表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
238/300

第238話 闘争編 ~えっ? ブレスですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「これが、黒竜のブレスなのか?」

「及第点と言ったところだな」

「この惨状で?」


 ブレスの威力におののく幼女、ハイガンベイナ6歳です。


 辺り一面は焼け野原になっていた。 蜘蛛くもの陰すら見当たらない。


「気配も近くには無いみたいだな」

「な? 簡単な相手だっただろう?」

「いや、そう言う問題じゃぁ…」


 イリスは少し満足気に頷いているが冗談じゃない。 黒竜王のイメージがあったから参考にしたのだが威力があり過ぎだ。


 地面の一部は融けた様に今なお、仄かに赤く輝いている。


 自分の周りが敵だけなら問題無いかも知れないが、混戦状態ならば必ず味方を巻き込んでしまうだろう。 それに加えて周囲の被害も無視出来ない。


「なぁ、もう少し威力の少ない攻撃方法とか無いのかな?」

「何故だ? 威力は弱いよりも強い方が良いだろ?」

「これじゃぁ下手すりゃ味方も巻き込んでしまうだろ?」

「黒竜の戦いは、一人でするモノだぞ?」

「私には仲間がいるんだよっ!」

「何と弱者な戦いか。 必要無かろう?」

「必要なんだよ!」


 それに手加減したとは言わないが、半信半疑で放ったブレスがこの威力なのだから始末が悪い。 本気を出せばまだまだいけそうなんだよな。


「それならば魔術で再現すれば良いのではないか?」

「アイツら魔術に対する耐性が高かったハズなんだが?」

「バカめ。 黒竜が放つ魔術がそんなに弱いはずなかろう? 耐性ごとブチ抜いてしまえば良い」

「そうは言われてもなぁ…」

「さっさと黒竜である事を自覚してしまえ。 そうすれば魔術なんて児戯じぎにも等しいと気付くハズだ。 黒竜は魔術も大得意だからな」

「黒竜としての自覚か…。まだイマイチ、ピンと来ないんだよな」

「魂に身をゆだねるだけだろ? ピンと来るも来ないもない」


 黒竜としての自覚ねぇ。 何だか自覚するのが危ない予感がするんだよなぁ。 タダでさえ黒竜の技を使うと破戒衝動が上がっている気がするんだ。


 もしも黒竜としての意志に全てを任せてしまえば、戻ってこれるかどうかすら自信が無いんだ。 黒竜ってバトルジャンキーなのではないのだろうか?


 今ですら心のどこかでイリスと全力で戦ってみたいって思ってしまっているんだ。 イリスの強さが判るから。


 強い奴と戦いたい。 そんな思いが心の中でふくれ上がっていく。


 何でもかんでもイリスの助言に従うのは危険だな。 自分の事を平和主義者だとは思わないが、決して好戦的でも無かったハズだ。


 マインドコントロールの修行も同時に行った方がよさそうだな。


「ほら、いつまでボサッと休憩してやがる! まだこの森の中には蜘蛛の気配が残っているだろ、さっさと行け!」

「へいへい」


 確かに蜘蛛の気配は残っている。 警戒でもされたのだろうか? どうやらこちらの存在には気が付いているみたいなのだが、近寄って来る様子が無い。


 とにかく走って一番近くの気配に向かってみる。 歩いていると文句を言われそうってのもあるのだが、今は気配だけに集中したいのだ。


 その為には破戒衝動が邪魔過ぎる。 黒竜を自覚すればする程、蹂躙じゅうりんしたい欲望が暴れだしそうになるからだ。


 この状態で、ブレスの魔術化も行うのか? 無茶苦茶難しいぞ。


「ほら、見えたぞ。 とっとと殲滅せんめつしてしまえ」

「くそう! 上手くいかない! こうか?」


 取りえずブレスだけを意識して、手からビームっぽいモノを射ってみる。 あっ、耐性に弾かれた。


「黒竜だって自覚しろって言っただろ!」

「それならこうだっ!」


 まだ耐性を貫く程の威力は無い。


「くそっ! くそっ! くそっ!」


 ほんの少しずつ意識の拘束を解き放つ。 確かに威力は少しずつ上がってきてはいるのだが、まだまだ出力不足みたいだ。


「くそっ!」


 半分ほど意識を手放してビームを放つ。 すると今度は極太の熱線になって、標的の蜘蛛を消し飛ばした。


 ついでに後ろの森も景気良く吹き飛んでしまったが…。


「くそっ! ピーキー過ぎんだろ!」


 何だろう? ドッカンターボとでも言うのだろうか? まるで強と微風しかない扇風機みたいだ。


 手の平からビームを出しているのが悪いのだろうか? ならばと次の蜘蛛は指先から放ってみる。


 貫通はしたが死んでない。 しかも貫通力だけが上がった様な印象さえ受ける。 続けて射ってみたが、何だか小さい穴が開くだけで殺すには不十分みたいだ。


 このまま射ち続ければ殺す事も可能なのだろうか、何だか甚振いたぶっているみたいでスッキリしない。


 ブレスを再現しようと思っているのが間違いなのだろうか?


 そう言えば、黒竜は魔術が得意なんだっけか? ならば爆発するイメージならどうだろう。 確か黒竜王も空中機雷みたいな魔術を使っていたハズだし。


「吹き飛べぇぇぇ~っ!」


 あっ、ヤバっ。


「ひぇぇぇ~っ!」

「何を遊んでいやがる!」


 凄まじい爆風に吹き飛ばされながら、己れの失敗を悟った。



少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

新作:


VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~


https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ