第201話 世直し編 ~えっ? 武器庫ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「へぇ、武器庫が屋根裏部屋にあるなんて思わなかったな」
「武器が沢山なのー」
ハトリと武器庫を探索する幼女、ハイガンベイナ6歳です。
私たちはフレッシュゾンビに案内されて、屋根裏部屋にある武器庫までやってきた。 侯爵が武器マニアだったのかは判らないが、多種多様な武器が並んでいる。
「ハトリはどうする?」
「好きな武器を見てまわるのー」
「じゃぁ暫くは、それぞれ好き勝手に探索しよう」
「判ったのー」
ナイフにショートソード、ロングソードにバスターソードまである。 衛兵に支給される武器とは別な様で、統一感がまるで無い。
「おおぅ、これってもしかしてツバイハンダーか? すげえな」
下手な武器屋よりも品揃えが豊富だ。 うげっ、フレイルまであるのかよ。
槍も種類が豊富で、単純なものから馬上で使うランスの他にもハルバードまであった。 何と戦うつもりだったんだ?
私に使えるモノはあるのだろうか?
ナイフも種類が豊富で、ダマスカスナイフっぽいモノまである。 こんなモノを見てニマニマしていたのだろうか? 良い趣味してるぜ!
中には女性が自決する為の物と思われる小ぶりな物まであり、見ているだけでも楽しくなる。 私も危ない人になりそうだ。
私に使えそうなナイフを物色していると、ハトリが満面の笑みで戻ってきた。
「何か良い武器はあった?」
「これで女王様になるのー」
「へっ?」
手には曲芸用かと思われる長鞭が…。
「いやいや、女王様って何?」
「これでお尻を叩いてブヒブヒ言わせる女王様なのー」
「そんな教育に悪いのは許しません!」
「えぇー、ママはブヒブヒ言わないのー?」
「言いません! ってか私に使う予定だったのか?」
「ヘルがママを喜ばせる道具だって言ってたのー」
「喜ばないからっ!」
なんつー事を教え込んでいるんだか。 てか、ヘルの奴は私を調教するつもりだったのか?
一部の界隈ではご褒美かも知れないが、私はそんな変態じゃない。 いかんな、ヘルは最近調子に乗っているのではあるまいか。 いつか泣かす。
「絶対喜ぶって言ってたのー。 ヘルは嘘吐きなのー」
「絶対喜ばないからっ!」
危ない危ない、ヘルは一体何を目指しているんだ?
「もしかしてこっちの短い鞭の方が好きなのー?」
「長さの問題じゃないからっ!」
「じゃぁロウソクのロウを滴らしたら喜ぶってのも嘘なのー?」
「嘘なのっ!」
完全にSMじゃん。 幼女にSMってどんな趣味だよ!
「ちぇー、つまらないのー」
「つまらなくないっ!」
「じゃぁどうすればブヒブヒ言ってくれるのー」
「ブヒブヒ。 ほら、満足しただろ? 大人しく剣でも見ていなさい」
「鳴き声に感情がこもっていないのー」
ハトリはSの人だったのだろうか? 名残惜しそうに、鞭を元の場所に返しに行った。
一度真剣にハトリの教育方針について考えた方が良いのかも知れないな。
特に私たちの近くにはヘルという変態がいるので、悪影響はある程度覚悟する必要があるのだろうな。
まぁ今後の課題としておこう。
私は思考をリセットして、武器探しに戻る。 ほぅ、投げナイフまであるのか。
私が武器を扱う上での問題点は、刃渡りの短さと重さだ。
重い武器になると身体強化をしても重量に振り回されてしまう。 かと言って軽い武器だと総じて刃渡りが短く、振り回すのには向いていない。
だからこそのブラディネイルだったのだが、投げナイフは中距離用の武器としては良いかも知れないな。
魔術を使うには距離が近すぎるし、かと言ってブラディネイルは近距離格闘用なので中距離が問題だったのだ。
勿論、呪言を使うと言う選択肢もあるのだが効かない相手がいるからね。 その点、身体強化を使った投げナイフなら軽鎧くらいなら貫けそうだ。
「取り敢えず片っ端からアイテムボックスに収納しておくか。 ハトリはどうする?」
「どれもイマイチなのー」
そりゃね。 こんな屋根裏にある武器庫に今の剣に匹敵するモノがあるとは思えないからね。
「じゃぁ、使えそうな武器だけハトリのアイテムボックスに仕舞っておいてくれ」
「判ったのー」
そう言いながらハトリはバスターソードを中心にアイテムボックスに収納していった。
私もアイテムボックスに片っ端から収納していく。 ってハトリさん、鞭もアイテムボックスに仕舞うんすか。 何に使うの?
私はこれからは、お尻に気をつけようと思う。 うん、私に使うつもりじゃないよね? 信じているよ!
まぁ何だ、本当に相性の良い武器なんて早々出会えるモノではないのだ。
じゃぁ次は、魔導書の探索でもしてみようかな。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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