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第254話 再会編 ~えっ? 再会ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「くそぉ、どうすっかなぁ」


 とある街の宿屋で不貞腐ふてくされる幼女、ハイガンベイナ7歳です。


 私は今、ある蜘蛛に支配された都市の攻略に行き詰まっている。 そう、あの矢鱈やたらと防空能力に秀でた都市だ。


 時間を掛ければ攻略出来そうな気もするのだが、もしも蜘蛛の増殖能力が勝っていれば、それは不可能になる。


 いや、餌が無限にあるでなし増殖にも限りがあるだろう。 だからと言って新たな街や都市にでも攻め込んで食料問題が解決されれば、事態は更に悪化する。


 そう、攻略しなければならない街が増えるのだ。 そんな理由もあって早くあの都市の攻略に掛かりたいのだが、良い案が浮かばないのだ。


「仕方がない、外食でもして気分を変えるか」


 それまで不貞寝ふてねをしていたベッドを離れ、部屋から出てロビーへ。


「少し外出してくる」


 それだけを受付嬢に言って、宿を後にした。


「この街は平和だな」


 ふと街を行き交う人々を眺めながらふと、そんな事を思う。 ここはアカシックレコードから探し出した街で転移でやって来たのだが、このままだとこの街の未来は決して明るくは無い。


 そう、この街もいずれは蜘蛛たちの襲撃に沈む予定の街なのだ。


 防衛能力は一般的な街と同じく衛兵が中心で、軍部などが存在する特別性も無い。


 確かに街の治安を維持するには十分な衛兵がいるし、一応外壁と呼べるモノもある。 人間の襲撃にならば耐えられるのかも知れないが、数の暴力を得意とする蜘蛛たちの敵では無いだろう。


 ある意味では、この街の未来は私が握っているのだ。 ペース良く蜘蛛に支配された街や都市を滅ぼしていけば、この街が襲われる事は無いだろう。


 今まで蜘蛛に支配された街を思い出しては、ふと、この街の平和な現状を見ながら思ってしまうのだ。


 大量の蜘蛛たちの襲撃を察知した人間達は、街の門を閉ざして蜘蛛の侵入を防ぐ。 それに合わせるかの様に蜘蛛たちは、門を糸で厳重に封印して街の外に出られない様にする。


 そうなればこの街はまな板の上の鯉と同じになる。 後は数にモノを言わせて襲えば良いのだから。


 普通の魔物なら効果がある外壁だが、蜘蛛たちにとっては乗り越える事に苦労すらしない。 それどころか食料の人間を閉じ込める便利な壁だ。


 蜘蛛の成体の強さなんてオーガと似た様なモノなのだろうが、壁を垂直に登る事だって出きるしジャンプ力は比べ物にならない程に高い。


 確かに街の衛兵でも数人がかりなら、蜘蛛の1体を始末する事は可能なのだろうが、残念ながら非常に統率された群れで中には魔術やブレスを使う個体も多い。


 もしも運良く騎士団などが駐留していたとしても、事態が好転する事は無いだろう。


 更に人間にとっては予兆が分かりにくいなんてのもある。 戦争の予兆なら商人ネットワークなどを通じて物価の高騰などから予想出来る事もある。


 盗賊の仕業なら、金目の物だけを奪って逃してくれるケースだってあるし、何より護衛が多い商隊なんかは教われない。


 だが、行商人も商隊も騎士団さえもある日突然、消え去ってしまうのだ。 どちらかと言えば、あの街から商隊が来なくなったなぁなんて位の出来事。


 だからと言って、疑問に思った誰かが蜘蛛に支配された街に使いを送ったとしても消失するだけ。 結局は分からず終いになるだけだ。


 結果としては、極一部の人間だけが不安を感じ、そしてその他多くの人間達は何事もない平和な日常を過ごす。


 事実を知れば、ここに住む住人達はどうするのだろうか? 他の街に逃げる? それとも討伐軍を組織してもらう様に陳情する?


 まぁ人間達の軍隊が勝利する未来が見えないのだが、私の知った事では無いな。


 私は街を歩きながら一軒の人気のありそうな料理店に入った。 人間が絶滅してしまったら食べられなくなる料理かも知れないからね。


「お嬢ちゃんは1人かい? 親御さんは?」

「金らなある。 オススメ料理を一人前頼む」

「ん? ワケありかい? 何なら相談に乗ろうか?」

「そうだな。 なら一騎当千のドラゴンスレイヤーでも頼めるかい?」

「いやぁ、流石にドラゴンスレイヤーの知人はいないかな。 常連客の中に衛兵がいるんだけど、紹介でもしようか?」

「ならいい。 悩みが吹き飛ぶ位の美味しい料理を頼む」

「それなら任せてくれ。 飛びっ切りのヤツを提供しよう」


 店の中は思っていた通りに繁盛している様子で、会話と食事、そして酒を楽しむ連中までいる。 あの話し掛けてきたオヤジが主人なのだろう。


 その人柄も好かれているのか、アットホームな印象さえ受ける料理店だ。


 そんな客たちをぼんやり眺めていると、見覚えのある黒衣の女と少女の組み合わせに目が止まった。


「あれっ? もしかして、ヘルと…ハトリ?」


 気が付いた時には自分の席から立ち上がって、ヘルたちの方へと向かっていた。


「久しぶりだな。 ヘルに…ハトリ?」


「あっ、ママなのー」

「お久しぶりですぅ、ベイナ樣ぁ。 あっ、ちょっと強くなってますぅ?」


「本当にハトリなのか? 何だか大きくなっているし、それに神格を…得ている?」


「うん、ハトリも神様の仲間入りをしたのー」

「ハトリちゃんには悪徳領主軍とか悪徳商人連合を処分して貰いましたぁ」


 なる程、各地を巡って悪徳領主とか悪徳商人とかを討伐していたのか。 そしてその魂をハトリに吸収させたと。


「恨まれている人間ってぇ、怨霊とかが取りいているので見つけるのは簡単なのですぅ」

「それにしたって、10や20じゃぁ神格を得る程の魂は集まらないだろ?」

「見方をしていた軍隊とかギルドとかもぉ、まとめて刈り取ったんですぅ。 お陰でふところも温々《ぬくぬく》ですぅ」


 神格を得るのにはどの位の魂が必要なのだろうか? 個人的には数千や数万は必要なんじゃないかと思っていたのだが。


 ハトリの外見は、以前のような童女と言うよりも少女と言った感じだし、その上神格を得ているからか、少し輝いて見える。


「なぁ、モノは相談なんだが、攻略したい都市があってな。 少し協力して貰えないか?」


 だから私は、ヘルとハトリに協力を仰いだ。



少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。


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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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新作:


VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~


https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902

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