第170話 魔女闘争編 ~えっ? 傀儡魔術ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「マジックスキャン」
「んぎょぎょぎょぎょぉぉぉ~っ!」
『傀儡の魔女』の頭を覗く幼女、ハイガンベイナ6歳です。
最初は本当にコイツが『傀儡の魔女』かを疑った。
何と言うかね、凄く地味なんだよ。 大雑把に言うと少し金持ちの少女って感じだ。
服は清潔感はあるがパッとしないワンピース。 ブロンドと言うより茶色と言える髪、色白と言うより健康的な小麦色。 身長も150センチくらいだろうか?
一言で言うなら「ザ・モブ」。 思わず町娘を虐待してしまったのかと不安になった程だ。
うん、地域住民に紛れたら一瞬で見失いそうな個性の無さ。 コレが魔女だなんて言われても誰も信じないんじゃないかな。
だがコイツの頭の中には世にも珍しい傀儡魔術の知識がギッシリだ。
なんとコレが作る傀儡は自律稼働が可能で、ドローン兵士と言えるほどに高性能なんだ。
例えば一般的なゴーレムは、「目の前の敵を殺せ」といった簡単な命令しか出来ないのだが、コイツの傀儡はAIが搭載されているかの様に状況判断を行い、行動する事が出来る。
それは集団戦闘などの場面などに大きな効果を得る事が出来るのだ。
命令としては「複数の傀儡と協力し、あの砦を攻略しろ」などと言った具合に。
防御の薄い箇所を特定して攻撃したり、1体で攻略できない障害に対しては複数で対処したり、場合によっては陽動作戦すら可能だろう。
最早人造生命の創造と肩を並べるくらいの偉業なのである。
例えば召喚獣の様なモノでも代用できるかも知れないが、長時間稼働させる場合には餌だって必要だし、何より生命が活動出来ない場所では運用が出来ない。
その点、傀儡であれば火山ガスが吹き出す様な場所だって運用出来るし、何なら水の中だって活動できる。
必要なのは魔力源だけというコスパの良さ。 欲しいと素直に思ってしまった。
確かに長時間稼働させるなら魔石が必要だったりするのだが、短期間なら術者の魔力でも事足りるのだ。
しかも人型である必要すら無く、犬型や鳥型なんてモノも可能なのだ。
私の感想で言えば、それはAI搭載ドローンの魔術版だ。
思わず殺すのが惜しくなってしまったのは言うまでも無いだろう。
「テイム!」
「ひょえぇぇぇ~っ?」
隷属させるのは基本である。 私個人としては労働力と言うより教師を得た感覚だ。
ふっふっふっ、私に傀儡魔術を手取り足取り教えてもらおうではないか。 とは言え、渋る様なら半殺しにする所存なのだが。
「さっさと傀儡魔術の全てを教えるのだっ!」
「ぼっ、僕は暴力には屈しないぞっ!」
おやっ? 僕っ娘なのか?
「ふっふっふっ、ならば身も心を私に逆らえなくしてやる」
「なっ、何をするつもりだっ!」
「何をするのだ」
とは言ったもののどうすれば良いのだろうか? テイムした状態なのだから、逆らう事すらおかしいのだが…。
「お手っ!」
「わん!」
「おかわりっ!」
「わん!」
「ちんちん!」
「ちょっとだけだぞ…♡」
あるぇぇぇ~っ? どう言う事だかメス犬化してやがる。
やっぱり隷属魔術じゃなくてテイムした事に問題があるのだろうか? 基本的には同じハズなんだがなぁ…。
確か、隷属魔術には懲罰術式が組み込まれているんだっけ。 個人的には甚振る趣味なんて無いのだから、テイムでも良かったんだがな。
このままじゃ使えないし、元々敵だったんだから構わないか。 じゃあ隷属魔術でやり直してみるかな。
「我に従え、【隷属魔術】!」
「ぎょわぁぁぁ~っ! 体中に激痛がぁぁぁ~っ!」
あっ、奴隷紋が額に浮かび上がってきた。 へぇ、この世界の奴隷ってこうやって出来るのか。
「ぬわぁぁぁ~っ! 何だか気持ち良くなってきたぞっ!」
「へっ? ちょっ、おまっ!」
「ちょっと待ってろ。 もうすぐ新しい扉が開きそうだぞっ!」
「待てぇぇぇ~っ! その扉は開いちゃダメなやつだからっ!」
「ぬをぉぉぉ~っ! ちょっと興奮してきたぞっ!」
「もうお前、黙っていろよっ!」
「ぬふふふふぅ~っ! そのゴミを見る様な目も興奮するぞっ!」
おうふっ、まさかドMだったとは…。 こいつはとんだ計算違いだぜ。
「さぁバッチ来いっ! これなら、どんな責め苦だって耐えられるぞっ!」
「寄るんじゃねぇっ! げしげし」
はぁ、どうしてこの世界の住人は変態ばかりなんだろう。
これじゃぁ状況がさらに悪化してるじゃねぇか。
これからヘルたちも探さなくてはいけないってのに、こんなお荷物はいらないぞ。
ウォルターのいない状態での街の復興もある事だし、これからどうすれば良いのだろうか?
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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