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第260話 進撃編 ~えっ? 戦い方の変化ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「ストリングエッジ!」

「随分とこなれてきたのですぅ」


 魔術の糸で蜘蛛を切り刻む幼女、ハイガンベイナ7歳です。


 私たちは今、新たに蜘蛛くもに支配された街を攻略している最中だ。 とは言っても、ハトリとヘルには侵攻速度を落として貰っていて、二人にとっては全力の攻略には程遠い状態だ。


 原因は私の侵攻速度が遅いからなのだが、二人は文句も言わずに私に合わせて貰っているのには感謝だ。 申し訳ないとは思うのだが、私の練習に付き合って貰っているとも言える。


 二人の侵攻速度に追い付けるように私なりには頑張っているのだが、天才肌ではない私にとっては容易にレベルアップ出来ないのがもどかしい。


 だが少しずつ、少しずつではあるのだが手応えはある。 短距離転移で蜘蛛の近くに移動して、極細ごくぼその魔術の糸で切り刻む。 その繰り返しであるのだが、あやつれる糸は一本から二本になった。


 それに転移する座標も正確性が上がった気がするし、何より極細の魔術の糸は魔力探査で把握する事が出来ないらしく、避けられる事も無い。


 スッと近寄りサクッと始末する。 何だか暗殺者みたいな戦い方だが、変化させた効果は大きい。


 例えば、相手の強さや魔術耐性、魔力障壁をほとんど無視出来る事が大きいだろう。


 魔術耐性は相手の範囲攻撃に対する効力が高く、爆発系などに対する効果が高い。 そして魔力障壁はファイヤーボールやランスなどの遠距離攻撃に対する防御力が高いのだ。


 だが私が操る魔力の糸は、そのどちらにも属していない事もあって効果は抜群だ。 いや、物理的にも切り裂ける能力が高いので強力な外骨格を持つ相手にも有効だ。


 しかも魔力の糸は視認や認識する事が難しいらしく、かわされる事も無い。 まさに必殺だ。


 それにこなれてきた事によって糸の長さが伸びたのも意義は大きい。 見ている相手にとっては遠距離の鎌鼬かまいたちか何かに見えるのではないだろうか?


 現在の問題は糸を生成する速度と本数なのだが、そこは何とかなる予感がある。 まぁ少しずつ速度も長さも成長しているからね。 本数もいずれはどうにかなるだろう。


 それよりも今は、腕を動かさずに糸だけを操作する事に苦戦している最中だ。 腕を動かさなければ相手の警戒レベルが違うらしく、何とか糸の魔力操作だけで切断した場合などは、何をされたかも認識出来ないみたいなのだ。


 ほら、どんな攻撃をされたのかすら分からないって、何か恰好が良いじゃない。 それで「何をした!」とか言われて「未熟者め」とか言ったりしたいんだよ。


 実際は緻密に編んだ魔力の細い糸を、魔力操作だけで自由自在に動かすのって高等技術だし、脳みそが弾け飛ぶんじゃないかって位に頭と精神力を必要とするんだけど我慢だ。


 だって私は、そんなデキル女を目指しているのだから。


 考え方が少し幼稚かも知れないが、実際に効果は抜群だ。 特に自分でも上手くいったと確信している場合なんかは、相手の蜘蛛は防御体勢すら取る事が出来ていない。


 色々と知性がある相手と戦ってみたい気分にもなるが、この技が完成すれば戦闘経験が豊富な相手にこそ有効な気がするのだ。


 熟練の兵士なんて相手の観察能力にも長けていたりするからね。 攻撃方法すら分からないのなら、対処方法だって思い付かないだろう。


 いや、一層の事「ウィンドエッジ!」とか嘘の術名を言いながら使うのも良いかも知れないな。 これを極めれば色々と応用が効きそうだ。


 とは言っても、極めるなんて何時になるかは分からないケド。


 一匹一匹、確かめる様に切り裂いていく。 弱そうな腹から切り裂いてみたり、背中から切り裂いてみたり。 中には仲間が切り裂かれたのを見て、脱出を図るヤツまでいる。


 蜘蛛たちもただ単純に切り裂かれているだけではなく、色々と情報共有しているみたいで試行錯誤してくる。


 繰り返している間に蜘蛛たちは私の射程距離を把握したみたいで、その範囲外から攻撃してる。 無視できる攻撃だが、タダで死なない相手ってのは厄介だな。


 そして討伐のペースが落ちて、更に糸の長さを伸ばす努力をしてみたり戦い方に変化を加えてみたりしながら、コッチはコッチで対処をする。


 一匹でも早く多く処分したい私と、時間稼ぎや私の攻略方法を模索する蜘蛛たち。 そりゃぁ蜘蛛たちからすれば、生存を掛けた戦いだからね。 そう簡単にはいかないだろう。


 何かブレイクスルーが欲しいところだ。 もう少し良く考えてみよう。


 この魔力の糸で切るって操作は、通常の糸やワイヤーで切る動作とは少し違う。 例えば魔力の糸がたるんでいても切れるし、魔力の糸には重さが無い。


 押して切るというより、焼いて切ると言った表現が正しい気がする。 そう、力は必要無いのだ。


 今まで魔力の糸を伸ばす事を考えていたが、魔力の糸を飛ばすなんてのはどうらろう? 勿論投げる動作を見せてしまえば避けられる可能性があるので、意識だけで行う必要があるが。


 試しで、遠くから私を観察している蜘蛛に対して、魔力の糸を投げ付ける。 速度はファイヤーボール並で決して速いとは言えないが、結果はどうだろう?


 ずっと視線で追っていくと、結果は蜘蛛の両断。 なる程、やはりこの魔力の糸は感知するのが難しいらしく、距離があっても有効らしい。


 とは言っても、私が攻撃相手をずっと見ているのも不自然だ。 見つめていると時間差で切断する攻撃だとでも認識された場合は、避けられる可能性がある。


 だからと言って、単純に投げっ放しで済む方法でもない。 緻密な魔力制御を必要とする魔力の糸は、簡単に投げて飛ばせるモノではないのだ。


 視覚の外に出てしまうと、簡単に霧散してしまう。 意識の中だけで魔力制御を行うのって難しいんだよね。


 短時間なら可能なのだけれども、それだと飛距離が短くなる。 元々射程が短い攻撃だ。 割り切ってしまえば良いのかも知れないが、解決手段があるなら何とかしてみたい。


 今現在は蜘蛛の近くまで短距離転移で移動してからの斬撃と糸の投げ付け。 工程を少し整理してみるか。


 先ずは魔力の糸を生成した状態で、気配察知や魔力探査を行って近くに転移。 そして反撃や逃走を許さない時間で糸で切り刻む。


 だから上手くいっているとも言えるし、相手に考えるすきさえ与えていない。


 そもそもこんな戦い方をしているのは、呪言による爆散などには射程距離の短さなどの欠点があるからだ。 あれ? 転移してから呪言を使っても同じじゃね?


 そりゃぁ相手に強い自我などがある場合は失敗する可能性があるとは言え、魔力の糸だって性能試験は十分じゃない。 何らかの方法で防がれる可能性だってあるのだ。


 いや、待てよ。 そもそも私って短距離転移する必要ってあるのか?


 魔力の糸は、短時間なら維持できる。 勿論、目視している必要も無い。


 ならば、魔力の糸だけを短距離転移で送り付けるのはどうだろうか? 自分が転移する場合は衣服なども合わせて転移しているのだし、物を送り付ける事なら出来そうな気がする。


 じゃぁ魔力そのものを転移させる事が可能なら、魔力の糸に限らずとも攻撃を送り付ける事が可能になる気がするのだ。


「試してみる価値はありそうだな」


 念入りに強度を高めた魔力の糸を用意して、気配察知で適当な蜘蛛の位置を把握する。 そして、魔力の糸を蜘蛛の直上に転移。


 次の瞬間、対象の蜘蛛の気配は消え去った。



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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新作:


VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~


https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902

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