第149話 灼熱の魔女編 ~えっ? 肉片ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「これで全部か?」
「見つかったのはぁ、これで全部ですぅ」
ヘルの眷属たちが集めた肉片を見つめる幼女、ハイガンベイナ6歳です。
小さい肉片は鼠たちだけで何とかなったのだが、大きな肉片はワタリガラスに頼んで集めたモノだ。
「ウォルターに頼んで、大きめの瓶でも用意して貰って、そこに保管するとしよう」
「今すぐ焼却処分にはしないんですかぁ?」
「ああ、小さな肉片からも復活するなら、ミイラ男は複数存在する事になるからな。 まずはコイツの能力の検証からだな」
「でも何だか臭いですぅ」
「だな、ならこれ以上腐敗が進まない様に、大量の塩でもぶち込んでおくか」
ウォルターに人1人が入りそうな瓶を容易してもらい、ミイラの塩漬を作る私達。 うん、何をしているんだろうな。 水分を抜くための重石も必要なのだろうか?
「何だか漬物でも作っている気分ですぅ」
「だよな。 でもココを見てみろよ。 少し動いているぞ」
「あっ、なら塩は多めにしておくのですぅ ぱらぱら」
「おおぅ、ナメクジみたいに苦しんでいるぞっ!」
「うわぁー、面白いですぅ」
てな事で童心に返りながら、肉片で遊んで、重石をして放置していた。
◇
一週間後。
『わーはっはっはっ。 我、復活ぅぅぅーっ! てアレ? ココは何処だ? 棺桶か? しかも蓋が重くて動かないぞ。 おーい、誰か助けてくれーっ!』
「ベイナ様ぁ、漬物が何かしゃべっていますぅ」
「重石を追加してみようか? 熟成するかも知れないし」
「じゃあ持ってくるのですぅ」
『あっ、おい、外の者。 聞こえているなら助けてくれ! 望みの物を差し出すぞ!』
「で、何をくれるんだ?」
『むっ、そうだな。 我は近々魔王を討伐する予定なのだがな。 その魔王が持つ莫大な金銀財宝をくれてやろう』
「ベイナ様ぁ、追加の重石を持ってきましたぁ」
「ああ、漬物の上に追加してくれ」
「よいしょっとぉ。 こんな感じで良いですかぁ」
「ああ、十分だろう」
『うぎゃぁぁぁ~っ! 只でさえ少ない水分が排出されて干からびてしまうぅぅぅ~っ!』
◇
さらに一週間経過。
『みっ、水ぅ。 誰かぁ! 水をくれぇ!』
最初の頃よりは静かになったみたいだが、まだ要求を言う余力はあるみたいだ。
「ふむ、まだ元気みたいだな」
「そう言うと思ってぇ、追加の重石を用意しておきましたぁ」
「よし、追加してみてくれ」
「よいしょっとぉ」
『ぎょわぁ! 残り少ない水分がぁ!』
◇
『し、死ぬぅ。 死んでしまうぅ。 誰かぁ…。 誰でも良い…』
そろそろだろうか? 蓋を開けて確認してみる。 すると⅓程度に縮んだミイラ男の姿があった。 マジで干物だ。
だがそれでも生きているらしかったので、通常の儀式を行う。
「マジックスキャン」
「うぎゃぁぁぁ~っ!」
まだ悲鳴を上げる元気は残っているみたいだ。 どっかで聞いた声だと思っていたけどアイツだったのか。
「ヘル、面白いからコイツの頭を覗いてみないか?」
「そうですかぁ、それじゃぁ、マジックスキャン」
「ぎょばばばばぁ~っ」
「まぁ、この干物、邪神だったのですぅ」
そう、見る影もないが邪神なのである。
「よし、塩と重石を追加しよう」
「ですねぇ」
「待ってくれぇぇぇ~っ! これ以上干からびたくないんだぁぁぁ~っ!」
「いい大人なんだから好き嫌いは軽蔑されるぞ? 塩追加」
「ぎゃぁぁぁ~っ! 死ぬぅぅぅ~っ!」
大袈裟な奴だな。 人間は80%が水分って言われているんだぜ? って事は⅕までは脱水してOKってことじゃん。 まだまだイケるぞ。
「じゃぁ蓋と追加の重石を…」
「まっ、待て! 負けを認めるし、もう二度とお前たちには手を出さないと誓う!」
「このまま死ねば問題ないよね?」
「心を入れ替えたし、そもそも侵略の意図は無かったんだ」
「それにしては集落を襲撃して皆殺しにしてたみたいだが?」
「アレはやりたいって言ってた魔女に付き合っただけなんだぁ! 俺は悪くない!」
「いや普通に共犯だし」
「我はこの地に呪いを解きに来ただけなんだぁ!」
「呪い?」
コイツは何の事を言っているんだ? 呪いなんて私もヘルも使わないぞ。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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