第184話 世直し編 ~えっ? 侯爵領ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「ベイナ樣ぁ、そろそろですぅ」
「おっ、あれかな?」
侯爵領へ空での移動中の幼女、ハイガンベイナ6歳です。
レイクフォレストを出発した私達は、空路で侯爵領へと向かう事になった。 とは言っても航続距離に難があるハトリは、私が運んでいるのだが。
「ママー。 街が見えてきたのー」
「うん、今回も広場へ降下しようと思う。 入領税なんてバカらしいからな」
「ケチなのー?」
「せめて不法侵入と言ってくれ」
まぁ何だ。 行列に並ぶとかが面倒くさいだけなんだ。 絶対に色々とイチャモンを付けられそうだし。
だって未だに貴族を表す短剣とかも所持しているので、税金を払わないで入る事は可能だと思うんだよね。 失効していないハズだし。
と、言うワケで着陸だぁ!
「10点、10点、10点!」
「ママ、何言ってるのー? 可愛そうな子みたいなのー」
「そっとしといてくれ。 その言葉は私に効く」
「じゃぁ何言ってるなんて言わないのー。 可哀そうなのは間違い無いのー」
「有難うな、ハトリ。 ぐすん。 心が痛いケド」
「よしよしなのー」
こう言うのもマッチポンプって言うのだろうか? いや、ハトリの優しさに癒されておくとしよう。
「ハトリちゃん、ベイナ様がぁ、色々残念のはどうしようも無い事ですよぉ」
「そうなのー?」
「そうなんですよぉ。 残念な子は死んでも治らないんですぅ」
「判ったのー」
「どんだけぇ!」
えっ? 古い? リアクションまで残念? うっさいわっ!
最近、私に対する容赦が無さ過ぎないか?
「扱い方が判っただけですぅ」
「泣くぞぉ!」
ちくせぅ、誰か私に優しくしてくれ。
『泣くとか幼稚過ぎるです』
おぅ、ミーティア。 お前もか。
そんなこんなで私が集中砲火を浴びていると、軽鎧に槍を持った男たちに囲まれていた。
「怪しい奴だな! 無駄な抵抗は止めておけ。 纏めて牢屋にぶち込んでやる」
「私達の何処が怪しいと言うんだ!」
「怪しいのはママだけなのー。 ハトリは怪しくないのー」
「私もぉ、怪しくないですよぉ」
『こんなんのと一緒にするな、です!』
何でだろう。 私一人が怪しい事になっている件について。
「空から侵入した時点で、十分怪しいだろっ! いいから一緒に来いっ!」
あー、見られていたのか。 そりゃ残念だな。 しかし私は虫の居所が悪いので、ついていくのは当然却下だ。
「【纏めて死ね】」
「「「「ぐはぁっ!」」」」
私達を囲んでいた男達をサックと処分し、アイテムボックスへご招待。 ふっ、完璧だ。
「あのぉ、ベイナ様ぁ。 ドヤ顔しているところ悪いんですけどぉ、周囲から見られてますよぉ?」
「ん? マジで?」
「マジですぅ」
確かに周囲を見回すと、近くにいる者たちは目を反らし、遠くにいる者たちはコソコソ何やら話している。
さよかぁ。 見られていたかぁ。 殺っちゃう? いや、無差別殺人は流石にやり過ぎか。 敵ってワケじゃないし。
ならばこの場は、さっさと移動すべきだろう。 でも何処へ向かえば良いのだろう。 そもそも侯爵邸って何処にあるんだ?
「あのぉ、ベイナ様ぁ。 先に宿を確保しないんですかぁ?」
「どして?」
「今から襲撃するにしてもぉ、その後にこの街から出て行くんですかぁ?」
「そっか。 確かに野宿とか嫌だもんな」
「そうですよぉ。 宿でベイナ様のぉ、下着のファッションショーだってあるんですからぁ」
「しないからなっ!」
あのリボン下着を私に着させる予定なのか? 大体、下着としての機能なんてあるのか?
「大丈夫ですよぉ。 その後は美味しく頂くためにぃ、脱がせますからぁ」
「頂かれる予定は無いっ!」
「じゃぁファッションショーだけにしますぅ」
「まぁファッションショーくらいなら良いか。 勿論、美味しく頂かれたりなんかしないケドなっ!」
「やっぱりママは残念なのー」
『やっぱりこんなのとは違うです』
「ハトリちゃん、ミーティアちゃん、しぃーですよぉ。 しぃー」
こうして私は貞操を守りぬき、宿屋探しへと向かった。 あっ、何だか人が避けていくぞ。 モーゼの十戒だろうか?
で、宿って何処にあるんだ?
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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