀財宝を手に入れているのだ。


 だって完全な無報酬での戦いって、気分的にもキツい部分があったからね。 持ち主のいないモノは遠慮無えんりょなく頂く事にしていたのだ。


 今回も探せばそれなりの収入にはなるのかも知れないが、今は流石にそこまでの気力は無い。 街の半分は吹き飛ばしてしまったし他の部分も崩壊がひどい。 瓦礫がれきの中から金品を探す程の気にはなれないのだ。


「よし、それじゃぁ行くか。 転移!」


 そうして転移でレイクフォレストまで飛ぶと、目に入ってくるのは人、人、人。 ん? 何かの祭か? とでも思いたくなる様な人だかり。


「街ってこんなに人がいたんですねぇ」

「それよりも、定食屋に行くのー!」


 そう言えば、こんなに人を見るのは随分と久しぶりだ。 街は祭りでも何でも無く、ただの栄えた街の日常みたいだった。


「そっかぁ、人っている所にはいるんだな」

「何を言っているんですかぁ? ほら、お腹を空かしたハトリちゃんが暴走しそうですよ」

「早く行くのー!」


 そして私たちは、ハトリの鼻に先導されて一軒の飲食店に入った。 そうか、人の日常ってこんな感じだったかな。


「ヘイらっしゃい! 何に致しやすか?」


「それじゃぁ、オススメを頼めるかな?」

「ハトリは沢山食べるのー!」


「それなら、大盛定食なんてどうですかい?」


「あぁ、それを頼む」

「ハトリは三人前は余裕なのー!」


「すぐにお持ちしますんで、しばらくお待ちくだせぇ」


 普通の食事なんていつ以来だろう。 まるで何かに取りかれた様に蜘蛛を狩りまくっていたからなぁ。 乾燥していない食事なんて最後に食べた時期すら思い出せない。


「へい、お待ちぃ!」

「わーい、ご飯なのー!」


 ハトリは大盛定食が到着するや否や、早速料理を頬張ほおばり始めた。 ヘルは静かに料理に手を出し始めている。 対する私は、普通の料理と言うか日常に少し戸惑いすら感じていた。


 別に命を掛けた戦いなんて特筆する気にはなれない。 私の人生、いや神生はそんなモノだと何処かであきらめている自分がいるのだ。


 だから相手が人間だろうが蜘蛛だろうが、対応を変えるつもりは無い。 そう言った運命なのだろう。


 だが蜘蛛たちの、「ここより先には進ませない」とでも言うかの様な戦い方に思う所もあるのだ。 何と言えば良いのだろうか? 覚悟の様なモノを感じると言えば正解なのか。


 これからの戦いは、きっと熾烈しれつになっていく。 そんな予感がするのだ。


 彼らは一体、どこからやって来たのだろうか? 突如として現れて、人間の都市や街を蹂躙じゅうりんしている。 それもこの世界の食物連鎖の頂点にでも立とうとしているかの様に。


 これが単なる栄枯盛衰の様な現象なら気にはならないのだが、彼らは明確に人間を標的にしている気がするし、まるで人類を滅ぼす為に産み出された存在かの様な印象すら受ける。


「考え過ぎかな」


 私は一時的に忘れる事にして、目の前の食事に手を伸ばした。



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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新作:


VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~


https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902

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