第160話 青海の魔女編 ~えっ? 魔女の館ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「誰だお前はっ!」
「招待状にある通りに茶会に参加しに来た者だが?」
「成りすましているんじゃねぇ、帰れ帰れっ!」
門番には招待状が通用しない幼女、ハイガンベイナ6歳です。
私たちは宿場町を離れて、『青海の魔女』の館まで来ている。 招待状には地図が付属いしており、海辺の断崖絶壁にある館で茶会が開かれると書いてあったからだ。
しかしどうやら招待状だけではダメな様で、『灼熱の魔女』でない事が問題になっているみたいだ。
「どうしようか?」
「無理やり入ってしまえばぁ、問題ないのではぁ?」
「大アリだぁぁぁ~っ! てか俺の前で強行突破の話をしてるんじゃねぇ!」
「【黙れ、動くな、呼吸を止めろ】」
「!!!!!!!~っ!」
何だか門番が藻掻き苦しんでいるが問題無いだろう。 しかしそれ以前に問題があった。
どこの部屋で茶会が行われるのかも知らないし、参加者の顔だって知らないのだ。
今回の目的は聖教に関係する魔女の処遇と、敵対する可能性のある魔女の牽制もしくは排除である。
本来なら誰かに案内されて場合によっては紹介されていたのであろうから、強硬突入すると誰が誰か分からない状態で知らない場所を探索すると言う非常に面倒臭い状態になるのだ。
「何だか突入するのが面倒に思えるな」
「じゃぁどうするんですかぁ?」
「こうするのだ。 ギガ・エクスプロージョン!」
吹き上がる爆炎と、激しい衝撃波。 腹の下まで響いてくる振動。 う~ん、85点。
「帰るか」
「ですねぇ」
「ちょっと待てやコラぁぁぁ~っ!」
真っ黒い服に煤けた素肌、そしてボンバーな髪型の上に鎮座する三角帽子。 そんな面々。 DQNだろうか?
「帰りにドコ寄ってく?」
「今度はオシャレなホテルに泊まりたいですぅ」
「無視してんじゃねぇぇぇ~っ!」
チッ、面倒なのに絡まれたな。
「何か用か?」
「私の屋敷を吹き飛ばしたのはお前か?」
「バズると思ってやった。 後悔はしていない」
「殺してやるぅぅぅ~っ! ファイヤーボール!」
イキナリ射ってくるとかキチガイか。 これだから変な見た目の奴には関わりたくなかったのだ。
さらりと魔術障壁を展開してやり過ごす。
「ハトリ、ヘル、ミーティア、やってしまいなさい。 私は襲ってきたアレに対処する」
「了解なのー」
「魔女は火あぶりですぅ」
『命令してんじゃねぇです』
残りは3人に任せて、私は襲ってきたボンバーヘッドと対峙する。
「お前は一体何者だっ?」
「巷では魔王とか呼ばれているハイガンベイナ6歳です」
「貴様が最近噂になっている魔王か。 随分と幼いんだな」
「ほっとけ」
「それでどうして私の屋敷を吹き飛ばしんだ? 今度は魔女たちに喧嘩を売るつもりか」
「いや、目の前に探索が面倒そうな屋敷があったから吹き飛ばしただけだが?」
「そんな理由で吹き飛ばしているじゃねぇ!」
「だって迷いそうだったし…」
「なんちゅうガキだ」
それは建物を探索する手間を知らないからそんな事が言えるのだ。 物語の主人公たちは何故か迷う事はない様だが、現実では違うのだ。
「お前の様なクソガキは一度痛い目に合った方が良さそうだね」
「三連レールガトリングガン展開、ファイア!」
「うぎゃぁぁぁ~っ! 痛いぃぃぃ~っ!」
あっ、痛いで済むんだ。 どうやら積層式の魔術障壁を張ったらしく貫通までは至っていない。 流石は魔女と言うべきだろうか。
「貫通術式付与っ! ファイア!」
「ひぃぃぃ~っ! 死ぬぅぅぅ~っ!」
今度は障壁は貫通出来たのだが、何だか避けられてしまった。
「じゃぁ、今度は連射で…」
「まっ、待て。 今回はこの辺で勘弁してやろうじゃないか」
「鼻水出てるよ?」
「うるさいっ! 気のせいだ!」
そう言って鼻水を拭き取る魔女。 何がしたいんだコイツは?
「なぁ、私としては後腐れなくするために、ここまま始末したいんだが?」
「待て待て、話し合おうじゃないか。 大体からして私にはお前に怨みを買った覚えはないんだが?」
「いやいや。 DQNは一匹見つけたら沢山いるって言うし」
「DQN? ナニソレ?」
「お前みたいなコスプレをしてイキナリ襲ってくる様な連中の事を言うのだ」
「コスプレじゃないっ!」
面倒臭いな、もう殺してしまっても良いんじゃなかろうか?
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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