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第171話 旅立ち編 ~えっ? 再会ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「もう勘弁かんべんしてくれだぞー」

「ええぃ、キリキリ働けぇっ!」


 魔女をコキ使う幼女、ハイガンベイナ6歳です。


 私達は今、瓦礫がれきの撤去を行っている。 具体的には私が『傀儡くぐつの魔女』をコキ使う形で建物の残骸ざんがいなどを撤去しているのだ。


 まったく好き勝手に壊してくれたモノだ。 幸いと言うか何と言うか、館以外の場所では死者はいないみたいだ。 住民は早々に避難していたみたいで何よりである。


 とは言っても私達に出来るのはここまでだろう。 復興計画なんてモノは無いし、立案できる人材もいない。


 人手不足というと言うよりも、行政に関わる様な人材がいないのだ。 皆死んでしまったからね。


 民間人は行政の事なんて理解出来ないし、私だって理解出来ない。 私の場合はウォルターに任せっきりで、殆どはサインと数字の見直ししかやってなかったからね。


 かと言って人脈すら持っていないので、頼る先すら無いのだ。


 個人的には瓦礫の撤去が終了した後には、全てをフォレストレイクにでも割譲かつじょうしてしまって、ヘルたちの探索にでも出掛けようかと思っているんだ。


 そして見つかった後にはそのまま旅にでも出て、世界各地を漫遊まんゆうでもして過ごそうかと思っている。


 街や館が復興出来たとしても、紙の資料すら残っていないし今更領主に戻りたいとも思わない。 今まではウォルターがいたから領主をやっていただけだし、それに今回の件で敵を全て倒した事も大きいからね。


 もうそろそろスローライフとかもしたいんだよ。 色々な場所に行って観光したり美味しいもの食べたりとかさ。


 コソコソする必要も無くなったから、アイテムボックス内に大量にある金塊も換金出来るからね。 そうでなくても武器商人から押収した金品もあるから現金にすら困っていないし。


 だからまぁ、最後の奉公として瓦礫の撤去だけでも行っておこうかと思っている。


 無責任な自覚はあるんだけど、あの爆発と共にやる気と責任感も吹き飛んでしまった感じだろうか。


 結局、私の『大事なモノ』の中には、この街は含まれていなかったとも言えるのかも知れないな。


「ほら、サボってんじゃねぇよっ! げしげし」

「鬼ぃっ、悪魔ぁっ!」

「魔王だって言ってんだろうがっ!」

「ひぃぃぃ~っ!」


 私はヘルの無事は信じている。 アイツはあんな爆発程度では死なない奴だ。


 そりゃぁ、直ぐに合流出来ていない事から考えると、完全な無事ではないのかも知れないが、何となくの信頼があるのだ。


 だって、死をつかさどっているんだぜ。 変な言い方かも知れないが、例え死んだとしてもヒョッコリ生き返りそうな気がしているんだ。


 そしてミーティアに関しては何となくなんだけど、生きている気がしている。 眷属けんぞくの繋がりとでも言うのかな? ちゃんとまだ繋がっている気がするんだよ。


 だからこそ、2人を探す旅に出る。 2人が死んでいるなんて事はないのだから。


 全く、世話が焼ける連中だ。 見つけたら一日中説教してやろう。 うん、絶対だ。


「それは困るのですぅ」

「いや、決定事項だぞ。 て言うか、隠れてないで出てこいよ」


 ほんと、心配させるんじゃねぇよ。


「あれぇ? 泣いてますぅ?」

「うっせぇ、ちょっと目から汁が出ただけだ。 泣いてねぇよ」

「ツンデレのベイナ様も素敵ですぅ」


 ツンデレが素敵って何だよ。


「ベイナ様ぁ、ギュッとして良いですかぁ?」

「好きにしろ」

「ああっ、このプニプニ感が最高ですぅ」

「苦しい」

「えへへぇ、放しませんよぉ」


『へっ、雑魚ざこが強がってんじゃねぇです』


 ああ、お前も無事で良かったよ。


「えへへへへぇ、こんな素直なベイナ様も大好きですぅ」

「うっせぇ」

「照れなくても良いんですよぉ。 くんかくんか」

「なぁ、ヘル」

「何ですかぁ?」

「おかえり。 安心した」

「きゃぁぁぁ~っ♡ お持ち帰りしても良いですかぁ?」

「それは却下で」

「ああん、つれないですぅ」


 ほんと、コイツはいつもマイペースだな。 まぁそのお陰で私は少し楽になっているのもあるが。


「ママだちだけ、ずるいのー。 ハトリもギュッとするのー」

「ああ、ハトリも一緒にギュッとしようか?」

「するのー!」


 そうか、大切なモノは何も無くなっていなかったんだな。


 ウォルターたちの事を忘れたワケじゃないけど、生きている時間の流れが違うのだ。 だから、いずれは死別するとは思っていた。


 これから、何十年や何百年も私達は生きていくのだ。 だが人間はそうはいかない。


 別に未来の事が見えるワケじゃないけど、近い将来には死別は必ず訪れていた。 どこかで覚悟していた事なんだ。


 確かに急な死別には動揺したし、喪失感もあった。 でも心構こころがまえがあった事が大きかったんだとも思う。


 人間の街を支配しても、心のどかかで飽きるだろうとは思っていたからね。


 だって私達は、人間の時間の中には住めない存在なのだから。



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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