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第207話 スローライフ編 ~えっ? 鍋敷きですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「スローライフをしようと思う」

「イキナリどうしたんですかぁ?」


 世直しを終えてスローライフを宣言する幼女、ハイガンベイナ6歳です。


 あの後、他の伯爵邸1つと子爵邸を4つほど襲撃を行ったので、ふところがホカホカなのである。 そこで少しはユックリしてみようかと思い、スローライフを提案してみたのだ。


「いや、ずっと働き詰めだったから少しはユックリしたいなぁなんて…」

「それで何処に行くんですかぁ? 避暑地とかですかぁ?」

「南の島に行って、日光浴とかどうかな?」

「この世界では一般的ではありませんよぉ」

「まぁ物は試しに行ってみようよ。 トロピカルフルーツとか食べてみたいし」

「はぁ、トロピカルフルーツですかぁ」


 ヘルはユックリするのが嫌なのだろうか? まぁ行けば納得すると思うんだけどね。 ハワイとかドバイみたいな場所があるかも知れないし。


「それでどうやって南の島まで行くんですかぁ?」

「そりゃぁ飛んでいくにしても、海図とかないと無理か」

「じゃぁ先ずは港町ですかぁ? 普通の街では海図なんて手に入らないですよぉ」

「それもそうだな」


 ◇◇◇◇◇◇


「おおぅ、潮の香りなんて前世以来だ」


「不思議な匂いがするのー」

「このベトベトする感じが不快ですぅ」

『こんな所に連れてくるんじゃねぇです』


「じゃぁ道行く人にでも聞いてみるか。 おーい、そこのおじさん」

「ん? 何の用だい? お嬢ちゃん」

「ここで海図が手に入る所を教えて貰えませんか?」

「海図? 何だそりゃ?」

「海の地図です」

「へぇ、海の地図なんてあるんだ」

「えっ? でもここは港町みなとまちですよね」

「まぁそうだな」

「じゃぁどうして海図を知らないんですか?」

「そりゃぁ必要ないからだよ」

「それでどうやって海に出るんですか?」

「ここらの漁師は漁場ぎょじょうや穴場、危険な所だって記憶しているからな。 地図なんて必要ないんだよ」


 アレ? ここって漁港ぎょこうだったの? それも近海でしたりょうをしない様な。


「じゃぁ貿易を行っている港を知りませんか?」

「さぁなぁ。 そんな港なんて噂でしか聞いた事が無いぞ。 港となんて普通は漁船しかいないもんだ」


 中世っぽい世界をめてたわ。 そりゃそうか。 地球と違って船旅なんて命懸いのちがけだし、そもそも旅行なんて馬車で避暑に行く程度だもんな。


 こうなりゃ沖合いの無人島で、我慢した方が良いのだろうか? いや、ヨーロッパに似た地域なら地中海みたいな場所だってあるかも知れないし、シチリア島みたいな場所だってあるかも知れないんだよな。


 ならば仕方がない。 こうなれば自分でリゾート地を開発するのだ。


「いざ行かん。 約束されたリゾート地へ」


「またベイナ様が残念な事を考えている気がしますぅ」

「ママはいつも残念なのー」

『アイツそろそろ殺した方が良いかもです』


 そうして私たちは空から無人島を探し、その島へと上陸した。


「ふははははっ! 来たぞ、スローライフ!」

「これから何をするんですかぁ?」

「先ずは開発からだっ!」

「具体的には何をするんですかぁ?」

「木を切って、海辺にコテージを作成する!」

「作れるんでうかぁ? コテージ」

「ふっふっふっ。 ヘルよ、安心するのだ。 木を切り倒せる戦斧せんぷなら複数持っているし、建築知識ならアカシック先生がいる。 我々に不足は無いのだぁ!」


 ヘルは知らない様だが、小説では万能な農具だけでも森を切り開いて村を作るのんびりな農家が存在するのだ。


 しかも私たちが作るのは休憩する為だけの簡単なコテージ。 そう、我々には負ける理由が無いのだ。


 と言うワケで戦斧を取り出し、ハトリに手渡す。


「ハトリ、これでここら辺一帯の木を切り倒してくれ」

「判ったのー」


 そう言ったかと思うと、剛力なハトリは周囲の木を切り倒し始めた。 ふっ、万能農具にも負けていないな。


 まぁ海辺の木と言えば松っぽいモノが多く真っ直ぐな木が存在しないのだが、板にしてしまえば何とかなるだろう。 夢が膨らむね。


 そうこうしている間にも100本近い木が切り倒され、開けた土地が現れた。 そう言えば切り株ってどうやって取り除くんだっけか?


「なぁハトリ、お前の力で切り株って引っこ抜けるか?」

「そんなの無理なのー」

「えっ? スポッて引き抜けるモノなんじゃないの?」

「ドラゴンでも厳しいと思うのー」


 ふっ、ドラゴンでも無理なのか。 でも心配ない。 別にコテージは砂浜に建てたって問題ないのだから。


 ならば、木を板にする事から始めるか。


「ブラッディネイル!」


 板にするのが出来ないとでも思ったか? 残念だったな。 普通の木なら私のブラッディネイルでスパスパなのだ。


「うりゃぁ!」 スパッ!


「ふふふっ、完璧だ」

「あのぉ、ベイナ様ぁ。 木を輪切りにしてどうするんですかぁ?」

「えーとぉ、鍋敷き?」


 そう、私のスローライフは始まったばかりなのだから、鍋敷きだって出番はあるのだ。 きっと。



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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