第213話 傭兵編 ~えっ? ココナッツクラッシュですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「身体強化&ココナッツクラッシュスクリューアッパぁぁぁー!」
「うぎゃぁぁぁ~っ!」
拳にムニゅっとしたモノをプチッと感覚を味わう幼女、ハイガンベイナ6歳です。
ドズールは尻を突き出して何やらピクピクしているが、尺取虫だろうか? まぁ自業自得なので心配する必要は無いだろう。
手をフキフキしながら周囲を見回してみると、目があった男共は股間を押さえて視線を逸らす。 どうやら恐れられているようだ。
「ふっ、CランクどころかBランクも余裕かも知れないな」
「ハトリも玉蹴りするのー」 シュッ、シュッ
「うわぁぁぁ~っ! 逃げろぉぉぉ~っ!」
ハトリの風を切る蹴りを見て、周囲の男共は逃げ出した。 何だか危険人物を見る目で見られているが、悪くない気分だ。
「さぁ、早速登録に向かうぞ!」
「行くのー」
私たちはその足で受付へと向かい、傭兵登録を行う。
「Aランクでの登録を頼む」
「残念ですが幼女の登録は出来兼ねます」
「じゃぁ仕方がないが、Bランクで」
「Fランクでも出来ませんよ?」
「何だとぉ! 一体何が不満だと言うのだっ!」
「だからぁ、幼女は登録出来ないんです」
「年齢制限は無いハズだろがっ!」
「こちらが不適格と思う人物の登録は拒否出来るんです」
「横暴だぁ! 責任者、出て来い!」
このままでは埒が開かないので、取り敢えず寝転んでジタバタしてみた。
「出せ出せ出せ出せぇぇぇぇ~っ! 責任者を出せぇぇぇ~っ!」
おかしい、予定では驚愕と畏怖の目で見られるハズだったのだが、何故か駄々《だだ》をこねる子供を見る目で見られている。
「はーい、飴玉をあげるからお嬢ちゃんは大人しく帰りましょうねぇ」
「うーむ、コリコリ。 うん、甘い」
「ハトリも飴玉欲しいのー」
「ええ、どうぞ。 お嬢ちゃんにも飴玉をどうぞぉ」
「わーい、甘いのー。 コリコリ」
私たちはそのまま外へと連れ出されてしまった。 何だろう、子供の扱いに随分と手慣れている様な…。
「うーん、やっぱりクソニートはぁ、面接試験さえ受けられなかったのですぅ」
「クソニート言うなぁ! てか、お前も連れ出されているんじゃねーかっ!」
「不思議ですねぇ。 コリコリ」
「いい大人が、飴玉に釣られているんじゃねぇよっ!」
こうして私たちは、傭兵ギルドから追放されてしまった。 どうすんの?
「こうなったら、違う仕事を探すぞ!」
「どんな仕事を探すんですかぁ?」
「楽して儲かる仕事だっ!」
「そんな仕事なんて存在しないと思うのですぅ」
「くっ! じゃぁどうするんだよっ!」
「普通の仕事は年齢制限でぇ雇って貰えないと思いますしぃ」
「だから傭兵ギルドに来たんだからな」
「呪言を使って登録させれば良いのですぅ」
「えっ?」
そりゃぁ呪言を使って操れば登録くらい出来るんだろうけど、魔力測定とか行って「Sランク並の魔力だぜ」とか言わせたかったのに…。
「そもそも魔力測定なんてありませんよぉ、傭兵ですしぃ」
「そうなの?」
「だって武器を使って戦う連中しかいませんしぃ、魔術師はお抱えの職業ですからぁ」
「お抱え? 貴族とかに雇われているのか?」
「魔術師は元々希少ですからぁ、一般職には就かないですぅ」
「マジか」
魔術師ってこの世界ではそんなに希少だったのか。 どおりで魔女以外には出会わないハズだ。
なら一般人の魔術耐性は低いんだろうし、呪言だって問題なく効くだろう。
「よし、もう一度受付へ向かうぞ!」
「おーなのー」
そうして再び受付にやって来た私たちは、呪言を使って登録を行わせる事にした。
「【Cランクでこの3人を傭兵登録しろ】」
「はい、畏まりました」
「ちょっと待ったぁ。 そういう事なら、このCランクのドズール様が登録してやるぜ」
「何でも良いから、さっさと登録してくれ」
「ちょっと待ってな。 ほらよ、ココに名前を記入してくれ」
「えーと、ハイガンベイナ」
「ハトリなのー」
「ヘルっと」
「おぅ、これで登録は完了だぜ。 ほらよ、Fランクの登録証だ」
「ちょっと待て。 Cランクで登録しろと言ったハズだぞ」
「だから、Cランクの俺が登録してやったじゃねぇか。 何言ってんだ?」
「そっちかぁーっ!」
こうして私たちは、Fランクの傭兵としてギルドに登録したのだった。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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