第198話 世直し編 ~えっ? 湯浴みですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「さて、生き残りもいない様だし、そろそろお宝探しでもしようか」
お宝探しを始める幼女、ハイガンベイナ6歳です。
「さぁ、沢山見つけるぞぉ!」
「暫く1人で寂しかったですぅ」
「おぅ、ヘルか。 そっちはどうだ?」
「もうとっくに終わってぇ、ずっとベイナ様を探していたんですよぉ」
「そうなのか? 手間を掛けさせたな。 御苦労様」
やっぱりヘルはもう終わっていたのか。 思いの外早かったな。
「ベイナ様が広範囲の呪言を使ったのが判ったのでぇ、真似して階層を指定して皆殺しにしましたぁ」
「そんな事が出来るのか?」
「まぁ十八番ですからぁ。 えっへん」
そうか、呪言はヘルの方が得意なのか。 そりゃそうか。 ヘルってきっと呪言のエキスパートだろうからな。 今度教えてもらえないだろうか?
「それはそうとぉ、ベイナ様は血でベトベトですぅ。 せっかく抱き付こうと思っていたのにどうしてくれるんですかぁ?」
「いや、新技の近接戦闘で仕方なくだな」
「そんなベイナ様はぁ、今すぐ湯浴みをすべきだと思いますぅ」
「いや、生き残りがいるかも知れないし」
「近くにハトリちゃん達以外の生きた魂はありませんよぉ?」
「しかも、これからお宝探しの時間だし、それに準備も大変だろ?」
「そんな事はありませんよぉ。 いらっしゃい、ゾンビ美ちゃん、ゾンビ子ちゃん」
「そちらさんは?」
「上の階で作ったフレッシュゾンビですぅ」
「便利そうだな」
「何と言っても死にたての使用人を使っていますからぁ」
フレッシュゾンビって何だ? まだ肌に血の気が残っているんだが。
「フレッシュゾンビは死にたての人間を利用したゾンビでぇ、腐敗していないので料理とかもさせられますよぉ」
「いやいや、ゾンビに料理は無理だろう」
「そのために使用人を使っているんでうすよぉ」
「生前の記憶や経験を引き継ぐ事が出来るのか? 凄いじゃないかっ!」
「えっへん。 褒めても良いんですよぉ」
「えらいえらい」
手も血塗れなので、言葉だけで褒めてみる。 ヘルは少し残念そうだ。
「なので早速湯浴みして下さい。 ゾンビ美ちゃん、ゾンビ子ちゃん。 湯浴みの準備をしなさい、場所は客間を利用しますぅ。 ほら、行きますよベイナ様ぁ」
「おっ、おぅ」
ヘルがいつになく積極的だな。 余程ナデナデしなかった事が、御不満だったらしいと見える。
使用されていない客間へと向かい、バスタブのある部屋へと入る。 今から湯を沸かしていたんじゃぁ、結構時間が掛かるんじゃないかな。
と思っていた時期が私にもありました。
フレッシュゾンビの2人は、片方が水魔法でバスタブを満たし、もう片方が火魔法でサックっとお湯にした。 すげえな、侯爵家のメイド。 これがブルジョアか。
「さぁ、脱ぎ脱ぎしましょうねぇ」
「あれ? フレッシュゾンビにさせないのか?」
「何を言っているんでうかぁ? こんな美味しい…ゲフンゲフン。 ベイナ様のお世話はヘルの仕事ですぅ!」
「そっ、そうなのか? これ位自分で出きるのだが…」
「ダメですよベイナ様ぁ、既に幼女は熟睡している時間なのですぅ。 ご自分では気付いていらっしゃないみたいですがぁ、眠そうですよぉ」
「寧ろ興奮して目が冴えていると思っていたんだがなぁ」
「確かに夜はこれからですしぃ、私とイチャラブするには良い機会かも知れないですぅ」
「いや、急に眠気が襲ってきた気がするぞ」
「だった脱ぎ脱ぎは私がやりますねぇ」
「あっ、ハイ」
何だかヘルに上手く誘導されている気がしないでもないが、黙って服を脱がされていく。 アレ? いま下着の臭いを嗅がなかったか? ちょびっと漏らしたのだが大丈夫だろうか?
「さぁ、湯船に入りますよぉ。 眠くなったら寝ても良いですからねぇ」
「そんな血走った目で言われると、安心して眠れないのだが?」
「私も寝不足でぇ、目が充血しているだけですぅ」
「鼻息も荒い様だが?」
「花粉症なんですぅ」
「嘘吐けっ!」
ちっとも安心出来ないぞ。
「【ベイナ様はぁ、だんだん眠くなるですぅ】」
「今、呪言を使わなかったか?」
「オーバードライブぅ!」
「出力を上げているんじゃねーよっ!」
あっ、いかん。 これは防壁を突破される…。
「ふっ、ふっ、ふっ。 ベイナ様はぁ、安心してお眠り下さいなぁ」
「くっ、…意識が…」
れろれろれーろ♪ れーろ♪ ちゅぱちゅぱちゅーぱ♪ ちゅーぱ♪
どこか遠くから、変な歌が聞こえてくる。 起きないと不味い気はするのだが、思考は回らないし覚醒なんて夢のまた夢だ。 夢の中だけに。
今の私は、ヘルに美味しく頂かれているのだろうか? それとも、ヘルが変な歌を歌っているだけか。
はぁ、もう諦めろって事だよね。 身持ちが固すぎる女は相手が離れていくって言うけど、私は幼女だぞ。 ちょっと早すぎる気がするのだ。
おまわりさーん、こっちですぅ! えっ、今は非番で来られない? ちっ、使えねーな。
異世界がロリコンに寛容なのか、それとも私が持ち込んだ日本の知識がヤバいのか。
少なくとも西洋神話じゃぁ、ロリコンはいなかったハズなんだけどなぁ。 こっちの世界の死神さんは、真性のロリコンで間違いないと思う。
おかしいな、異世界転生した時は単純な無双系成り上がりストーリになるハズだったんだけどな。
どうしてこうなった?
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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