第200話 世直し編 ~えっ? 隠し金庫ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「おーし、ご開帳だぁ!」
「開帳なのー」
執務室の隠し金庫を開く幼女、ハイガンベイナ6歳です。
「おおぅ、本棚が動いていく」
「動くのー」
私たちの目の前で、隠し金庫を塞いでいた本棚が動く。 でもどうして金庫室を態々隠していたのだろうか?
「中に入ってみよう」
「入るのー」
そして中を見回すと、金銀財宝の他に魔導書や武具などが仕舞われていた。
「へぇ、色々なモノがあるんだな」
「金ピカで楽しいのー」
確かに光り輝いている。 うん、紛う事なき金庫室だ。
では早速、回収するかな。
その中でも、一つだけ異様な雰囲気を放つ魔導書に目が止まった。
「何だろう、コレ」
「ご本なのー」
「そうだね、本だね」
別に本である事を聞いたワケではないのだが、突っ込むのは野暮と言うモノだろう。
「何々…人を呪う基本は髪の毛などを使って…って、コレ、呪術書じゃん!」
「誰を呪うのー?」
「いや、呪わないからっ!」
しかし呪術書かぁ。 色々と使用感がある所が何とも…。 もしかしてヤバいお宝なのだろうか?
「ヘルはこういったモノも使ったりするのか?」
「私はぁ、言葉だけで呪えますよぉ」
「そうっすか…」
だよなぁ、何と言ったって呪言のエキスパートなんだし。
「人間は呪術を使わないと人も呪えないなんて遅れているのですぅ」
「さいですか」
どうやらヘルにとっては、呪術書なんてのは子供騙しに思えるらしい。
「アイテムボックスに永久封印!」
こんなのは死蔵決定だ。
「ベイナ様はぁ、誰か呪いたい人でもいるんですかぁ?」
「いや、殴った方が早いし…」
「ですですぅ。 殴り殺した方が早いですぅ」
「いや、そう言う事じゃないんだけどな」
お気軽に殴り殺したり出来ないから呪術書なんかに頼るんだと思うんだよね。
でも私は回りくどい事は好きじゃないってだけで、力が無ければ呪術書に頼る未来もあったかも知れないんだよな。 誰も彼もが聖人君子ではないのだ。
日本じゃぁ呪殺は不可能犯罪扱いだったケド、この世界ではどういった扱いになるのだろうか?
「それよりも先に金銀財宝を回収してしまおう。 何か気に入ったモノとかあった?」
「別に無いですぅ」
「ここの剣は金ピカで実用性が無いのー」
どうやらウチのメンバーには琴線に触れるお宝は無かったらしい。
「じゃぁ一応共有財産って事で、全部私のアイテムボックスに仕舞っておいても大丈夫かな?」
「問題ないですよぉ」
「構わないのー」
お許しが出たので、片っ端からアイテムボックスに仕舞っていく。
金貨や白金貨の他には宝石類や美術品、刀剣や魔導書なんてモノまである。 とは言っても刀剣類は儀式剣らしくて実用性は無い。
含まれている魔導書も、呪術書などの微妙なモノばかりで日の目を見る様なモノでは無かった。
美術品はどうしよう? 出来ればサッサと換金したいのだが、換金場所が判らないので暫くは死蔵決定だな。
とは言え流石は侯爵家、貨幣だけでも結構な金額になりそうなので暫くはお金に苦労する事もなさそうだ。
「これで最後かな?」
「私はぁ、幼女服を探したいですぅ」
「ハトリは武器が見たいのー」
洋服に武器庫かぁ。 服はともかく、武器とか持ち去ってフレッシュゾンビは大丈夫なのだろうか?
「フレッシュゾンビはぁ、腐るだけなので気にしないと思いますぅ」
大丈夫らしい。 それなら皿とかの日用品とかも貰って行こうかな。
「分かれて行動しないか? 私は魔導書とかも探してみたいし」
「そうですねぇ。 手分けした方が良いかも知れないですぅ」
「ハトリはママと一緒に行くのー」
「じゃぁ二時間後にここに集合って事で良いかな」
「問題ないですよぉ」
そんなこんなで、侯爵家の探索は暫く続いた。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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