第217話 傭兵編 ~えっ? グレイウルフですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「えーと、何匹倒してきたんですかぁ?」
「108匹だ」
呆れられる受付嬢に睨まれる幼女、ハイガンベイナ6歳です。
ゴブリンたちを討伐した私たちは、傭兵ギルドに戻ってきていた。 勿論アイテムボックスには大量のゴブリンの死骸を詰め込んである。
「はぁ、いいですかぁ? ゴブリン討伐って普通は多くても5匹程度なんですよ」
「らしいな」
「それが何ですか108匹って。 煩悩の数じゃないんですから狩り尽くすつもりですか?」
「いや、次から次へと襲ってきたモノで…」
「しかもどうするんですか、こんなに多くの死骸まで持ち込んで。 肉は食べられないんですよ。 産業廃棄物レベルですよ」
「あるんだ、産業廃棄物」
「何か言いました?」
「いや、別に…」
「兎に角使い道の無いゴブリンの死骸なんて持ち込まれても迷惑なんです。 今度からは右耳だけにして下さいね」
「はい、反省しています」
「しかも5匹討伐でクエスト1回クリアの換算ですから21回分、10回でランクアップですし不本意ですがDランクに昇格です」
「有難う御座います?」
「どうして疑問形なんですか? フザケているんですか?」
「スミマセン」
「と言うワケで、ギルド証を提出して下さい。 ランクアップも行います」
「宜しくお願いいたします」
私だけが起こられている最中、ヘルとハトリはあっち向いてほいして遊んでいた。 連帯責任はどこで迷子に? 解せぬ。
しかし兎に角Dにランクアップだ。 これで新しい依頼が受けられるな。
「なぁヘル。 Dランクって何が受けられるんだ?」
「確かコボルトとグレイウルフが受けられる様になるハズですよぉ」
「コボルトってゴブリンと何が違うんだ?」
「そうですねぇ、足が早くなる以外には噛み付きや引っ掻き能力がありますねぇ。 後は仲間を呼ぶとか」
「ゴブリンに攻撃手段が追加される感じか…、何だかお腹一杯だな」
「じゃぁ次はグレイウルフにしますかぁ? 基本的には群れる狼と同じですぅ」
「ああ、じゃぁ次はグレイウルフの討伐にしよう」
まぁ狼なんて凶暴なワンコロと同じだもんな、軽い軽い。 この調子でどんどんランクアップしていくぞ。
犬なら赤犬なんてモノがあるんだし、ワンチャン肉の買い取りもあるかも知れないな。 それに確実に毛皮は売れるハズだし。
グレイウルフの依頼票を掲示板から剥がし、受付へと持って行く。
「今度はグレイウルフですか? まぁ毛皮は買い取れますから死体の持ち込みはアリですよ」
「いいですか? 5匹で十分なんですよ、5匹で」
「フラグですか?」
「何を言っているんですかぁ、このおバカ!」
いや、だって予定は未定だし、世の中何があるか判らないもんね。
「それに最近、グレイウルフの異常行動が確認されていますので注意して下さいね」
「異常行動?」
「ええ、何でもパーティー内に女性がいると、執拗に襲ってくるんだとか」
「弱い者から狙うとかかな?」
「判りませんが、十分に注意して下さいね」
「ああ、判った。 じゃぁ行ってくる」
女性がいるパーティなんかは大変だな。 私たちには弱者はいないから、大丈夫だけど。
「ベイナ様ぁ、フラグって知ってますぅ?」
「不吉な事を言うんじゃありません。 実際グレイウルフごときに遅れは取らないだろ?」
「いやぁ、何だかベイナ様が泣かされている未来が視えた気がしたのでぇ」
「何だよ、私が泣く未来って! それじゃぁ私がグレイウルフよりも弱いみたいじゃないかっ!」
どうせヘルは私をおちょくって楽しんでいるだけだろうから無視するとして、今度はグレイウルフが出没する森へとやって来た。
「風下の方だろうか?」
「ええ、ユックリと追ってきているのですぅ」
「まぁ、探す手間が減ったと考えるべきなのだろうな」
「そろそろ来ますよぉ」
「各員、戦闘準備!」
「了解ですぅ」
私たちが待ち構えていると、数匹がチラホラと現れ始めた。
「待て、何か様子が変だ」
「襲ってくる様子はないのですぅ」
「何だろう、その割には興奮しているみたいだな。 もの凄く尻尾を降っているし。 あっ、よって来た」
スンスンと周囲の匂いを嗅ぐと、今度は私の匂いを嗅ぎ始める。 どう言う事だ?
すると私を舐め回し始めた。 何だか懐かれているみたいだ。
「懐かれてしまうと、討伐し辛いな」
「どうしますぅ? 討伐は諦めますかぁ?」
「そうだなぁ、最近は討伐しすぎたし少しは休憩しても良いかも知れないな。 おぃ、いくら何でも変な場所の匂いを嗅ぐなっ!」
「しかし大人気ですですねぇ、ベイナ様ぁ。 全てのグレイウルフたちがぁ、ベイナ様へと群がっていくのですぅ」
「そんなベイナ様に提案ですぅ。 グレイウルフの気持ちを知りたくありませんかぁ?」
「そうだな、そうすれば異常行動の原因も判るかも知れないし。 よし、やってくれ。 あっ、おい。 スカートを引っ張って脱がそうとするんじゃない」
「サルベージマインドぉ!」
『オ前、俺ノ子供産メ。 オチンポ入レタイ』
『俺モ、オチンポ入レタイ』
『オチンポ入レタイゾォォォ~ッ!』
「うわっ! 腰を振ってんじゃねぇ! うぎゃぁぁぁ~っ! 白いドロッとした液がぁぁぁ~っ!」
「うふふふふぅ、練乳まみれになるベイナ様も素敵ですぅ」
「楽しそうに見ていないで助けてくれっ!」
「しかし私も負けてはいないのですよぉ。 いでよ、触手たちぃ!」
「ぎょわぁぁぁ~っ! 誰か助けてぇぇぇ~っ!」
そしてしばらくの間、森の中には私の悲鳴が広がった。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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