第187話 世直し編 ~えっ? 錬金屋ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「次は何処に行くのー?」
「ちょっと錬金屋によっていいかな?」
「良いのー」
ハトリとウキウキで錬金屋に向かう幼女、ハイガンベイナ6歳です。
このままだとニート一直線な気がしたのでどうしようかと思っていた時、そう言えば錬金スキルを殆ど使っていない事に気が付いた。
うん、砂鉄を集めたりする程度だもんね。 もはや錬金術は関係無いじゃん。
てな事で、錬金スキルを活用する事で、ニートな未来を回避出来ないかどうかを考えていたんだ。 勿論、錬金術以外にも思い付いた事があれば、色々試してみるつもりだ。
毎度お馴染みの通行人を捕まえて優しく錬金屋の場所を尋問…げふんげふん、教えて頂いて向かっている最中だ。
「あそこかな?」
「何だか怪しい魔女がいそうなのー。 狩るのー?」
「狩らない、狩らない」
そうか、ハトリにとって魔女は狩る対象なのか。 私は魔の森の魔女様の事があるので、出来れば平和的には接したいと思っているんだ。 どんな強者がいるか判らないからね。
「邪魔するぞー」
「邪魔するのー」
「帰んな。 ここは子供の来る場所じゃないんだ」
今度は、とっても魔女っぽい老婆に拒絶されました。 この街じゃぁ幼女と童女は買い物をしてはいけないのだろうか?
「だが断る!」
「断るのー!」
「ここは遊び場じゃないんだ。 痛い目を見たくなければ、さっさと出てお行き!」
「亀甲縛りなのー! 女王様とよぶのー」
「ちょっ、ハトリさん?」
うん、老婆の亀甲縛りは何だか心に来るモノがある。 主にSAN値的な意味で。
だって、縛られているババァが顔を赤らめて鼻息を荒くしているんだぜ? どうしろって言うんだよ!
「あのぉ、大丈夫ですか?」
「ハァハァハァ。 はっ、思わず死んだ旦那との逢瀬を思い出してしまった」
「どんな逢瀬だったんだよっ!」
何だか見てはいけないモノを見た気分になってしまったので、ハトリに拘束を解いてもらった。
「で、こんなか弱い老婆を縛り上げてまで、一体何が望みだい?」
「錬金セットはありますか? 出来れば初心者向けの」
「なる程、お貴族様向けの高級錬金セットだな?」
「初心者セットでお願いします」
「実用性のカケラも無いお貴族様向けの高級錬金セットは金貨100枚だよ。 さっさと払いな!」
「なんてババァだっ!」
「冷やかしなら帰んな」
どうしよう。 塩対応どころかボッタくる気満々だよ。 別に強盗に来たんじゃないんだから、拘束を解いたのは間違いだったかな?
よし、ババァには眠ってもらうでもして、商品をゲットするとしよう。 料金は手数料込みで九割引で良いかな? 迷惑料はサービスしよう。
でも眠らせるってどうするんだっけか? 首トンって実は危ない行為だったかな。 腹パンで意識を失うのはフィクションって話だし。
本当なら睡眠魔法とかが良いんだろうけど、そんな魔法は覚えていないし。
あっ、そうだ。 スタンガンみたいに電撃を浴びせるのはどうだろう? スタンボルトの威力を抑えれば、何とかなるかな?
「スタンボルトぉぉぉ!」
「うぎゃぁぁぁ~っ!」
プスプス。
うん、絶妙な焼き加減だ。 ちょっと黒焦げで炭化している気がするけど、気を失っているだけだよな。 そうに違いない。
「ママが魔女を狩ったのー」
「えっ、気のせいだよ」
サクッと老婆だった炭化物をアイテムボックスに仕舞い込み、証拠を隠滅する。
「それにしても店員がいないなんて不用心だな。 無人販売所だろうか?」
「店員はママのアイテムボックスの中にいるのー」
どうやらハトリは無かった事にはしてくれないらしい。 真面目な娘に育ってくれて、私は嬉しいよ。 でもね。
「いや、ハトリさん。 ここには店員はいなかったって事で何とか…」
「嘘はいけないのー」
「ハイ」
「嘘を吐いたらゴメンなさいなのー」
「ゴメンなさい」
「これで一件落着なのー!」
あっ、一件落着なんだ。 色々やらかしたかと思っていたケド、不問にしてくれるんだ。 お母さんぶりたい年頃なのだろうか?
まぁ良いや。 あとは入手予定だった錬金セットをどうするかって事なんだけど、勝手に持っていくのは流石に教育に悪いよな。
えっ、衛兵への説明? するワケないじゃん。 勿論、捕縛されるくらいならコロコロする予定です。
仕方がないな、またの機会にするか。 別に錬金セットって今すぐ必要な物じゃないし。
それにハガレンみたいに手をついて連成する錬金術の方が好きなんだよね。 カッコいいし。
そっちを習得しようかな? うん、そうしよう。 アレを錬金術と言い張る潔さが好きだ。
だから今は、全力でデートを楽しむ事としようと思う。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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