第146話 灼熱の魔女編 ~えっ? 襲来ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「ベイナ様ぁ、襲撃ですぅ」
「はぁ?」
突然の知らせに戸惑う幼女、ハイガンベイナ6歳です。
『灼熱の魔女』さんの討伐宣言からは1ヶ月程経過している。 でも待てど暮らせど襲来する様子が無いので、少しダレていたのだ。
「で、何処が襲われているんだ?」
「近場の集落ですぅ」
ん? どゆこと?
私達を襲撃するなら直接ココを襲った方が良いハズだ。 て言うか、ワザワザ居場所を自白する意味が判らない。 何がしたいんだ?
「アムロさんの報告かな?」
「今回はぁ、ハヤトですぅ」
アムロやハヤトってのはヘルの眷属でワタリガラスの名前だ。 体長は1メートル近くもあり、上空からの監視を得意としている。
とは言っても上空からの監視では大規模な襲撃か、それこそ焼き討ちにでもされない限り発見は難しい。
「焼き討ちにでもされたのか?」
「最初は火事かとも思ったんですけどぉ、家を派手に放火している女がいたのでぇ、発見出来ましたぁ」
そうか、言わば放火テロってとこか。
「じゃぁ『灼熱の魔女』で間違いないと?」
「そう思いますぅ。 しかもミイラ男がセットですぅ」
何それ? ミイラ男? そんな知り合いはいないぞ。 使い魔だろうか?
まあ良い。 ならば迎撃に向かうべきなんだろうな。 でもその前に情報収集だ。
「ヘル、ハヤトとの感覚共有を頼む」
「了解ですぅ。 でもベイナ様とは密着する必要がありますよぉ」
そういや前回は手を繋いだんだっけか。
「はい、握手」
「あれは前回だけの特別サービスでぇ、今回からは粘膜接触になりましたぁ」
「何その値上げ!」
あれ? そんな事があるのか? てか粘膜接触って随分と不審なんだが?
「具体的には何をすれば良いんだ?」
「ベロちゅうですぅ。 これは必要な事なんですよぉ」
「いや…でも…」
「今は一刻を争う事態なんですよねぇ」
「それはそうだが…」
「良いんですかぁ? 手遅れになってもぉ」
「くっ、好きにしろ」
「では頂きますぅ♡ ぶちゅぅ」
ちょっ、激しすぎるんですが? 嫌ぁぁぁ~っ、長い舌が攻め込んで来るぅぅぅ~っ!
「ぐふふふふぅ~っ! これで後3年は戦えるですぅ」
「おぃ、感覚共有はどうした? てか何と戦っているんだ?」
「私はぁ、幼女エキスを吸収する事によりぃ、少しだけ若返るのですよぉ」
「えっ、そうなの?」
「だからぁ、常にベイナ様の汁を狙っているのですぅ」
「何その新事実!」
「だから今度は下の汁をぉ!」
「ちょっ、やめっ! イキナリ脱がそうとするんじゃなねぇ! げしげし」
「酷いですぅ。 こんなの生殺しですぅ。 こんなにムラムラしているのにぃ」
「どうしてで私が悪者みたいな扱いになっているんだ? てか感覚共有しろよ」
「仕方ないですぅ。 じゃぁ手を繋ぎますねぇ」
「結局吸われただけだった!」
今度はちゃんと手を繋いで感覚供給を行う。 おっ、見えてきたぞ。
集落の殆どの家は既に燃え尽きていた。 派手に放火してやがるな。
しかも示威行為と言うよりも、楽しんでいる感じだ。 随分と趣味が悪い。
これは誘い出すための罠だろうか? でもそれだと、我々が周辺の監視網を持っている事を知っている事になる。
無いな。 リアルタイムの監視網なんて私達以外には構築するのは難しいだろうし、この世界では非常識だ。
だとすると、焼き討ちを知った私達を悔しがらせる作戦だろうか? それも微妙だな。
大体死神のヘルは人間がいくら死のうが気になんてしないし、私だってこの国にそれ程愛着があるワケでもない。 いざとなったら捨ててしまう事すら考えているのだから。
それ以前に『灼熱の魔女』に思考として矛盾している気がするのだ。
「単なる快楽的な放火魔なのか?」
まあ良い、ミイラ男以外の戦力は連れていないみたいだし、そのまま迎撃に向かっても問題ないだろう。
「なあ、集落の出入り口が見える地点にハヤトを移動して貰えないか?」
「連中の監視はどうするんですかぁ?」
「一時的に中断する」
「と言うとぉ?」
「連中が出てきたところを狙撃しようかと思うんだ」
「ミイラ男ですかぁ?」
「まあな。 敵の能力が判明していない時点に接触するのは避けたいんだ。 念のために」
「了解ですぅ」
慎重過ぎるのかも知れないが、我々の安全に比べたら住民なんて重要じゃないからね。 我々は警察じゃぁないんだから。 しかも封建社会だし。
それに狙撃で事が済むなら一番簡単なのだ。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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