表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
252/300

第252話 再会編 ~えっ? ドッグファイトですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「ん? 何の反応だろ?」


 アカシックレコードの記録に基づいて蜘蛛に占領された都市に向かう最中に、空中を高速で移動する反応を捉えた。


 再び空中戦を仕掛けられそうな幼女、ハイガンベイナ7歳です。


 今度の反応は以前の空中戦とは違い2~3個の反応が一つのグループを構成し、そのグループが6つ程ある状態だった。 まるで飛行機の編隊みたいな反応だ。


 それに移動速度だって速い。 時速にすれば600キロはあるのではないだろうか。 いや、リニアモーターカーじゃあるまいし。


 とは言え私の速度の5分の1くらいだから、最高速度としてはまだ余裕がある。 だが油断出来ない速度なのは間違いない。


 いくら私と言えども、旋回する場合なんかには速度が落ちるし相手の運動性能が高い場合、つまり小回りが得意なときなんかには苦戦する可能性がある。


 だって慣性の法則や空気抵抗を無視出来るワケではないからね。 G耐性には自信があるとは言っても、空中戦の経験は大して無いのだ。


 そりゃぁ前世では空中戦なんてゲームの中でエースパイロットだったってだけで、この世界での実戦経験は数回程度だ。


 そもそも空を飛んで襲ってくる相手なんて、少ないのだ。 経験なんて積みようが無かったからね。


 更に気になるのは、相手がスクランブルして来ている様な印象を受ける事だ。 だってソレは、相手の探知能力が私を上回っている事を意味しているのだから。


「よし、気合を入れるか」


 光学迷彩でも使って透明になろうかとも考えたのだが、意味が無い事に気が付いてあきらめた。 多分、飛行機雲のセイで位置なんてバレバレになるだろうし。


 飛行機雲ってのはジェットエンジンの排出口から出るモノだけではないのだ。 要は断熱圧縮された空気が膨張する時に発生するモノだから、速いレシプロ機なんかは翼の先端からも発生する事がある。


 それに人間の形状ってのは空を飛ぶのには向いていないので、体中から雲を引く事になりそうな気がするからだ。


 まぁ今までの空中戦は楽な戦いが多かった事もあって、ろくに意識した事も無かったからね。 囲まれない様に注意しながら戦うしかないだろう。


 心のギアを上げて、速度も音速を突破する。 すると、2つの編隊はそのままこちらに直進して来たが、残りの編隊はブレイクをしてサポートの位置へと移動する。


「うわぁ、ますます嫌な予感がしてきた」


 私は言ってみれば、機銃しかないジェット戦闘機だ。 ホーミング機能がある攻撃方法なんて知らないし、ステルス機みたいに相手の探知をすり抜ける方法も無い。


 その上、数的不利も加わるのだから、苦戦するのが目に見える。


 軽く挨拶代わりにブレスを放ってみるが、相手には余裕を持って回避された。 くそっ、やっぱり戦い慣れてやがる!


 だったらもっと接近して…、なんて思っていたのがマズかった。 気が付いた瞬間には、自分の周囲の空間が爆発しだしたのだ。


「どわぁぁぁ~!」


 流石さすがに致命的なダメージを負う事は無かったが、集中が切れて相手を見失ってしまった。


「慣れているどころか、連携まで上手いなんてっ!」


 私の障壁を突破するまではいかないが、明らかに魔術の威力も今までとは比較にならない。 負傷とまではいかないが、痛いものは痛いのだ。


 それに度重たびかさなる爆撃を受ける事によって、気配察知や魔力探査をする集中力が削がれるのが致命的だ。 1対1なら楽勝な相手なだけに腹立たしい。


 神力による攻撃は空中戦となると射程距離が短くて使い辛く、かと言って魔術やブレスによる攻撃では距離があればかわされてしまう。


 やはり接近戦による各個撃破しか無いのではなかろうか? 決してスマートな戦い方とは言えないが、他に思い付かないのだから仕方がない。


「くそがぁぁぁ~っ! 【爆ぜろ!】」


 何とかフルボッコになりながら、相手を一匹ずつ撃破していく。 こんな時、あの黒竜王ならどんな戦い方をするのだろうか?


 爆発まみれになりながら、衝撃波で揺さぶられた頭で考える。 私の攻撃を受けながらも黒竜王は的確に反撃をしてきていた。


 防御と回避と探知と攻撃、それら全てを同時に行っていた印象さえ受ける。 まるで、それらが自然であるかの様に。


 私に出来るかな? そんな高等技術。 うん、無理だ。 未来の私に期待しよう。


 だけど蜘蛛くもなんかに苦戦していると思われるのが何だか腹立たしく思えて、無理やりに笑顔を作って爆炎の中を突き進み、目標にした個体に接近する。


「【ぜろ!】、【爆ぜろ!】、【爆ぜろ!】」


 訓練の成果なのか、それとも単なる習性か。 数が減ろうとも関係無しに私に適切な攻撃をしてくる蜘蛛たち。


 こっちは単なるやせ我慢だが、勝敗が少しずつ明らかになる。 まぁ、防御力の差で勝ったとでも思うとしよう。


 残りは数匹。 もう勝負は決まっているハズなのだが、一向に引こうとしない蜘蛛たち。 強い意志と言うよりも執念に近い何かを感じる。


 全く嫌になるね。 自分を正義の見方だなんて思わないケド、これじゃ単なる悪役だ。


 いや、コレが生存競争を掛けた戦いなら善も悪も無いんだろうけど、私にあるのは使命と言うより面倒の回避。 どちらかと言えば我侭わがままなのかも知れないな。


 食べ物を作る人間がいなくなると面倒だ。 服を作る人間がいなくなると面倒だ。 そして、黒竜たちにからまれると面倒だ。


 まぁ良い、私は悪で充分だ。 悪いが悪を通させてもらう。


 蜘蛛たちが必死に守っているのは子蜘蛛たちなのか、それとも親蜘蛛か。


「殺ス、殺ス、殺ス、殺ス、殺ス、殺ス、殺ス!」


 それは私の言葉だったのか、それとも蜘蛛の言葉だったのか。 そんな事を思ったのは最後の蜘蛛を始末した後だった。


 勝ったのは私だったが、その時に感じたのは人間か、それとも私に対する憎悪みたいな感情だった。


 もしかして蜘蛛たちは、餌を確保する目的で人間の街を襲っているではなくて、何かに対する復讐として街を襲っているのかも知れないな。


 まぁ人間は、全ての動物は人間のために神によって作成されたって公言する宗教があるくらいだからな。 私と同じくらいには人間は恨まれていても不思議じゃない。


 だがどっちにしたところで、やる事は変わらない。 全ての蜘蛛たちを殲滅せんめつするだけだ。


 やっぱり私は邪神なんだな。 そんな事を考えながら、目的の都市へと目を向けた。



少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

新作:


VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~


https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ