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第231話 闘争編 ~えっ? 新しい街ですか?~

 しばらく南に向けて飛行を続けていると、新しい街が見えてきた。


「ハトリ、あの街で休憩しないか? もうすぐ限界だろ?」


「休むのー」

「じゃぁ私たちも休憩するのですぅ」

『なぁ、街の様子がおかしくないか?』


「えっ? あれ? 人がいない?」


 人がいない街に降り立つ幼女、ハイガンベイナ6歳です。


 ハトリはあまり長距離の飛行が得意ではないので、そろそろ休憩が必要なのではと思っていた時に見つけたのが、この街だった。


 普通の街と変わりなく防壁に被われ、雰囲気は至って一般的な街だった。


 その街の広場に降り立ったのだが、人の姿が見当たらない。 まるで見捨てられたかの様だ。


「どうしたのだろうな? よく見れば街の所々に争った跡があるし、戦争にでも巻き込まれたのだろうか?」

「でも2階部分が壊れていたりして、戦争にしては不自然ですよぉ?」


 言われてみればそうだ。 確かに人と人が争ったなら地面に近い部分から壊れるのが一般的だ。 普通人間は、空なんて飛ばないからね。


「生存者がいないか探してみるか。 魔力探査!」


 魔力探査の範囲を少しずつ広げていき、人間が残っていないかどうかを確認する。 うん、人っ子一人すら存在しない。


 だが、魔力探査が街の半分くらいまで広がった段階で、人間が集められている場所が見つかった。


「うげぇ、手遅れだったかも…」


 人間が集められている状態が異常だった。 魔力探査からの情報なのでなんとも言えないが、直立不動の状態で複数の人間が空中に浮かんでいる。


 しかも、建物の間に吊るされているかの様で、衰弱している個体の他にも既に死亡している者の存在する。


 そして見つけたくなかったのが、その周辺に存在する蜘蛛くもの魔物の反応だ。 かなりの数が存在している様で、中には人間を食事中と思われる個体も存在していた。


 そう、この街も蜘蛛による襲撃を受けていた後なのだ。


 おかしいな。 いくらハトリが長距離飛行が苦手だとは言っても、飛行速度はそれなりに早い。 馬車での移動なら一ヶ月くらいの距離は移動したハズだ。


 つまりそんなに距離が離れた街が、ほぼ同時に襲撃されたと思われるからだ。


 蜘蛛の魔物は空を飛べない。 空を飛べるハトリが特別なだけなのだ。


 となると、蜘蛛の群れは一つではなく複数存在すると考えるのが妥当なのだろうが、こんな特殊な蜘蛛の魔物が繁殖するなんてどんな状況だ?


 ここで住民を助けるなんて選択肢は存在しない。


 私たちには利益が無いし、所詮しょせんは焼け石に水だ。 第一助けたとして何処に逃すと言うのだろうか?


 だからと言って、無視するのもどうなのだろう?


 考えたくはないが、蜘蛛の集団が複数存在している場合、他の街に行っても同じ結果になっている可能性がある。


「少なくとも一当ひとあてして情報を収集するべきなんだろうな」

「どうしたんですかぁ?」

「こも街も蜘蛛の魔物に襲われた結果みたいだ。 しかも街中に巣を作って居座っているみたいなんだ」

「だから戦うんですかぁ? 人間を助ける意味なんて無いと思いますけどぉ」

「いや、助けるのが目的じゃない。 突然現れた蜘蛛の集団が何処から来たの知りたいだけなんだ」

「戦ってもぉ、そんな事が判るんですかぁ?」

「同じ種類かどうかだけでも確認したい。 同じ種類なら、多分出所も同じだと思うんだ」

「その後はどうするんですかぁ?」

「そうだな…。 まだ考えていないけど、場合によっては大元の駆除かな。 でないと安定した移住先すら見つけられない気がするし」

「仕方がないですねぇ。 お付き合いしますよぉ。 ハトリちゃんはどうしますかぁ?」


「疲れたから休んでいるのー」

『同じく休むです』


「じゃぁ私とヘルだけで様子を見に行こう。 種族が確認出来たら、直ぐに離脱する事にするよ」

「じゃぁ私はぁ、見学だけしてきますぅ」


 こうして私たちは気配を消して蜘蛛の巣へと向かった。 念のために光学迷彩まで利用して姿まで消してある。

 だが何故にヘルまで光学迷彩が使えるんだ? せぬ。


 そして蜘蛛の巣に近づくと、周囲を警戒している蜘蛛がウロチョロしていた。 何だか色が緑っぽいと言うか別の種族に見える。


「アナライズ!」


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 種族 : チャイルド・ポイズン・スパイダー


 性別 : ♀


 生命力: 3,200 / 3,200


 魔力 : 2,600


 攻撃力: 620


 防御力: 750


 特殊攻撃技能: 毒牙攻撃、異能収集、ポイズンブレス


 特殊防御技能: 毒耐性、炎耐性、水耐性、風耐性、雷耐性


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「うげっ、別の種族だ」


 どうやら私たちの苦難はこれから始まる様だった。



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