第203話 世直し編 ~えっ? 連泊ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「くそう、金属魔術で大金持ちになる計画が…」
「よちよちなのー」
童女に慰められる幼女、ハイガンベイナ6歳です。
金貨の複製に失敗した私は、ハトリに慰められながら書庫を出た。 当面の目的は達したので、ヘルと合流した後にこの館を出る予定だ。
「そう言えば腹が減ったな」
「もうすぐお昼なのー」
「結構な時間を探索に費やしていたんだな」
「どこか食べに行きたい所はあるか?」
「この屋敷で食べれば良いと思うのー」
「それもそうだな。 ヘルも探さないといけないし」
でもどうすれば良いのだろうか? 朝食はヘルがフレッシュゾンビに言って用意させていたのだが、こいつらって基本的に無口だから伝わったがどうかが不安になるんだよな。
そもそも私たちを案内してくれたフレッシュゾンビはどこに行ったのだろうか? ヘルと合流しないとダメなのだろうか?
「なぁハトリ、ヘルやフレッシュゾンビたちがどこにいるのか判るか?」
「蜘蛛を出すのー」
「よろしく頼む」
ハトリの手から子蜘蛛がワラワラと溢れ出して、四方八方に散っていく。 いつ見ても気持ち悪い光景だな。
待つこと暫し、ハトリが声を上げた。
「見つけたのー」
「どっちが?」
「ヘルは一階の衣装部屋でトリップしてるのー」
「トリップ?」
「よだれを滴らしているのー」
「迎えに行った方が良さそうだな」
仕方がないのでハトリに案内されてヘルの下へと向かう。 あっ、いた。
「ぐふふふふぅ、これをベイナ様に着せてぇ、ファッションショーなのですぅ」
「何だか近寄りたくないな…」
「ヘルー、正気に戻るのー」 パシッ!
「はっ、私は何をぉ?」
「ヘル、お帰りなのー」
「あらぁ、ハトリちゃん。 もう探索はいいんですかぁ?」
「もうお昼なのー」
「へっ、私としたことがぁ、今夜の事を考えてトリップしてしまっていたぁ?」
「なぁヘル、お腹が空いたのでフレッシュゾンビに昼食を頼みたいのだが?」
「あっ、本物のベイナ様だぁ♡」
「本物って何なんだよっ!」
「いやぁ、脳内シミュレーションでベイナ様を剥き剥きしていたものでぇ」
「剥き剥きすんなしっ!」
「ええ、判っていますともぉ。 嫌がるベイナ様を剥き剥きするのには惹かれますがぁ、恥じらうベイナ様から一枚ずつ取っ払っていきますからぁ」
「何を取っ払うんだよっ!」
「伝説の幼女下着、絆創膏ですぅ」
「下着ですらねぇっ!」
ヘルを一発殴って正気を取り戻させて、昼食を準備させた。 て言うか、既に作っていたらしい。
なので食事をしながら今後の予定を話す事にした。
「私はぁ、まだまだ探索しますぅ」
「もう少し掛かりそうな感じなのか?」
「今日一日は掛ける予定ですぅ」
「そうか、宿はどうしよう?」
「今日も泊まれば良いのではぁ?」
「気分的に住人を惨殺した屋敷で連泊するのはなぁ」
「あっ、もしかして怖いんですかぁ?」
「怖くなんかないやいっ!」
「連泊決定ですぅ」
ちくせう、子供扱いしやがって。 ただ強盗に入った屋敷で連泊する気になれなかっただけだい。
「でもぉ、どこの宿も泊めてくれないと思いますぅ」
「えっ、どうして?」
「一昨日泊まった宿屋は全焼してますぅ」
「いや、他の宿屋だって…」
「迷惑な客だと思われるのですぅ」
あれは別に、私が燃やしたワケじゃないんだけどな。 てか室内で火魔術使ったのってヘルじゃんか。
「悲しい事故だったのですぅ」
「事故にすんなし」
仕方がないな。 気分は乗らないけど他に選択肢も無さそうだし。
「本当は、魔術に関して色々教えて欲しかったんだけどな」
「一緒に寝てくれるなら教えますよぉ」
「手を出すなよ!」
「だったら触手を出しますぅ」 ニョロニョロ
「出すんじゃねーよっ!」
今晩も攻防が繰り広げられるのだろうか? こいつの性欲は無限か?
「どうして知っているんですかぁ?」
「無限だったのかよっ!」
コイツが後ろにいる時は、気を抜かない方が良さそうだ。
「まぁ、抜くのは私ですけどねぇ♡」
「抜くとか言うんじゃねーよっ!」
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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