第206話 世直し編 ~えっ? 伯爵邸ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「見よ、アレがカスーダ伯爵領だ」
「やっぱり押し入り強盗をするんですかぁ?」
「うるさいっ!」
ヘルにツッコミを入れられる幼女、ハイガンベイナ6歳です。
私たちはフレッシュゾンビから入手した地図で、カスーダ伯爵領を目指す空の旅に出た。
そして今現在は、その伯爵領の領都を目前にしているのである。
「今回も広間に着陸するんですかぁ?」
「いや、もう面倒なのでイキナリ伯爵邸前に着陸しようと思う」
「つまりぃ、着いて5秒で押し入り強盗って事ですねぇ」
「嫌な言い方するんじゃねぇよ」
「でもやる事は変わらないと思いますぅ」
伯爵邸前に強行着陸着陸を行う。 ハトリは私の背中で眠ったままだが、そろそろ仕事をしてもらおう。
「ハトリ、着いたよ。 そろそろ起きてくれ」
「んー、まだ眠いのー」
「ほら、お仕事の時間だよ」
「お仕事って何なのー?」
「あの門番を襲撃して、中の人間を皆殺しにする事だよ」
「んー、面倒だけどやるのー」
「ベイナ様ってぇ、童女に押し入り強盗をさせる極悪人ですぅ」
「極悪人とか言うなし」
「とーなのー」
「うぎゃぁぁぁ~っ!」
「段々強盗が手慣れてきているのですぅ。 ねっ、お頭ぁ♡」
「そこまで落ちてないやいっ!」
ハトリがサックと門番を殺害したので、門を蹴破って敷地に突入する。 ん? やっぱり押し入り強盗に見える? 気のせいだよ!
そこからは妨害も無く屋敷の扉まで到着したので、ドアの破壊もハトリにお願いする。
「ハトリ先生、あのドアもお願いします」
「ん、任せるのー。 とーなのー!」
重厚なドアが粉微塵に切り裂かれる、あっ、中の人が驚いているよ。 はろー! 通りすがりの世直し隊です。
「てっ、敵襲ぅ! 誰かっ、旦那様への連絡をっ!」
うーむ、各個撃破とまとめて処分するのはどちらが簡単なのだろう。 やっぱり各個撃破かな。
「【纏めて死ね!】」
「うぐっ!」
残念ながら、連絡に行こうとしていた人も含めて纏めてお亡くなりになってもらった。
「随分と手慣れているのでうすぅ。 最早プロですぅ」
「世直しのプロ?」
「どこからどう見てもプロの強盗ですぅ」
どうやらヘルには、私がプロの強盗に見えるらしい。 判ってないな。 世直しのプロは、必要な犠牲しか出さないのだ。
「ただのメイドがぁ、必要な犠牲ですかぁ?」
「間違えた、尊い犠牲だな」
「物は言いようですぅ」
「それはそうと、フレッシュゾンビにして執務室まで案内させてくれ」
「良いですけどぉ、何だか手口が悪質化していませんかぁ?」
「気のせいだろ?」
「気のせいじゃない気賀しますぅ」
何だか不満がある様子のヘルを説得して、フレッシュゾンビにしてもらった。
「じゃぁ執務室まで案内を頼む」
「……………」
「あっ、フレッシュゾンビが無口なのはデフォなのね」
無言のフレッシュゾンビに案内されて執務室へと向かう。 途中何度かメイドに咎められたが、大名行列に加わってもらった。 方法? フレッシュゾンビの仲間入りですが何か?
そして執務室の前へ。
「ハトリ先生、お願いします」
「ん、判ったのー。 とーなのー!」
激しい音を立てて崩れ去るドア。 すると、伯爵と見られる人物と執事っぽい人物との視線がバッチリと合う。 何だが呆けているみたいだ。
「はろー! オラ、ベイナ。 よろしくなっ!」
「はっ? 誰だ貴様。 ここで何をしている? 何の騒ぎだ?」
「どもども、通りすがりの世直し隊です」
「はぁ? 世直し隊? そんなモノがどうしてここにいるんだ? 付け狙われる覚えは無いぞっ!」
「えーとぉ、マジックスキャン!」
「うぎゃぁぁぁ~っ!」
「だっ、旦那様に何をっ!」
「お前もマジックスキャン!」
「ぎょばばばばぁぁぁ~っ!」
「最早言い訳すらしなくなったのですぅ」
うむ。 財宝の在り処は確認した。 コイツらはもう用済みだな。
「【纏めて死ね!】」
「「ぐはっ!」」
こうして財産も無事に徴収し、伯爵邸での世直しは終了したのだった。
少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー