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第230話 日常崩壊編 ~えっ? 引越しですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「もう荷物の収納は終わったのか?」


「私は終わりましたよぉ」

「ハトリも終わったのー」


 ガランとした部屋を見回す幼女、ハイガンベイナ6歳です。


 昨日戦闘を終えた後に帰宅して一泊し、荷物の撤収を行ったのだ。


 決して長い期間ではなかったが、引越しするとなると何だか物寂ものさびしい気分になる。


「結局傭兵生活って長続きをしなかったな」

「ベイナ様って根っからのニートなのではぁ?」

「今度からは大人しく強盗にでもなるよ」

「それが懸命なのですぅ」


 そりゃぁ少しはマトモな職業に就きたいのだが、如何いかんせん年齢がなぁ。 なれる職業なんて限られているし。


 結果として非合法な仕事になってしまうのはご愛嬌あいきょうだ。


「さっさと部屋を解約して、南の街に向かうとしよう」


「そうですねぇ、今度こそ白い庭付きの家が良いですぅ」

「ハトリはお魚が食べられる場所が良いのー」


「じゃぁ、家を出て鍵を締めるぞ」


 そうして家を出て、施錠せじょうする。 本当に短い傭兵生活だったな。


 でも身分証としては有効らしいので、傭兵の身分は残しておこう。 そう言えば、ギルドにも挨拶あいさつに行った方が良いのかな?


 すぐさま商館に行って部屋を解約し鍵を返却する。 そしてその足で傭兵ギルドへとやって来た。


「やぁ、受付嬢さん。 この街を離れる事にしたんだ」

「それは残念です。 あの大蜘蛛おおぐもを退治できる人は限られていますから、私共としては残って頂きたいのですが…」

「判っているだろう? この街は終わりだよ。 数匹を退治したところで全然追いついていないんだから、いずれこの街はあの蜘蛛くも餌場えさばになる」

「考えは変わりませんか? 今なら特別にCランクに上げますよ?」

「傭兵稼業もお休みしようかと思っているんだ」

「残念です」

「それじゃぁな」

「お元気で」


「あの世に行ったら、少しくらいならサービスするのですよぉ」

「バイバイなのー」

『まだまだ眠いです』


 何だか随分とアッサリしたモノだったな。 まぁ傭兵なんて住所不定の最たるものだろうから、当然なのかも知れないが。


 そして私たちは空へと舞い上がり、一路南を目指していく。 警戒も兼ねて魔力探査を最大限で行っている。


 ん? 森とは言わずに、そこかしこから蜘蛛の反応があるぞ。 危機一髪だったな。


 状態から考えるに、今夜あたりにはあの街は完全な蜘蛛の支配下に入るだろう。 昨日の戦いでも傭兵たちは大した戦力にはならなかったし、正規兵なんて見る事すらなかったからな。


 まぁ領主が自分たちよりも住民を優先するなんて事は考えられないから、領主館でも守っていたのだろう。


 しかし街の存続なんて、意外とあっけないものだったんだな。


 今回はスタンピードと言うより単なる餌場の変更なのだろうし、その程度の事で街が滅ぶ事もあるんだと知った。


 いや、物事の本質はそこではないか。


 肉食獣が増える場合は通常、その前に餌となる草食動物が増える。 ところが今回はどうだろうか?


 イキナリ蜘蛛の魔獣があふれ返っていたのだ。 それが森の魔物を食い尽くし、街に溢れ出たのだ。


 だとすれば何処で繁殖したのだろうか? 個人的に蜘蛛の魔物の生息域を知らないのもあるが、そう簡単に繁殖するものだろうか?


 例えばハトリの場合を考えてみれば判るかと思うが、生まれて間もなくは捕食者と言うより被捕食者であり、増えるのが難しい。


 だから私はハトリに餌を与えて強くして行動を伴にする様になった。 つまりハトリは養殖とも言えるのだ。


 だが今回の件はどうだ? 魔術耐性がある戦える蜘蛛が大量に繁殖している。 それも規格化された様な個体ばかりでだ。


 そんな事が自然と起こるのだろうか? 魔術耐性を得た生体が、その能力を受け継いだ個体を大量に産卵しているとか?


 判らない。 もしもハトリが成長した場合、同程度の能力を持つ個体を産卵できるのだろうか?


 恐らくハトリと暴れ回っている蜘蛛は近い種族だと思う。 で無ければ、魔術耐性を持つ蜘蛛の個体の大量発生が思いつかない。


 ハトリが食べる事で異能を習得出来る事が判ったのも、私が上位個体の餌を与えた事で判明した偶然の産物だったし、自然界で起こるのはかなり無理がある様に思う。


 だが、その偶然の産物が起こっているのなら最悪だな。 彼らは今、数の暴力と言うワイルドカードで、さらなる上異種さえ狩る可能性があるのだから。


 そんなモノが母体となって強化された蜘蛛を量産した場合はどうなるのだろうか?


 幸い現在では空は飛べない様だし、海や山を越える事は無いだろう。


 まぁ逆を言えば、それ以外の地域の魔物や人間の未来は暗いとも言えるのだが。


 となると、私たちの移住先にも注意が必要だな。


 低い山や内海程度なら、何かの弾みで越える可能性がある。


 思い切って、大海原を越えて別の大陸にでも移動するべきだろうか? とは言ってもハトリが長距離飛行を行えないので、外洋を移動できる船が必要になるのだが。


 もっとも、この大陸が蜘蛛に支配されるとしても数百年の有余はあるだろう。


 それとも現在どの程度の数がいるのかは判らないが、反物質弾頭を使って生息域を吹き飛ばすべきだろうか? 一歩間違えれば「核の冬」が訪れそうだが。


 逃げるにせよ駆逐するにせよ、一度正確な調査を行った方が良いのかも知れないな。



少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。


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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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新作:


VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~


https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902

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