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第242話 闘争編 ~えっ? 探索ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「どりゃぁぁぁ~っ!」

「ふむ、どうやら今のヤツが最後だったみたいだな」

「だねっ!」


 森の蜘蛛くも殲滅せんめつし終えた幼女、ハイガンベイナ6歳です。


 気配と魔力探査を合わせた探索の結果では、周囲に蜘蛛の存在は確認出来ない。 いや、蜘蛛どころか魔物や動物の気配すら見当たらない。


 連中は、この森で食べられる物なら何でも食い尽くしたのだろう。 とは言っても小さな虫や小動物くらいなら残ってはいるのだが。


「ここは住処と言うよりもベースキャンプみたいなモノだったのだろうか?」

「かもな。 だとすると近くにある集落や家畜なんかも狩り尽くされた後かも知れないな」

「まさか、今から探索を開始しろだなんて言わないよな?」

「そこまで鬼じゃねーよ。 適当に保存食でもかじって寝ろ」

「イリスの分はどうするんだよ。 私は人族が食べる様な物しか持ち合わせていないぞ」

「自分用の保存食ならアイテムボックス内にあるに決まっているだろ。 お前らの分は無いケドな」

「だろうな」


 そう言えば、ミーティアの奴は随分と静かだな。 何故だろう?


「なぁミーティア。 お前ってそんなに素直だったのか?」

『上異種には逆らわない事にしているです。 お前には関係ないのです』

「なぁイリス。 お前はミーティアに何をしたんだ?」


「あん? このガキンチョにか? 少し上位者に対する接し方を教えただけだぜ」


 知らない間に何やらマウンティングの様な事が行われていたらしい。 深く追求するのは止めておこう。 飛び火するかも知れないからね。


 くわばらくわばら。


 と言うことで、早速自分の食料を用意する。 まぁ用意と言っても、火を起こす事すら面倒になっていたのでアイテムボックスの片隅に眠っていたパンと干し肉、そして飲み水を少々。


 本当なら簡単な料理くらいはしたかったのだが、思いの外に疲れていたのだ。 何だか億劫おっくうになってしまったのだ。 何時間戦っていたのかすら感覚が麻痺しているし。


「お前もコレで良いか? ミーティア」

『我慢して食べるです』


 本当に素直だ。 イリスの前だからだろうか?


 それは食事と言うよりもエネルギー補給の行為と言う感じのモノだったが、ミーティアも大人しくモソモソと食べている。 まぁね。 私も美味しいとは思わないので同じくモソモソとしているのだが。


「食ったら寝ろ」

「へいへい」


 それぞれが食料を胃へと流し込み、そのまま地面に横になる。 野宿なんていつ以来からだろうか? 柔らかいベッドが懐かしいな。


 そして固い地面で眠れるのかと危惧きぐもしていたのだが、気がついた時にはもう朝だった。 どうやら本当に疲れていたみたいだな。


「朝飯を食ったら昨日の続きだ。 今日は行動範囲を広げるぞ」

「了解だ」


 案外熟睡した結果なのか、目覚めもそんなに悪くない。 こんな生活がしばらく続くと思うとやるせない気分にもなるが、贅沢ぜいたくは言っていられない。


 強くなると決めたのだから。


 朝食後、空への飛行も許可されたので前日同様の探索を行う。 今回は範囲を広げて気配と魔力探査を併用して索敵を行った。


「妙と言うか当然と言うか、ろくな生命反応すら見当たらないな」


 本当にあの森をベースキャンプ代わりにでもしていたのだろう。 途中では人が暮らしていたと思われる集落も発見したのだが、当然の様に無人だった。


 いなくなった人や動物、魔物たちはどこに連れ去られたのだろう。 勿論、その場で食べられた可能性もあるのだが、派手な血痕などが見当たらないのだ。


 そう言えば、もう少し移動すれば、あの街に到着するな。 あの時は蜘蛛の襲撃から逃れるように脱出したけれど、今はどうなっているのだろう?


「確認したい場所があるのだが、そちらへ向かっても構わないだろうか?」

「ん? 行く宛があるんなら構わないぜ。 確認した限りでは、蜘蛛はこの近辺にはいないみたいだしな」

「じゃぁそちらへ向かう」


 確認したいんだか、したくないんだか。 何だか見捨てた場所に向かう気分で空から向かう。


「マジかよ」

「ほぅ、根城で間違いないみたいだな」


 空から確認する限りでは、街の出入り口が白い糸で被われている。 いや、門だけじゃないな。 まるで街その物を蜘蛛の巣にでもしたかの様に、至る所が糸で被われている。


「街の住人は、脱出すら出来なかった様だな」

「そりゃぁ蜘蛛からすれば、最高の餌場えさばだろうからな。 念入りに餌のじ込めも行ったんだろうさ」

「だよね」


 気配や魔力探査を広げてみれば、確かに生命反応が多数存在する。 だが、大掛かりな移動は無い。


 特に過剰なまでに糸で被われた部分では、密集するかの様にそこでジッとしているし、死にかかっているモノも多い。 かと言って、建物の中などには生命反応は存在しない。


「あの白い塊は奴等の食料貯蔵庫なんだろうか?」

「半分正解だな。 もっと気配をよく観察してみろよ」


 言われたように集中して気配察知を使ってみる。 えーと、これは人か? 移動できないのか、集中する様に集められている。 あっ、死にかかっているのも人だったのか。


 さらにそれらに群がる弱い蜘蛛の反応が多数存在する。 なんだコレ? 子蜘蛛か?


 あっ、そうか。 子蜘蛛の保育園みたいなモノか。 蜘蛛に保育の概念があるなんて思わなかったな。


 そう言えば、とらえた虫に直接卵を産み付ける蜘蛛のいるんだっけか? しかし数が尋常じゃないぞ。


「あそこが蜘蛛の産卵場所だったとして、産み付けた親は何処にいるんだ?」

「よく観察してみろよ。 一匹だけ異様なのがいるだろ?」


 ん? 異様な奴? そう言われてもなぁ。 大人の蜘蛛は至る所にはいるんだが、子蜘蛛ほどは多くはない。


 あれ? 何だコレ。 存在感は希薄なのに普通の蜘蛛よりデカい奴がいるぞ。 気配遮断だろうか? 面倒な匂いがプンプンする。


「楽しい訓練になりそうだな」

「出来れば遠慮したいなぁ」


私は素直にそう思った。



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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新作:


VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~


https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902

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