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第178話 旅立ち編 ~えっ? ニートの本気ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「見よ、マリアンヌ。 アレが侯爵軍だ」

「今日は目玉が休日なので見えないっす」

「その目玉にカラシを塗り込んでやるっ!」

「ぎょうぇぇぇ~っ!」


 ニートの目玉にカラシを塗り込む幼女、ハイガンベイナ6歳です。


 街の外に整列する250人の侯爵軍。 私達は迎撃するために門の外へと集合していた。


 とは言ってもこちらはいつものメンバーにマリアンヌと『傀儡くぐつ』、そしてジアンヌ嬢と護衛が数名の少数での迎撃だ。


 本日の主役は『傀儡』とマリアンヌで、このニートたちに迎撃させる予定なのだ。


「マリアンヌよ、見えるか? 連中は中々の装備で出張って来ているだろう? あれを全てお前と『傀儡』でぎ取るのだ」

「取り分はどのくらいっすか?」

「全部、お前たちのモノだ。 ニートは現金収入に困っているのであろう?」

「うおぉぉぉ~っ! やるっす!」


 何だか急にやる気になったみたいだな。


「『傀儡』のあねさん、行くっすよ! 2人で現金収入っす!」

「僕は働きたくないぞ」

「ニートの心得がなってないっす! 貴重な現金収入は逃しちゃダメっす」

「でもなぁ」

あねさん、欲しがっていた魔導書が買えるチャンスっすよ! 一緒に利益を山分けするっす!」

「魔導書? ぬをぉぉぉ~っ! 急にやる気が出てきたぞぉ!」


 ニートの気持ちは一番ニートが理解しているって事なのか。 物欲の為ならニートでも動くんだな。


 あっ、侯爵軍から口上役が出てきた。


「我々侯爵軍は、アルベルト様の無念を・・・」


アルベルトって誰だ? 侯爵次男の事かな?


「ぬをぉぉぉ~っ! 中々の装備っす! 早速身ぐるみをぐっすよっ!」

「心得たぞ! 傀儡召喚20体!」


「ぎょわぁぁぁ~っ! 何をするぅぅぅ~っ!」


 20体のゴーレムとニート2人が口上役に殺到する。 うん、こりゃ完璧な追い剥ぎだ。


 口上役は慌てて引き返そうとするのだが、マリアンヌがタックルしたかと思うと直ぐに、ゴーレムたちが口上役をき始めた。 豪華な鎧を着ていたのが敗因らしい。


 うわー、あのゴーレムって手先が器用だなぁ。 ちゃんと装備が痛まない様に拘束した上で、め具を解除していく。


 しかもよろいだけではなく、武器や服、所持金なども没収している様だ。 まるでハイエナだな。


 そして下着姿になったかと思うと、用済みとばかりに本体はポーンと放り投げる。 中々の鬼畜度合いである。


 あっ、口上役が内股で泣いている。 豆腐メンタルには厳しい現実だった様だ。 ナムナム。


 だが追い剥ぎ一行はそんな事は眼中にないのか、次に豪華な装備をしている一団に突っ込んで行く。 最早獲物もはやえものにしか見えていないんだろうなぁ。 一応戦争なんだけど。


 対する侯爵軍は混乱の極みだ。 流石にゴーレムで武装した追い剥ぎには直面した事がないのか、一応剣や槍を構えて押し止めようとはしているのだが、効果的な反撃は全く行えていない。


 まぁね、防御力が高いゴーレムに剣や槍なんて通用しないし、メイスやアックスを所持している兵がいないのか、マトモにダメージすら与えられないのだ。


 そして右往左往している間に、豪華な鎧を着た士官から次々にかれていくのだ。 哀れなモノだ。


 いや、一番哀れなのは一般の兵士なのかも知れないな。 お金になりそうなのは所持している槍のみ。 だから槍を捕まれて乱暴に吹き飛ばされているのだ。


 そして強奪した物資は一ヶ所に集められて2体のゴーレムが守護しているのだけれど、今度は奪還を試みた兵士たちがゴキブリの様に潰されている。 アレだね、取ったモノは意地でも返さない感じ。


 だから侯爵軍が瓦解するのには時間が掛からなかった。 しかも装備を着た状態での撤退は認められないらしく、一番豪華な鎧を着ていた指揮官すらも剥かれていた。 侯爵さんご本人だろうか?


 これからどうやって家に帰るつもりなんだろうか? 所持金もなく下着姿じゃぁ、誰も宿にすら止めてくれないんじゃないかな?


 武装だってしていないんだから、下手に脅すことすら出来ないだろうし。


「ぬははははぁ~っ! ビクトリーっす! 今夜は浴びるほど飲むっすよぉ!」

「先ずは換金して、山分けだぞっ!」

「判ってるっすよ。 ネコババはしないっす。 でも先にするのは奪った所持金の山分けっす。 こいつら意外と金持っていたっす」

「うぉぉぉ~っ! 見るんだぞ、大金貨だぞ! 大量だぞ!」


 狂喜乱舞するニートを恨めしそうに見る元侯爵軍。 軍馬すらも奪われて本当に哀れな下着姿である。 勿論おっさん達の下着姿に儒要は無い。


「ジアンヌ嬢、もしもレイクフォレストに下着姿の変質者が入り込もうとした場合は、問答無用で切り捨てる様に通達を出しておいてくれ」

「そこまでさならなくても…」

「ああいった連中は甘やかしたらダメだ。 付け上がるだけだぞ」

「良いのでしょうか?」

「心配するな、例え盗賊連中でも下着姿の連中は襲ったりしないさ」

「彼らはどうやって家に帰るのでしょうか?」

「歩いてだろ?」

「いえ、所持金すらも取り上げられたのですよね?」

「宿屋もうまやを貸し出すくらいの優しさはあるんじゃないか?」

「お食事とかは?」

「残飯…は流石に無いか、飽食ってわけじゃないからな。 物乞ものごいで何とかするんじゃないのか? それとも盗みに入って返り討ちにされるとか。 下着姿だし」

「私ならそんな仕打ちには耐えられないので我慢しますよ」

「でも飢えた事がなさそうじゃん、アレ。 空腹に耐えられるとも思わないんだけどなぁ」


 ジアンヌ嬢は甘いんだか優しいんだか。 でも攻めて来た敵に優しさを見せるのは間違っていると思うぞ。


慈悲じひはお与えにならないんですか?」

「慈悲って殺すって事?」

「いや…まぁ…尊厳を失わない為にはその方が良いのかも知れません」

「尊厳って…、アレがそんなに高尚な存在に見えないんだけど?」


 どう見たって生き恥をさらす事に躊躇ちゅちょしない連中に見えるんだけどなぁ。 まぁ良いか。 珍しいジアンヌ嬢からのお願いだ。 ここで聞いても罰は当たるまい。


「ハトリさんや。 あそこで恨めしそうに見ている連中を皆殺しにしてくれるかな?」

「判ったのー。 行ってくるのー」

「いってらっしゃい」


 こうして私はハトリの後ろ姿を見送った。



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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