第150話 灼熱の魔女編 ~えっ? 呪いですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「なあヘル、お前は邪神を呪ったか?」
「さぁ、覚えが無いですぅ」
「だよなぁ」
覚えの無い事を言われる幼女、ハイガンベイナ6歳です。
「おい、邪神。 呪いって何の事だ?」
「貴様ぁぁぁ~っ! 今更惚けるかぁぁぁ~っ!」
いや。 マジで覚えが無いんだが…。 やるなら直接殺しているぞ。
「貴様に焼かれた時の事だっ! アレ以来、呪いが我を蝕むのだっ!」
「ん? 焼く?」
何かやったっけな。 あの時は高出力で赤外線やマイクロ波を照射したんじゃなかったけ? そう言えば残機がどうとかで中々死ななかった気がするな。
「普通に焼いただけだと思うぞ。 残機がどうのとか言ってたから中々死ななかったケド」
「そんなワケあるかぁぁぁ~っ! アレ以来、傷が再生しないのだぞっ!」
「ん? 再生?」
そう言えばヒドラみたいな再生するモンスターに対する方法で、放射線照射を考えた事があるな。
例えばヒドラの再生が細胞を複製するケースだった場合、DNAを破壊すれば単純な再生が出来なくハズだ。 そこで考えたのが放射線照射である。
放射線は生命の設計図とも言えるDNAを破壊し、以降の細胞分裂では癌化したモノになる。 まあ当然だよな。 設計図がグチャグチャなんだから。
「あっ!」
「あっ? 何か思い当たるフシでもあったんですかぁ?」
「そう言えば、放射線照射をやったなぁと思って」
「放射線照射ですかぁ? それってどうなるんでうかぁ?」
「再生しようとすると皮膚が爛れたままになったり、肉がブヨブヨになったりするんだ」
「それだぁぁぁ~っ! 我はソレで多くの残機を失ったのだぞっ! 再生しても肉が腐り落ち、すぐに死んでしまったのだ」
「だろうなぁ。 放射線障害だし」
「しかも治療魔法も一切効果が出なかったのだっ!」
「ああ、病気じゃないからな。 免疫力を高めたり細菌やウイルスを殺しても効果は無いぞ」
「鬼畜ですぅ」
「その呪いを解けと言っておるのだっ!」
「無理だな」
「諦めた方が良いのですぅ」
「何だと? 呪いが解けないハズが無いだろうがぁぁぁ~っ!」
「いや、呪いじゃねーし」
「どう言う事だ?」
コレは説明が必要と言う事だろうか? 正直、面倒臭いな。
「じゃ、そう言う事でもっと干涸びてもらおう」
「塩とぉ、重石の追加ですぅ」
「待てやコラぁぁぁ~っ!」
我侭だな。 このまま干物になって死ねば良いのに。
「何が不満なんだ。 絶対に治らないぞ?」
「そんな強力な呪いなのか?」
「いや、呪いじゃなくて、お前が元の正常な姿を忘れてしまっているんだ」
「はぁっ? 忘れるだと? 我は以前の健康な姿を思い出せるぞ」
「いや、お前の設計図を破壊してしまったからな。 お前が記憶しているよりも詳細な皮膚や肉、臓器などの仕組みの事だ」
「ワケが判らん」
「だろうなぁ」
仕方がないので、DNAに関する考え方やアレコレを説明する。 すると自分が置かれている状態が理解出来たのか、少し大人しくなった。
「そうか。 我はもう以前の様に健康な体に戻ることすら出来ないのか」
「ああ、歩く事すら出来なくなるだろうな。 恐らく食べる事も出来なくなる」
「殺せ。 もう生きていても仕方が無い」
「干物じゃ嫌なのか?」
「徐々に死んでいくなど、真っ平だ。 滅ぶときは、潔く滅びたいのだ」
安楽死が希望かな? まあ面倒なのでやらないケド。
「このまま残機が減っていくだけじゃダメなのか? 正直、面倒臭いんだけど」
「本当に血も涙も無いのだな。 もう我は復活しようとはせんから、そのまま死ぬだけだ。 ひと思いにやってくれ」
「まあそう言う事なら手伝ってやるよ」
どうしよう? 抵抗せずに死ぬってんなら、火葬くらいはしてやるべきだろうか? でもココじゃあ出来ないし。
「ヘル、ウォルターに言ってこの瓶を裏庭に移動してもらってくれ」
「了解ですぅ。 ウォルターに運ばせるのですぅ」
そう言ってヘルはウォルターに掛け合い、数人の使用人を連れてきた。
「領主様。 この瓶を裏庭に運ぶんですかい?」
「そうだが?」
「何だか、ブツブツ言っているのが聞こえるんですが?」
「気にするな。 ソレは喋る瓶なのだ」
「あっ、喋る瓶ですかい。 畏まりました。 他言無用って事ですね」
「おっ、おう」
何がか使用人は神妙な顔をされたが、何とか瓶を裏庭に移動し延焼が起こらない場所に設置する。
「この我が、人知れず滅ぶ事になるとはなぁ」
「まあ、そう言うモノだろ?」
「そうかも知れん」
そうして私達は邪神を火葬した。 因みに乾燥した邪神は良く燃えたとだけ言っておこう。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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