第211話 スローライフ編 ~えっ? 料理ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「新しいベッドを手に入れたどー!」
「都合良くキャンセルのベッドがあって助かりましたぁ」
「一緒に寝るのー」
『ペタンは床に寝るのがお似合い、です』
ベッドを手に入れてウキウキの一同を見守る幼女、ハイガンベイナ6歳です。
本来なら受注生産になるらしかったのだが、なぜが注文していた伯爵が行方不明になった関係でキングベッドを手に入れる事が出来た。
行方不明になった伯爵には感謝だな。 何だか私たちが世直し旅行を行っている最中に発生した事案らしい。 どこの伯爵かは聞かない方が良い気がするのが不思議だ。
まぁそんワケでベッドが手に入ったのだが、君たち何してんの? えっ、マーキングで臭いを擦り付けている? 程々にしなよ。
これで寝る準備は万端なのだろうが、スローライフには程遠い気がする。 まぁね、霞を食うわけにはいかないので通常は外食を考えるのだろうが、スローライフには自炊のイメージがあるので、私は料理に挑戦したいのだ。
だがしかし、皿や鍋などは貴族屋敷から有難く頂戴した物があるので、新たに調達する必要は無い。 不足しているのは食材なのだ。
仕方がない、買い物にでも行くか。
「これから夕食の材料を調達しに買い物に行こうと思う。 今晩は何が食べたい」
「私はベイナ様が食べたいですぅ」
「ハトリもママをペロペロしたいのー」
「そっちの食べたいじゃなくて、ガチで食する方な」
「スカトロですかぁ? ハードルが高いですぅ」
「ハトリはママの汁なら飲めるのー」
「夕食だよっ! ゆ・う・しょ・く! 肉とか魚とか色々あるだろうっ!」
「幼女の魂を少々頂きたいですぅ」
「ゴブリン意外なら何でも良いのー」
オカシイな、コイツら私と普通に外食していたハズなんだけどな。
「ほら、色々あるだろ。 焼肉とか焼き魚とか」
「火を通しただけなのではぁ?」
「そんな事ないぞ、水煮とか煮魚とかも出来るし、サラダとかも付けるぞ」
「水にぶち込んで煮たり、洗って切っただけではぁ?」
「うぐっ!」
だって最初から高度な料理なんて作れるワケ無いじゃん。 だってアカシック先生だって、塩コショウを適量とか書いてあるんだぜ。 適量って何グラムだよっ!
「諦めてぇ、外食にした方が良いと思いますぅ」
「ママに料理は無理だと思うのー」
「ハトリまで…」
ちくせう。 前世だってコンビニ弁当で済ませていたし、料理を覚えなくても生きていけたんだよっ!
「そうだっ! 料理教室に通えば良いんだっ!」
「そんなモノは無いのですぅ」
「そんなぁ」
終わった、どうやって料理を覚えれば良いんだよっ!
「普通は戦場に出れば自然と覚えますよぉ」
野戦料理だろうか? そう言えば野外での料理すら満足にした事が無いんだよな。
「なぁヘル。 料理出来る?」
「死神だから出来ますよぉ」
「おおぅ、マジで?」
「えぇ、火攻め、水攻め、兵糧攻めから公開処刑の方法まで色々料理してきたのですぅ」
「そっちの料理じゃ無いのっ!」
ヘルじゃダメだ。 何だかんだ言ったって、ヘルってお嬢様っぽい所があるんだよな。
「なぁハトリ。 もしかしたら料理出来る?」
「ハトリは頭からバリバリ食べる派なのー」
「はぁ、やっぱりか」
「でも料理人も食べたから料理の異能なら持ってるのー」
「ハトリ様ぁー!」
そうか、ハトリにはそれがあったか。 とんだ盲点だったぜ。
「じゃぁ得意料理は何なんだ?」
「串焼きなのー」
「おおぅ、他には?」
「よく焼いた串焼きなのー」
おうふ、つまりは串焼き屋のオジサンを食べちゃったって事ね。 おーけーおーけ。
ふっ、世知辛いぜ。 毎日串焼きだけってワケにはいかないもんな。
いや、待て。 ハトリにチャンとした料理人を食べさせれば料理マスターになれるんじゃないのか?
だが料理の異能持ちかどうかなんて、どうやって調べるんだ? そもそも異能の習得条件って何だ?
「異能はぁ、特殊な能力だからぁ後天的には習得できないですぅ」
「えっ、マジ?」
「はいですぅ。 ハトリ様のぉ、トカゲの尻尾みたいに腕が生えてくるのも異能ですぅ」
「じゃぁ何か、串焼きの異能って生まれたときから串焼きマスターだったって事か?」
「そうですよぉ。 当然じゃぁないですかぁ」
「何言ってんだ、コイツ」みたいな顔をされた。
いや、オカシイだろっ! 串焼きの異能だぞ! 責任者出てこい!
結局その日は外食になった。 ふっ、私は諦めんぞ!
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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