第181話 旅立ち編 ~えっ? 侯爵処刑ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「と言うワケで処刑を開始する」
「嫌だぁぁぁ~っ! まだ私にはやらなきゃならない事が沢山あるんだぁぁぁ~っ!」
侯爵家当主を処刑する幼女、ハイガンベイナ6歳です。
元々はジアンヌ嬢にやらせる予定だったのだが断られたんだよ。 ナイーブだよな。
それで処刑の実行は私がする事になったんだけど、場所の提供すら断られてしまった。 色々な貴族を敵に回すことがとても怖いらしい。
いや、既に侯爵次男とか処刑しているんだから、既に手遅れだと思うけどね。
それで態々《わざわざ》レイクフォレストの街の外で処刑を行う事にしたのだ。
だから本来なら観客のいない状態での処刑になるハズだったんだけど、何故か見物人がゴロゴロいるんだよね。
そこで見物人の一人にその理由を聞いてみた。
「どうして街中でもないのに見物しているんだ?」
「いや、処刑幼女が高位の貴族を殺るらしいって噂になっていたもので…」
「へっ? 処刑幼女?」
「おや? 知らないのかい? 『処刑を楽しむ会』では高位貴族の処刑が見られる数少ない処刑人って事で有名だぞ?」
「Oh…、なんてこったい」
「で、今回はどんな爵位の人物なんだ?」
「侯爵家当主のオマル・スワルって言うらしいぞ。 知らんけど」
処刑される人物が侯爵家の当主だと判明すると、観客から歓声が上がった。 何か貴族に恨みでもあるのだろうか?
ならば今日は少しはサービスしてあげよう。
「本当は魔術で侯爵を丸焼きにする予定だったのだが、今回は諸君らも参加出来る様にしようと思う」
「うぉぉぉ~っ!」
そんなに参加したかったのだろうか? 観衆がえらい盛り上がり方だ。
「薪や枯れ枝、落ち葉なんかを持参した者には火刑台に設置する権利を進呈しよう。 侯爵を焼き殺すのに参加出来る数少ない機会だぞ」
「うぉぉぉ~っ! 焼き殺すぞぉぉぉ~っ!」
「おっ、お前ら! 不敬だぞっ! 家族諸共処刑してくれる!」
なお、侯爵は反対である様だ。
「因みにこの蛆虫はこんな事を言っているが、部下がいないと何も出来ない無能なので気にする必要は無いぞ」
「うぉぉぉ~っ! 蛆虫は黙っていろぉぉぉ~っ!」
現金な連中だな。 自分に害が及ばないと知った途端に元気になりやがった。
意気揚々と家から薪を持ってきて火刑台に設置する者、落ち葉を両手いっぱい抱えてきて薪の上からバラ撒く者、そして中には家庭ゴミをくべる者まで現れ始めた。
てか、ゴミが多すぎじゃね? 流石に生ゴミまで持ち込んできた連中は追い返したが、せめて燃えやすい物を持参して欲しい。
でもまぁ、燃える物もそれなりに増えたので着火を行う事にした。
「皆様のご協力で火刑の準備が整いました」
「うぉぉぉ~っ! 燃やせっ! 燃やせっ! 燃やせっ!」
「まっ、待て! 思い止まるなら今の内だぞっ!」
「何やら雑音が聞こえますが、着火を行いたいと思います。 はい、拍手~!」
パチパチパチ
「人でなし共めっ! お前たちには人の心が無いのかっ!」
「それでは着火っ! ティンダー!」
「うおぉぉぉ~っ! 煙い、煙いぞぉぉぉ~っ! 目に染みるぅぅぅ~っ!」
あれ? 煙ばかりが出て、ちっとも火が大きくならないぞ。 ちょっと風を送ってみるかな。
「ブロウ!」
おおぅ、やっと焚き火レベルになったな。
「うぉっ! うぎゃぁぁぁ~っ! 火がっ! 火が迫ってくるぅぅぅ~っ!」
何を大げさな。 まだ燻っている程度じゃん。 もっと火力をアップしておくか。
「ブロウ! ブロウ! ブロウ!」
「うぎゃぁぁぁ~っ! 熱いっ! 熱いよぉぉぉ~っ!」
火が大きくなると、観衆たちのテンションも上がってきた。
「燃えろっ! 燃えろっ! 燃えろっ!」
対する侯爵は、少しでも火から遠ざかろうと縛られた状態でピクピクしている。 最早叫ぶ余裕すら無い様だ。
ならばトドメを刺すのが優しさってモノだよな。
「火力アップだぁ! ブロウ! ブロウ! ブロウ!」
ぼっと炎が強く燃え上がる。 すると今まで抵抗していた侯爵は瞬く間に炎に包まれた。
これで終わったかな? などど思っていると急に背後が気になったので振り返ってみる。
「うをぉぉぉぉぉ~っ!」
するとすぐそこにには、自分の頭を目指して直進してくる矢が一つ。
「ぬをっ!」
咄嗟に頭を庇うために手を突き出すと、気が付いた時には先端に液体が塗られた矢を握っていた。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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