第19話 幼女再進撃~えっ? 以前とは違うんですけど?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「返って来たど~っ!」
逃げ帰ってから2週間、考えられる全ての準備をして来た。
移動、殲滅、撤退、避難。 今ならば全てを行えるハズだ。
当面の目標は、階層主へと続く道の捜索。 階層主の討伐はその時が来たならば考えよう。
ヒドラの殲滅? 無茶言うなし。 リポップする相手に対し、殲滅はあり得ない。 取れる手段は、移動中の排除などを念頭において活動する事。
まあ、階層を脱出する事が目的だからな。 ヒドラを殺す事を目的にするつもりは無い。
早速谷底へ飛び出し、道形に進む。 まずはマッピングだ。
適当だろうが何だろうが、徘徊しまくっていればマップは自然と埋まるだろう。
出来る事なら死にたくない。 それを実現するためには階層主への最適ルートを割り出す必要がある。
最短では無く最適。 疲労する様なルートでは敗北は必至だろう。 何せヒドラが雑魚扱いにされる様な階層だ。 ラスボスが弱いハズが無い。
ヒドラに混じってヒドラを貪る未来も想像した。 うん、アマゾネスでもそんな無茶はしないな。
しかし食料は有限である。 しかもラスボスを倒せない場合は、確定する未来でもある。
要するに逃げ道は存在しないのだ。 ならば地獄の蓋を自らの手で開けるのは必然とも言える。
腹を括って前へと進む。 するとお誂え向きなヒドラが1匹。
「熱光学迷ちゃい術ちき展開、機動。 ちゃん連レールガトリングガン展開、ファイア!」
初撃で3つの頭が吹き飛ばされるヒドラ。 再生度合いを目安にしつつ胴体に弾丸を叩き込む。
再生、破壊、再生、破壊、再生、破壊、破壊、再生、破壊、破壊、破壊。
再生力が破壊力に蹂躙され始める。
破壊、破壊、破壊、再生、破壊、破壊、破壊、破壊。
程なくして哀れなヒドラは肉塊へと変わった。
寄って来る死体あさりを大きく迂回しながら、少しずつマップを埋めていく。
今度は迂回出来ないカンジで道を塞ぐヒドラ。 少々大ぶりだが、無視して頭に弾丸を叩き込む。
うん、少々の体格差は問題にすらならない様だ。
ならば作業として、淡々と処理していくべくだろう。
処す、処す、処す。
マップと比例する様に増加していく肉塊。 今のところは予定通りだ。
別にヒドラに対して炊き出しゴッコをするつもりは無い。
そんな私の感情を無視して、彼方此方で振る舞われるヒドラの生肉に、ヒドラたちは歓喜している様だった。
もはや弱肉強食ですらないその宴に、祭りか何かを想起させる雰囲気。
自分が食べる側である内は些事と無視して、自分が食材になる未来は想像すらしない。
何処かスラム街と似た空気に戸惑う一方で、冷静に処理していく私。
少しずつ壊れていく日本人としての私。
少しずつ形勢されていく化け物としての私。
此処は単に弱い者が死ぬ世界。 愚か者が死ぬ世界。 偽善者が死ぬ世界。
ダンジョンと言う名の死合い場。
不純物が枌落とされ、ただ殺すための存在として純度を高めていく。
躊躇いが枌落とされ、憐憫が枌落とされ、感情が枌落とされていく。
はっ、はははっ。
世界が澄み渡っていくの感じる。
唯一残っていた殺戮衝動に身を任し、1つ1つと肉塊を生産していく。
何だろうこの感覚。 私の中の「黒」が歓喜している。
「黒」に身を委ねれば委ねる程に、力が跳ね返って来る。
殺せ、潰せ、引き裂け、貫け。
嗚呼、心地良い。 全てが自然で、全てが必然。
目に止まったから殺し、目に止まったから貫く。
今の私には押し潰せる尻尾も無ければ、引き裂ける爪も無い。
だけどそんな事が気にならない程に充実している。
ヒドラ如きが道を塞ぐとは何事かっ! 貴様等如きが空を飛ぶなど不届き千万。 地べたを這いずり回って山陰で縮こまっているのがお似合いだ。
平伏せ、モドキ共!
竜に成り損ねたモドキ共。 毒でブレスの真似事をするモドキ共。
私が本物のブレスを見せてやろう。
少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




