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第193話 世直し編 ~えっ? 侯爵邸ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「遅いなぁ、ヘル」

「ママー、眠たくなってきたのー」

「ちょっ、こんな所で寝ないでっ!」


 ウトウトするハトリを気遣う幼女、ハイガンベイナ6歳です。


 私達は侯爵邸が見える場所で待機しているのだが、ヘルがいつまて待っても来ない。 何をしているんだか。


 時刻は夜から深夜へと向かうところなのだが、街の中は少し騒がしい。 うん、延焼しちゃったんだよ。


 レンガ造りの建物が多いから大丈夫かとも思ったんだけど、思いのほか空気が乾燥していたみたいだ。 ついでに言えば風も少し強めに吹いている。


 それが野外に置いてあったたるや馬車、納屋なのど木製の物に火の粉が移ったみたいだな。


 しかし何だろう。 この地域では消火の概念が無いのだろうか? 避難する人はいるんだけど、火を消そうとする人は驚く程に少ないんだ。


 しかも消火を行おうとしている人も火をほうきではたいていたり、中にはコップで水をかけていたりと本気で火を消そうとしているのかも疑わしい。


 そりゃぁ消化器があるとは思っていないけど、水に塗らした布を被せる人すらいないんだよね。 だから手遅れになって色々と燃え移っているんだよ。


 そもそも油が貴重なのか、明かりでさえ不足していたからね。 火を着ける事には苦労した経験があっても、火を消すことに苦労した事すら無いのだろう。


 消火って知識が必要なんだって初めて知ったよ。


 そりゃぁ室内でファイヤーボールを使用するバカは現れなかったんだろうし、ボヤ以外は初めての経験だったのかもね。


 あっ、アレはヘルかな?


「ふぅ、いっぱい燃やしましたぁ」

「ん? 何かあったのか?」

「宿を出た後にぃ、追手が現れたのでぇ、ついでに焼却しておきましたぁ」

「追手? 仲間がいたのか?」

「何だか革鎧かわよろいを着た武装集団が襲って来たのですぅ」

「それって衛兵じゃね?」

「仲間外れはしない主義なんですぅ」


 そっか、放火魔が街中を移動していたのか。 そりゃぁ延焼するハズだわ。


「放火魔なんてひどいですぅ。 中には包丁で武装した小汚いオヤジまで相手にしていたんですよぉ。 燃やしましたけどぉ」

「なぁ、それって…」


 まぁ包丁を振り回す奴を殺すのは判るけど、燃やすのはやり過ぎではあるまいか。


 なる程なぁ、襲撃者に衛兵、そして有志のキチガイが火種になったのか。


「汚物は地獄の炎で焼却ですぅ。 あっ、魂いりますかぁ?」

「いらん」


 態々《わざわざ》魂なんて集めていたのか? 死神としての習性だろうか?


「こんな物でも悪魔召喚とかにも使えるんですよぉ」

「いるんだ、悪魔。 まぁ聖教なんてのもあるくらいだからな。 そんな事もあるか」

「まぁ人を惑わすくらいにしか使えませんケドぉ」


 そう言えば魔王って悪魔の王って意味だったのだろうか? やだぞ、そんなショボい連中の王様だなんて。


 気分的にはゴブリンキングとどっちがマシなのだろうか? 止めようかな。 魔王を名乗るのは。


「じゃぁそろそろ襲撃しようか。 今日は泊まる所も無いワケだし」

「まだ眠いのー」

「そうは言ってもなぁ。 寝る場所なんて無いぞ」

「んー、やなのー」


「ベイナ様ぁ、どうせ侯爵邸を襲撃するワケですしぃ、皆殺しにでもした後に寝床にすれば良いのではぁ?」

「お前、天才かっ?」

「ただの死神ですぅ」


 世の中には居直り強盗ってのがあるが、差詰さしづめ居直り殺人鬼だろうか? まぁどの道お宝を全て頂戴するには住人は邪魔だし、悪くない判断なのかも知れないな。


「ハトリ、あそこの建物にいる人間を皆殺しにしたら、好きな部屋で寝て良いから」

「んー、仕方ないのー」


「ヘル、お前は炎系の魔術は禁止な」

「苦しみながら燃え死ぬのが見たかったのに残念ですぅ」


「ミーティア?」

『…』

「寝てますよぉ」

「悪いがミーティアを頼めるか?」

「ベイナ様はぁ、どうするんですかぁ?」

「近接戦闘の新技があるんだ。 とにかく寝床が無くなる技は禁止だぞ」

「じゃぁ呪言をメインに使いますぅ」

「それで頼む」


 まぁ全ての兵士が呪言対策をしているとは思えないから何とかなるだろう。


 私も呪言とブラッディネイルをメインに戦うとするかな。 そもそも呪言対策のアミュレットって安い物だとは思えないんだよね。 襲撃者は装備してたみたいだけど。


 少なくとも一般の使用人とかなら無傷で殺せるだろうし、後で寝る事を考えたら血塗れにもしたくない。


 だからと言って殺るときは殺るんだけどね。 使っていない寝室とか客間くらいはあると思うから、寝室とかでも躊躇ためらう理由は無いし。


 それにヘルは死体をアンデッド化出来るハズだから、グッスリ眠るには死体を残しておきたいってのもあるんだ。 侵入者阻止の意味でも。


 ホント、考えてみれば私達って悪党だよな。 地球なら指名手配程度じゃ済まないよね。


 異世界だから殺人鬼になったのか、それとも元から私はサイコパスだったのだろうか? 地球の犯罪都市にでも生まれたら、人生はどうなっていたのだろう?


 いや、いいか。 仮定の話に意味は無い。 今はそんな事よりもハトリの寝床を確保する事が重要だ。


 さぁ行こう。 蹂躙じゅうりんの始まりだ。



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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