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第259話 進撃編 ~えっ? ヘルの特別授業ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「ヘル様、よろしくお願い致します」

「幼女をかしずかせるなんてぇ、最高ですぅ」


 ヘルに土下座をして頼み込む幼女、ハイガンベイナ7歳です。


 結局の所、ヘルに戦い方を教えてもらう事になったのだ。 まぁ少し後悔している部分もあるのだが仕方がない。 だってダメな子認定されるよりマシだからね。


「ベイナ様ってぇ、考えるのが苦手なんですかぁ?」

「いや、別にそう言うワケではないのだが…」

「ほらぁ、また魔術の扱いが雑になっていますよぉ。 今なら脚を舐めるだけで許してあげるのですぅ」

「くっ、舐めるしか無いのか」


 今は別の街へと向かう途中で、森の中を通過している。 そこでもやはりと言うべきか、蜘蛛くもに完全支配されていた状態だった。


 だから当然と蜘蛛に遭遇した場合には戦闘になるのだが、今回は私が中心となって戦っていた。 そこで蜘蛛を極太レーザーで始末していたのだが、大雑把な攻撃で殺ってしまうのが問題らしいのだ。


「だからぁ、魔術耐性がある相手にはぁ、魔術の強度を上げれば問題ないのですぅ」

「そうは言われてもなぁ」


 どうやら魔術耐性や魔術障壁を用いてくる相手には魔術の強度を上げるのが常識らしく、私みたいに力押しするのは邪道らしいのだ。


「その方がぁ、魔力消費も少なくて済みますしぃ、疲れなくて良いですよぉ」

「魔術の強度ねぇ」


 魔術には強度と言うか密度みたいなモノがある。 例えば単純なウインドエッジでも強度を上げれば、ある程度の魔術障壁などは突破出来るらしい。


 理屈は分かるのだが、いざ実践となると意外と難しい。 魔力を通常よりも緻密に練り込むと言うか、編み込むイメージに近い。


 だが私は緻密な作業が苦手だったらしく、この編み込みが難しいのだ。 思わずバーンと力押しでやりたくなる。 だって魔力なんて最近の私にとっては無尽蔵むじんぞうに近い程にあるのだ。


 だから大技ばかりで戦っていたのだが、それだと魔力のめだったりの時間が掛かってしまい、すきになってしまうらしいのだ。


 それに連射速度にも大きな差が出てしまうらしい。 ヘルが難なく敵をほふっていたのは、緻密な魔術を連続で使用していたかららしいのだ。


 言うなれば私は大鑑巨砲主義みたいなモノで、一発一発の威力は凄いのだが懐に入り込まれると、極端に弱くなるらしいのだ。


 とは言っても再生能力に自信がある私にとっては、別に懐に入り込まれても命の危険を感じる事は無いのだが、そう言う問題では無いらしい。


 要はスマートさに欠ける戦い方、別の言い方をすれば泥臭く見えるらしい。 そりゃぁ、ドタバタして見えるハズだ。


 私だってスマートな戦い方をしてみたい。 て言うか、このままだと私はうっかり八兵衛みたいなポジションに収まりそうで怖いのだ。


 だってハトリは何事もない様に一刀両断するし、ヘルは何でも意外とそつなくこなす。 対して私だけが、出力任せの移動砲台みたいな戦い方。


 うん、何だか恰好が悪いよな。 剣の達人と魔術の達人に付き添う脳筋幼女。 そんな見られ方をするのは嫌だな。


 魔術を繊細に編み込む芸当なんて出来ないので、魔力密度を「これでもかっ!」って位に込めて魔術レーザーを放ってみる。


 すると確かに蜘蛛の魔術耐性をアッサリ突破して貫通鵜する。 だがそれでは小さな貫通痕が残るだけで、相手を倒すには至らない。


 そりゃそうか。 極太魔術レーザーを極強出力レーザーにしただけだもんな。 貫通力は段違いだけど、殺傷能力が上がるワケではない。


「こうするんですよぉ」


 などと言いながらヘルは、緻密に編み込まれたウィンドエッジで相手の蜘蛛を両断した。 なる程、近くで見る私の魔術との違いが良く分かる。


「なぁ、もうちょっと近くで見ても良いか?」

「良いですよぉ!」


 そう言いながら、次々と蜘蛛を両断していく。 私の尻を撫で回しながらでなければ絶賛したい位の力量だ。


「なぁ、お尻をいじられていると集中出来ないのだが?」

「授業料ですぅ」


 私も真似をして魔術を編み込んでウィンドエッジを放ってみたのだが、私のは編み目がグチャグチャで防がれてしまう。


「これが魔術を編み込むって事なのか…」

「チェーンステッチとかもあるのですぅ」


 そう言えば、前世の私って裁縫さいほうが苦手だったよな。 とか関係ない事までも思い出してしまう。


「更にこんなんのもありますよぉ」

「おおぅ、すげぇ」


 魔術の編み込みと言うよりも、最早刺繍(ししゅう)だ。 綺麗なバラの刺繍だったり、蝶の刺繍とか様々だ。 それでいて威力が申し分無いのだから始末が悪い。


「複雑に編み込まれた魔術はぁ、対処したり解呪したりするのが難しくなるのですぅ。 呪術では常識ですよぉ」

「呪術まで使えるのか?」

「当然ですぅ。 ふんす!」


 そりゃそうか。 死神の呪いなんて、ける気がしないもんな。 そんな呪術が得意な死神なら、普通の魔術ですらあの編み込みは理解が出来る。


 しかもソレを、何事もないみたいにパパッと編み込む姿は職人芸とさえ言える。 そっかぁ、呪術かぁ。


 言うなればヘルの魔術は、呪術職人のソレだったのだ。 いや、イキナリ職人芸をやれとか言われても、出来るワケないだろ。


 考え方を変えてみよう。 例えば強度がある事で有名なカーボンナノチューブは六角形で構成されている。 ハニカム構造だってそうだ。


 単純な六角形の組み合わせでも強度を増す事が可能なのだ。 ならば魔術ではどうだろう?


 編み込みとは少し違うが強度さえ何とかすれば、魔術障壁や魔術耐性を突破出来る気がする。


「これならどうだっ!」


 私はカーボンナノチューブを参考にした魔術の糸で、蜘蛛の切断を試みる。 ってうぉぅ、切断出来たぞ!


「面白い魔術なのですぅ」


 ヘルは私が編み出したカーボンナノチューブもどきをサラッと真似をして、他の蜘蛛を両断する。 クソぅ、だから天才って嫌いだ!


 こうして私は、新しい魔術を習得したのだった。



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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新作:


VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~


https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902

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