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第195話 世直し編 ~えっ? 夜襲ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「ヘルは上の階を頼む。 私はこのまま一階を制圧する」

「おバカは程々にするんですよぉ」

「お前は私の母親かっ!」


 一階の制圧に向かう幼女、ハイガンベイナ6歳です。


 この世界の建物では一般的に主要人物は一階に住み、使用人などは上層階で寝泊まりしているのだ。 また、主要な執務室なども一階に存在する。


 今回の目的は侯爵邸で生活している者たちの虐殺だが、お宝の回収も予定しているので一階を担当した。


 それにココにくる以前に侯爵の頭の中をのぞいたのだが、隠し金庫などは執務室に存在するのだ。 ただし城などとは違うので宝物庫などは存在しない。


 だから手当たり次第に寝室を襲撃し、例え寝ていたとしてもそのまま殺すつもりだ。 新当主の長男などもいるのだが、宝の位置などの変更はしていないだろうとの思惑もある。


 態々《わざわざ》頭の中を覗く必要も無いだろう。


 また、脱出用の地下通路などが存在しないのも大きなポイントだ。 いや、まぁ城でもない限りは普通は秘密の脱出路なんて存在しないのだが、中には変わり者なんてのもいるからね。


 それにさっきの戦闘で結構大きな音がしたのだが、防音機能が優秀なのかそれとも鈍感な平和ボケが多いのか、未だに寝ている者も多いみたいなんだよ。


 それこそ屋敷に火でも放たない限りは起きてこないんじゃないかな。 あるいは部屋の中で嵐が過ぎ去るのを待っているだけかも知れないが。


 私の魔力探査では起きているかどうかなんて本当の事は判らないので推測でしかないのだが、まぁ何とかなるだろう。


 私としての最悪なパターンは個別に散り散りに逃げられる事なので、今の状況は私の望み通りとも言えるのだ。


 さぁ狩りを始めよう。 ブラッディネイルで鍵を静かに壊して部屋に押し入る。


「誰ですかな?」

「悪夢を届けに参りました」

「ほぅ」


 中にいたのは爺さんで、手にはレイピアを持っている。 何だろう、服装は寝間着のままだが雰囲気が貴族とは違って随分と落ち着いている。


「お名前をうかがっても?」

「生憎と名乗りもしない者には名乗り返さない様にしているので御座います」

「これは失礼。 ちまたでは魔王などと呼ばれているハイガンベイナ・イーストウッドです」

「ほぅ、貴方がお館様の仇である魔王ですか。 私は当家にお仕えしている執事長のセバスで御座います」


 おおぅ、執事でセバスとか本当にいるんだ。 こんな場合じゃなければサインでも貰いたいくらいだ。


「では、参りますぞ」

「うげっ、早っ!」


 気が付くと、レイピアの先端が私の眼球を目指して真っ直ぐ伸びてきた。 おかしいな、2メートル以上は離れていたハズなのに。


 慌てて側転して距離を取ると、避けられたのが意外だったのか少し驚いているみたいだった。 私の方が驚いたケドな!


「まさか今のが避けられるとは思いませんでしたぞ」

「避けた自分が言うのも何だけど、よく避けられたと思うよ」

「所見殺しの縮地だったのですがね。 魔術師と伺っていたのですが、認識を改める必要がありそうですな」


 執事が縮地なんて使ってんじゃねーよ! そりゃぁラノベとかだと戦える執事が出てくる事なんて良くあるケド、縮地って剣士の奥義じゃなかったか?


 ヤベーよコイツ。 下手な剣士とかを相手にするより大変じゃん。 こうなったら、距離を稼ぎつつ呪言で方をつけてしまおうか。


 幸運にもコイツは寝間着だし、呪言封じにアミュレットなんて持っていないみたいだし。


 ジリジリと距離を稼ぎつつ呪言を放つ。


「【死ね】!」

「ふんぬっ!」


 はっ? 無効化された?


「ほぅ、呪言は死神ヘルの専売特許かと思っていたのですが、魔王も使えるのですね」

「いや、サラッと無効化してんじゃねーよっ!」

「こんなモノは気合で何とかなるモノですよ」

「んなワケあるかぁっ!」


 ヤベーよ、ヤベーよ。 近接戦闘は執事の方が強そうだし、呪言までも無効化するとかどうなっているんだよっ!


 それに加えて、室内だってのも都合が悪い。 だって十分な距離が取れないんだもの。


 こんなのはアウトレンジから一方的にボコるってのが私の戦い方なのだが、その選択肢が取れないのだ。


 どうする? 魔術だって発動するタイミングに攻撃されてしまえば、不発に終わる可能性が高い。


 それにこの後だってあるのだろから、延焼する可能性を考えれば火は使えない。 だって他の連中には逃げて欲しくないからね。


 殺傷能力があって発動が早い魔術なんて覚えていたっけ?


 ダメだ、解決策が思いつかない。


 こんなヤバい奴はココで殺しておきたいんだけど、そこまでの道が見えないや。


 コイツは何て言ってた? 私の事を魔術師だと思っていたんだっけか。 いや、今は少し動ける魔術師か。


 だからと言って、覚えたてのブラッディネイルが通用するとも思えない。 バリバリの近接戦闘タイプだもんな。


 私の手札って呪言、魔術、ブラッディネイル以外に何か無かったっけ? 今までの戦闘で何か参考になる事があれば良いんだけど…。


 あっ、アレがあったっけ。 でもなぁ、進んでやる気にはならないんだが…。


「さぁ、作戦は思い付きましたかな? そろそろ参りますよ」

「出来れば遠慮して貰いたいんだが」

「私も幼女を殺す趣味はありませんが、貴方はお館様の仇なのですよ」

「ちっ、少しは労れよ」

「では参りますぞっ!」


 そうして私は、心臓をレイピアで深々と貫かれた。



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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