第228話 日常崩壊編 ~えっ? 討伐ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「治れ~、毒よ消えろ~」
「あのぉ、彼は助かるんでしょうか?」
「さぁ? 治るんじゃね? 知らんけど」
解毒をする幼女、ハイガンベイナ6歳です。
私は今、蜘蛛に捕らわれていた男の解毒を行っている。 回復魔術の応用だ。
とは言っても、解毒を行った事が無いので行き当たりばったりなのだが。
「うっ…」
「おっ、どうやら解毒に成功したっぽいな」
暫くすると男は目覚めて、毒は残っていない様だった。 やれば出来るもんだな。
さてさて、蜘蛛の魔物は他にもいるっぽいし、ちょっと探ってみるか。
「魔力探知! ってうぉう、めっちゃいる!」
魔力探知の反応では分かる範囲内でもかなりの数が存在し、とてもじゃないが数匹とかのレベルではなかった。
うーむ、どうやらこの街は餌場として認識されてしまったのではあるまいか? どうすんだ、コレ。
まぁ正直に言えば、住人がどうなろうと知ったことではないのだが、まずは森で出会った蜘蛛と同じ種類である事をギルドに報告すべきなのだろうな。 依頼も受けている事だし。
仕方がないのでギルドまで戻り、報告を行う。
「森で繁殖していた蜘蛛が移動してきたと見て、間違いないと思う」
「じゃぁ討伐依頼を出しますから、駆除をお願い出来ますか?」
「いや、街には入り込んでいる数だけでも相当数いると思うぞ」
「討伐は無理そうですか?」
「全ては無理だな」
「そんな…」
「ちょっと待ちな。 そんな事なら俺たち「ワシの団」に任せてもらおうか」
なんだ? 鷹じゃないのか? 何だか強そうに見えないんだが…。
「なんだお嬢ちゃん。 そんな心配そうな顔をするな。 俺たちにかかれば大蜘蛛の5匹や10匹、楽勝だぜ」
「100匹はいるみたいなんだが?」
「うっ、そんなに? いや、女子供はすっ込んでいてもらおうか。 俺たちなら出来る! そうだろ、皆!」
「おーっ、やってやるぜっ!」
なら任せてみるか。 街中なら大掛かりな魔術は使えないし、そもそも魔術耐性があるっぽいしな。
面倒くさい相手なのだから、任せられるなら、その方が良いだろう。
「じゃぁ討伐は、「ワシの団」にお任せしますね」
「行くぜっ! 野郎ども!」
「おーっ! 大蜘蛛なんて余裕だぜっ!」
おおぅ、勇ましいこって。 お手並み拝見といくかな。
単純な強さだけならオーガと同程度なんだろうし、それなりの傭兵なら余裕なのかも知れないし。
「ワシの団」の連中が数個のグループに分かれて街に繰り出していく。 ならば私は救護班の真似事でもしてるかな。
ふとギルドの外を見ると、早速エンカンウントしたと見られる蜘蛛とグループが争っている。
「やろぅ!」 キン!
あっ、攻撃が弾かれた。
カプッ!
「うぎゃぁぁぁ~っ! 毒がぁぁぁ~っ!」
「兄貴ィ、今助けやす! うぎゃぁぁぁ~っ、何だこの糸はぁぁぁ~っ!」
あっ、助けに入った連中まで糸でグルグル巻にされたぞ。
「嫌だぁぁぁ~っ! 俺なんか食べても美味しくないぞぉぉぉ~っ!」
カプッ! カプッ! カプッ!
あぁ、手下まで纏めてお持ち帰りされるっぽい。
器用に簀巻きにした男たちを背中に抱えて、街の外へと向かって行く大蜘蛛。 実に手慣れたモノである。 さいなら~!
「ちょっとぉ! 見てないで助けてあげないんですか?」
「いやだって、すっ込んでいろって言われた女子供なワケですし」
受付嬢は、見捨てる事には反対な様だな。
「でも、ほら」
指差す先には背中に民間人の簀巻きを背負った蜘蛛の群れが。
「助けるならあっちが先じゃね?」
「いや、戦力維持のためには「ワシの団」の皆さんを先に助けた方が…」
「アニキィィィ~っ!」
「うわぁぁぁ~っ!」
「たった今、全滅したっぽいぞ、「ワシの団」。 あれでも戦力になっているのか?」
「そんなぁ」
そもそも蜘蛛の子を散らすみたいにバラバラに街の外に向かっているっぽいから、全て助けるなんて無理なんだよな。
「ハトリ、ヘル。 取り敢えず住民を先に助けるぞ」
「見捨てればぁ良いのではぁ?」
「弱肉強食だと思うのー」
お前らなぁ。 まぁ気持ちは分かるが。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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新作:
VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~
https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902