第168話 魔女闘争編 ~えっ? 襲来ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「今度は何だっ?」
「爆発なのー」
街の西側に上がる爆炎を眺める幼女、ハイガンベイナ6歳です。
『暗闇の魔女』の騒動も片付かない最中だと言うのに、新たに起こった爆発に私は目を細めて眺めていた。
どうやら私には、落ち込む事すら許されないらしい。
「私は飛んでいく! ハトリは走って向かってくれっ!」
「判ったのー」
地上には周囲の建物を破壊しながら直進してくるゴーレムが複数、そして空には空爆を行う存在が1人。 随分と大胆だな。
『天空』と『傀儡』の魔女だろうか。 偶然なんて事は無いよな。 狙われたな、コレは。
地上はハトリに任せた方が良いだろう。 だとすると私は空か?
いつもの私なら地上の被害を考えながら戦う事になるんだろうけど、今の私はそんな気分じゃないんだ。 取り敢えず殺せば良いや。
飛んで近づいて行くと、空中では『天空』が待ち構えていた。
「不景気な顔としているじゃないか。 お前が魔王か?」
「随分とご機嫌そうだな。 そう言うお前は『天空』か?」
「はははっ、ガキのくせに生意気だな。 空は私の領域だ。 少し教育してやるよっ!」
「ぬかせ、転移」
転移で懐に潜り込み、拳を肝臓に叩き込む。
「ぐふぉっ!」
やっぱりインファイトは苦手みたいだな。 前に出た顎を下から拳を振り上げて仰け反らせる。
「んぐっ!」
今度は転移で後ろに回り込み、顔面に肘を叩き込む。
「ぎゃっ!」
更にバク転気味に回転した頭を、思いっきり蹴り上げる。
「ぐぺっ!」
放物線を描いてフラフラと落ちていく魔女に狙いを定め、魔術を叩き込む。
「サンダーボルトぉ!」
「ぎゃばばばば~っ!」
黒焦げになった魔女は、そのまま地面へと落ちて行った。 さあ、トドメを刺すか。
ユックリと近付いて行くと、そこには気を失った魔女が倒れていた。 やっぱり魔女はシブトイな。 今更だが記憶を覗いておくか。
「マジックスキャン」
「うががががぁぁぁ~っ!」
ああっ、やっぱりあの自爆も作戦の一部だったのか。 こいつらの予定では、自爆で私達を瀕死にするつもりだったらしい。
その上で『天空』と『傀儡』とでトドメを刺すつもりだったみたいだな。 まあ現実は返り討ちに合っているのだが。
「マイクロウェーブバースト」
「ぐばっ!」
頭を失った魔女は、暫く痙攣を繰り替えした後に動かなくなった。 後は『傀儡』だけか。
周りを見回してみると、ゴーレムの1体とハトリと戦っている。
「とーなのー」
ハトリと戦っていたゴーレムが両断されて崩れ落ちろ。 だが別の所では周囲の瓦礫を集めて新たなゴーレムが生まれていた。
キリがなさそうだな。 『傀儡』は何処にいるのだろうか?
ゴーレムたちが見える位置にいるかと思ったのだが、目立つ場所には見当たらない。 面倒だな。
「ハトリ、そっちは大丈夫か?」
「大丈夫なのー」
「私は『傀儡』を探す! それまで耐えてくれっ!」
「了解なのー」
今も新たに現れたゴーレムの相手をしているが、余裕を持って対応している。 うん、大丈夫そうだな。
私は探索に尽力しよう。 とは言っても苦手なのだが。
さて、どうやって探そうか。 隠れるのが上手そうだし。
魔力探査で周囲をスキャンする。 なんだコレ? それらしい反応が複数あるぞ。 どう言う事なんだ?
仕方が無いので、一番近い場所を探索する。 ぬぅ、いないな。
周囲を見渡すが、隠れている様子は無い。 反応はこの近くのハズなんだが…。
ん? 人形? 反応はコレか?
「ハズレだぞー、自爆っ!」
「うぎゃぁぁぁ~っ! 殺す! 絶対に殺す!」
対した爆発力ではなかったが、私の神経を逆撫でするには十分だった。
そうか、これは私に対する挑戦なんだな。
いいだろう。 楽に死ねるとは思うなよ。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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