第220話 傭兵編 ~えっ? 練乳ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「え~ん、臭いよぅ、白いよぅ。 ベトベトするよぅ」
「趣味ですかぁ?」
「ちゃうわい!」
白濁液塗れになっているのに趣味と言われる幼女、ハイガンベイナ6歳です。
ほんの一瞬、燃やすと毛皮がダメになってしまうんじゃないかと考えてしまったのがマズかった。
そこで何を思ったのか爆発系を選択してしまい、練乳が周囲に飛び散ってしまったのだ。 私はその飛び散った練乳を浴びてしまったのだから始末が悪い。
「ベイナ様が言う練乳にはオタマジャクシが混入しているんですかぁ?」
「私の現実逃避を返せっ!」
タマタマの中に収まっていたのか、それとも発射された直後だったのか、白濁液は爆風に煽られて驚くほどの量が周囲に飛び散った。 ほんと何匹分やねん。
蜘蛛の巣の様に至る所で糸を引き、周囲に水酸化物の臭いを放っている。
そんなスパイダーネット状態の白濁液をモロに浴びる形になってしまった私は、エンガチョなオブジェになってしまったのだ。
それだけではない。 当初の目的だった毛皮目的の狩猟だが、死体は強烈な爆風を受けて目玉が飛び出し、内臓を口から吐き出している状態で白濁液でトッピングされている。 正直に言って触りたくない。
だからと言って、こんな酷い目に合いながら無報酬なんてのもツラい。
「なぁヘルぅ。 死骸の回収を手伝ってくれたりなんかは…」
「ベイナ様ぁ、ファイトぉ。 私は暖かく見守っているのですぅ」
ぐすん、更に回収まで苦痛塗れにならなきゃいけないなんて、何て一日だ。 しかも白濁液でトッピングされているだけじゃなくて、数もやたらと多いのだ。
なるべく手で触らなくても良い様にアイテムボックスに仕舞い込みながらふと思う。 コレって買い取って貰えるんだよな。 買い取り拒否とかにならないよな。
「もう既にぃ、毛皮がダメになっている様に見えますケドねぇ」
「やっぱりぃ!」
ほんとに踏んだり蹴ったりだ。 そりゃそうだ。 解体するオッチャンたちも白濁液塗れの死骸なんて触りたくないだろう。
それでも雀の涙程の討伐報酬があるので、放置するなんてあり得ない。 だから嫌々でも回収するのだ。
「ツラいよぅ、臭いよぅ。 気持ち悪いよぅ」
「仕方がないですねぇ。 ウォータースプラッシュ!」
「ぎょぇぇぇ~っ! なーがーさーれーるぅぅぅ~っ!」
「あっ、手加減を間違えましたぁ。 てへっ♡」
「てへっ♡じゃねぇぇぇ~っ!」
少しは手伝ってくれるのかと思ったら、大量の水で白濁トッピングの死骸と共に流される私。 どぅわぁぁぁ~っ! 汁を少し飲んじゃったよっ!
「ふぅ。 少しは臭くなくなったのですぅ」
「しくしくしく。 お家帰るぅぅぅ~っ!」
「仕事を投げ出してぇ、ニートへ逆戻りですかぁ?」
「それも嫌ですぅ」
「ほら、少しは臭わなくなったんですからぁ、ファイトですよぉベイナ様ぁ」
「やっぱり手伝ってくれないのな」
仕方がないので少しマシになった死骸を収納していく。 てか本当に何匹分あるんだ。 そんなに私にブッ掛けたかったのか?
幼女にブッ掛けると何か御利益でもあるんじゃないかと思いたくなる程にコボルトのコボルトがコボルトぉな状態の死骸ばかりなんだもの。
嫌でも被害妄想か膨らんでしまうのだ。
そして全ての死骸の回収が終わったのでヘルに水を出して貰う。
「ヘル、水を出してくれ。 まだアチコチがベトベトするんだ」
「トルネードウォータースプラッシュぅ!」
「ぎょえぇぇぇ~っ! 目ーがーまーわーるぅぅぅ~っ!」
「しつこい汚れにはドメストで根こそぎですぅ。 投入ぅ!」
「うぎゃぁぁぁ~っ! 目がぁぁぁ~っ! 目がぁぁぁ~っ!」
どうしても私を便器扱いにしたいのか、洗濯物の様に洗われている私にドメストまで投入しやがった。 うーむ、目がシバシバする。
「もしも人間なら失明レベルなんですけどぉ、シバシバする程度で済んでいるベイナ様はぁ流石ですぅ。 逆回転!」
「ぎょわぁぁぁ~っ! 三半規管が死ぬぅぅぅ~っ!」
「続いて濯ぎのトルネードウォータースプラッシュぅ!」
「ゴボゴボゴボぉぉぉ~っ!」
「脱水のウインドトルネードぉ!」
「ひぃぃぃ~っ! さーむーいぃぃぃ~っ!」
「最後は乾燥のファイヤーストームぅ!」
「うぎゃぁぁぁ~っ! あーつーいぃぃぃ~っ!」
洗濯物でも最後は温風で仕上げられるってのに、直火で焼くとか頭オカシイんじゃないのか?
「流石は直火仕上げですぅ。 まぁ少し焦げたみたいですけどぉ、許容範囲ですぅ」
「許容すんなっ!」
確かにヌルヌルベトベトから開放されたケド、直火仕上げって何だよっ! 美味しく仕上がったらどうしてくれるんだよっ!
「その場合はぁ、美味しく頂くだけですけど何かぁ?」
「頂かれてたまるかっ!」
何だか最近、ヘルの私に対する扱いが雑な気がする。 コレはアレだろうか? 家族サービス的なモノが不足しているとか。
そう言えば、ハトリとだって距離を感じるし、一度皆でピクニックにでも行くのも良いかも知れないな。
「家族さービスよりもぉ、スキンシップが不足しているのですぅ。 具体的にはお風呂や布団の中でのイチャラブが不足ですぅ」
「お前とお風呂でイチャラブしたらそのまま頂かれそうなんで、お断りなんだが?」
「酷いですぅ!」
まぁ家族サービスの事は後で考えるとして、今は毛皮の代金を受け取るためにギルドまで戻るとしよう。
「帰るぞ、ヘル」
「ああん、待ってくださいぃ」
そして私たちは、森を後にして街へと戻った。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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