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第246話 闘争編 ~えっ? 蜘蛛の魔王ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「なぁ、イリス。 お前はどうして蜘蛛くもの抹殺を私に命じたんだ?」

「あー、その事かぁ。 実は他の国が蜘蛛に滅ぼされた事があってな。 色々な理由も含めて無視出来ない状態になってきているからだ」


 蜘蛛を抹殺する知りたがる幼女、ハイガンベイナ6歳です。


「具体的には?」

「バスラント王国って聞いた事があるか? 魔の森の西側にあった国なんだが?」

「知らないな」


 そう言えば私は、魔の森の東側から出たんだっけか。 あの時は自分が魔王呼ばわりされて落ち込んでいた時だったけ。


 ん? だとすると、私が生まれた場所って魔の森の西側だった可能性もあるのか。 どの方角から送り込まれたのかは知らないけど。


「まぁいい。 そこで近年、魔の森から出てきたと思われる大蜘蛛の魔物に村や街が襲われる事件があったんだ」

「魔の森に住んでいた事もあるんだけど、蜘蛛の魔物に出会った事は無いな」


 ハトリと出会ったのは、魔の森の中にあるダンジョンだったしな。 あの森で一番物騒だったのは魔女様くらいで、いても精々犬系や狼系の魔物、そしてゴブリンやオーク、オーガといった一般的な魔物くらいだったと思う。


「問題だったのは、その大蜘蛛の魔物なんだが食べた相手の異能などを一定確率で獲得する能力があった事だ」

「ん? それってハトリの能力に似ている気がする」

「そう言えば、お前はあの子蜘蛛の娘とは何処で出たったんだ?」

「それは魔の森にあったダンジョンの上層だったと思う」

「意外と発生場所は、そのダンジョンかも知れないな」

「そうかなぁ…」


 あのダンジョンでは、ハトリはヒエラルキーの底辺あたりだった様に思う。 そりゃぁダンジョンから逃げ出した蜘蛛の魔物がいたかも知れないが、ゴブリンくらいにしか勝てない気がする。


「その大蜘蛛の魔物って、強さはどれ位なんだ?」

「出てきた時点で、ヒドラよりも強かったんじゃねぇか? 再生能力やブレスの能力もあったみたいだし、人間の軍隊じゃぁ一方的に殲滅せんめつされていたみたいだぞ」


 うげぇ、まるでハトリの近接種を意図的に強化された個体みたいじゃないか…。 まさかね。


「でも、ヒドラ程度で人間の国が簡単に滅ぶとは思えないんだけれど?」

「それがな、出会った魔物や人間の異能を片っ端から取り込んだみたいでな、様々な魔術を使ったり配下の蜘蛛を生み出したりして、まるで軍隊でも指揮しているかの様に人間の街を駆逐していったらしい」

「つまり、多様な能力を保持している上に、知能まで高いと?」

「そう言う事だ。 今では蜘蛛の魔王として人間どもには恐れられているみたいだな」


 蜘蛛の魔王ねぇ。 そう言えば、今回倒した親蜘蛛も言葉を話していたよなぁ。 配下まで知性を得ているのか。


「それじゃぁさ、今度はその魔王の配下たちが街を落としていたりするのか? 今回みたいに」

「あぁ、そうだ。 各部隊を指揮しているのは魔王直属の配下みたいなんだが、数が多くてな。 近隣の国や街を落としまくっている最中だ」

「でもどうしてソレを黒竜たちが気に掛けるんだ? ハッキリ言って、蜘蛛の魔物なんて敵じゃないだろ? 人間の見方をする理由も無いし」

「生態系が変化しかねんし、その内、我々を脅かす個体が現れないとも限らんからな」

「じゃぁ黒竜総出で滅ぼせば良いじゃないか」

「お前の様に、暇をしている連中ばかりではないって事だ。 それに、お前の実力を測るのに良い機会だからな」

「もしかして、私って面倒事を押し付けられたりしてるのかな?」

「ハハハハハッ! そうとも言うな。 ちなみに拒否権も無いからなっ!」


 黒竜たちが普段、何をしているのかは知らないケド、ひどいんじゃないかな。 でも黒竜たちの恨みを買っていなかったのは幸いか。


 それに大体の理由や現状が確認出来たのも僥倖ぎょうこうだ。 私だって将来的には引きもりたいとは言え、人間がいなくなってしまうのは正直に困る。


 だって、食料や衣類、道具なんかを生産しているのは主に人間だからね。


 いくら私がコミュ障だとしても、自分で衣服を作ったり農業をしたりしたいなんて思わない。 いや、多分出来ない。


 だとすれば、私にだって蜘蛛の魔物を討伐する理由がある事になるな。 面倒だけど。


「それで、蜘蛛に滅ぼされた街ってどれくらいあるんだ?」

「ん? 知らないぞ。 少なくとも数百か数千じゃないかな」

「桁が違ってんじゃねぇーか!」

「だって、ネズミ算的に増えているんだぜ? それに誰がそんな調査をやるってんだよ」

「えっとぉ、偉い人とか?」

「最悪の場合は、街ごと吹き飛ばせば解決するだろ? 増え過ぎる様なら、その時になってから考えれば良い話だ」

「その時は、人類滅亡の危機でもあるって事か」

「蜘蛛の魔物って食った事があるんだけど、大して美味くはねーんだよ。 言ってみれば食糧危機ってヤツだな」

「理由が凄く乱暴だった!」

「まぁ、そんなに心配するなよ。 人間なんて勝手に増えていくモノだし、何処にでも住み着くからな。 ハハハハハッ!」


 現状では私がやらないと、人類の半数は絶滅しそうだな。 それ位まで事態が発展しないと、黒竜たちは動きそうにないし。


 私は別に勇者でも英雄でもないんだがなぁ…。 どちらかと言えば邪神寄りって気がするし。


 でもまぁ、仕方が無いか。 別に黒竜の支配者層に入りたいワケじゃないんだけれど、バトルジャンキーの黒竜に喧嘩を売られるのも困るし。


「だからと言ってどうすれば良いんだ? 蜘蛛に襲われている街なんて、他には知らないんだが?」

「いやいや、だから誰も調査なんてしていないんだって言ったろ? お前、千里眼的な便利な能力とか持ち合わせていないのか?」

「そんなのあるワケ無いだろっ!」

「ちっ、使えねーな。 それなら片っぱしから街を訪れて廻るしかねーんじゃねーの?」

「そんなぁ」


 とは言え、確かにどの街が襲われているかなんて、知る方法が無いんだよな。 別にどこかに記録があるワケじゃ無いんだし。


 ん? 記録?


 そう言えば、アカシックレコードに記録される条件って何なんだ? 神話や物語の中じゃぁ、発生したあらゆる事象が記録されるんだっけか?


「試してみる価値はあるかも知れない」

「おっ、何か思い付いたのか?」

「まぁ、心当たりと言うか何と言うか」

「じゃぁ、早速やれ!」

「へいへい」


 意識をアカシックレコードへと集中する。 えーと、条件は何かな。 最近、蜘蛛の魔物に襲われた集落とか街とかだろうか?


 相変わらずアカシックレコードってのは、乱雑な記録だな。 データベースがあってもSQLや検索エンジンが無い感じだ。


 本当にこんな事で、調べられるのかな? でも、他にアテなんて無いし。


 あっ、あった! えーと場所は…、今いる地点? しかも私が街を滅ぼした事になっているし。


 どうやら道は長そうだ。



少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。


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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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新作:


VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~


https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902

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