第185話 世直し編 ~えっ? 宿屋の攻防ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「たのもー!」
「たのむのー!」
宿屋の受付で大声を上げる幼女、ハイガンベイナ6歳です。
何とか宿屋を見つけた私達は、宿を取るために受付で大声を上げていた。 昼過ぎと言う時間が微妙なのか、受付に人がいなかったのだ。
「はいはい、いらっしゃいませー」
出てきたのは40代と思しき女将、私達の姿を確認すると微妙な顔をして固まっていた。
ここは先手必勝であろう。 前回の経験を活かし、イチャモンを付けられる前に部屋をキープするのだ。
「あのぉ…」
「家族なのだ」
「家族なのー」
「母親ですぅ」
「全然似ていませんね…」
「父親似なのだ」
「私も父親似なのー」
「私のぉ、お腹を痛めた姉妹ですぅ」
まぁね、顔わおろか肌の色まで違っているのだから尚更だ。 ハトリは健康的な小麦色だし、ヘルは不健康なくらいに白い。 そして私は標準的な白色人種だ。
どうみ見たって他人だからね。 そりゃ親子の設定には無理があるハズだ。 そしてミーティアはペット役なので喋りはしない。
だがここは押し通す!
「個室で3部屋頼む」
「家族の大部屋1つなのー」
「大部屋でぇ、大きなベッドがある部屋をお願いしますぅ」
「多数決で大部屋にしておきますね」
なぜだ。 私が一番偉いハズなのに無視されたし。
個人的には抗議したのだが、「お嬢ちゃんはおませさんですね」とか言って取り合って貰えなかった。 ちくせう。
「思いの外、立派な部屋じゃないか」
「お風呂は小さいのー」
「ベッドは大きいですよぉ」
『ペタンはソファで寝るです』
ガチャリ。
ふと入り口を振り向くと、何故かヘルは扉を施錠したようだ。 ふむ。
私が一歩下がると、ヘルが一歩踏み出す。
右に一歩移動すると、鏡合わせの様に同じ方向へ移動する。
右と見せかけて左! どうやらコチラの動きを読んでいるかの様に、いつでも飛びかかれる距離をキープしているみたいだ。
「何がしたいのかな?」
「昼間から運動なんてどうですかぁ? 主にベッドの上で」
「襲うなよ?」
「大丈夫ですよぉ。 天井のシミでも数えて入ればおわりますぅ」
「何をするつもりなんだ?」
「何をするつもりですぅ」
いかん、目が血走っているし鼻息も荒い。 そして手には、リボンで出来た幼女下着を持っている。
これはマズいな、夜になったら襲われるかも知れないと思っていたが、ヘルにはこの部屋がラブホテルの一室にでも見えているらしい。
「こうなったらハトリさん、お願いします!」
「ママ、ゴメンなさいなのー」
ガシッ! そしてハトリは私を羽交い締めにした。 あっ、ハトリも少し興奮しているっぽい。
ピーンチ! エロピーンチ!
「まっ、待て! 2人とも! 昼間から騒いでいると、宿を追い出されるぞっ!」
「ご安心下さいベイナ様ぁ。 この空間は遮音結界で被いましたからぁ、音は外には漏れませんよぉ」
「今日は3人でラブラブするのー」
「くっ、万事休すかっ!」
「ベイナ樣ぁ、そろそろ年貢の納め時だと思うのですぅ」
「納めてたまるかっ! そっ、そうだハトリ、2人だけで買い物にでも行かないか?」
「2人だけのなの?」
「そうだ、2人きりで買い物に行こう。 3人じゃないぞ、2人きりだっ! 独占だぞっ!」
「んー。 ずっと手を繋いでいてくれる?」
「おう良いぞ、2人きりでラブラブデートだ!」
「判ったのー。 行くのー」
「ハトリちゃんはぁ、裏切るのですかぁ? 3人でラブラブする方がデートよりも楽しいですよぉ!」
「デートが良いのー!」
「ふっ、勝ったな」
「まぁ今回はぁ、負けを認めますぅ。 でも夜は逃さないのですよぉ」
うーむ、このまま逃げちゃダメかな?
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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