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第144話 聖王国編 ~えっ? 廃都ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「おおぅ、あれがメテオの魔術か」


 空から落ちてくる隕石いんせきを眺める幼女、ハイガンベイナ6歳です。


 私達は成層圏に近い上空から聖都を眺めている。 尤も、もうすぐ廃都になるのだが。


 空を切り裂く隕石は圧縮された空気をプラズマ化して纏い、一直線に教会を目指していた。


 たった一発とは言え、都市を壊滅させるには十分な大きさだ。 いや、近くで見るとマジでデカいな。


 スローモーションの様に教会に激突し、衝撃波が街の地殻をまくり上げる。 うん、ミルククラウンって言うんだっけか? あの光景に近いと思う。


 これが彗星ならツングースカ・バタフライみたいな模様になったのかも知れないが、今回は小惑星とも言える隕石の衝突だ。


 プラズマ化した衝突地点は衝撃波をき散らし、地面が波打ち地表の建物をはじき飛ばしていく。 こりゃあ生存者なんて望めないな。


 あの邪神のジジイは、余程私達を殺したかったらしいな。 まあ私達も転移を使えるので全て無駄に終わったのだが。


 むしろ巻き込まれた住民たちには同情を感じてしまうくらいだ。 ただし同情だけとも言えるケド。


 視界は最悪、全てが粉塵ふんじんの向こう側に沈み、成層圏まで舞い上がった砂埃すなぼこりしばらく晴れる事すらないだろう。


「なあ、あのジジイは死んだと思うか?」

「アレは異常なくらいシブトイのですぅ。 また会う機会があるかどうかは知りませんがぁ、きっと生きていると思いますぅ」

「だよなぁ」


 私も同意見だ。 あの手のタイプは生き汚いと相場が決まっているのだ。


 勿論、再会する可能性が無いのであれば何も問題は無い。 例えば何故か我々を逆恨みしていて襲ってくる場合を除いた限りだが。


 これで聖都はおしまいだろう。 何と言っても聖地の根拠である邪神が封印された地では無くなったのだ。


 無駄に都市を再開発するくらいなら、新たな都市でも建造した方が安上がりだと思うし、復活の目があるとは思えない。


 そして残る問題は不死身の聖女くらいなモノだが、居場所はおろか人相だって判らないのだ。 探し様も無い。


「帰るか、我が家に」

「そうですねぇ、ココにいてもぉ、やる事も無いですしぃ」

「ハトリやミーティアもそれで良いか?」

「ハトリも帰るのー」

『ちっ、殺しそこねたです』


 約一名不満がある様だが、いたし方あるまい。 そのままわが屋敷へと転移で帰る事にした。


「転移!」


 ◇


 あれから数日、我々はいつもの生活を送っている。 そう、いつもの生活だ。


「なぁウォルター、私達が不在の間に問題は起こらなかったか?」

「未処理の書類が増えました。 ですのでこの書類にもサインして下さい」

「本当にお前はブレないなっ!」


 あれからヘルは何度か元聖都に転移で行って調査をしたらしいのだが、クレーター以外はめぼしい物は見つからなかったそうだ。


 当然、邪神の所在は不明のままである。


 そしてハトリはミーティアを伴って領内のパトロール。 時々犯罪者などを成敗せいばいして、下町の救世主になってきているらしい。


 少女+マスコットは意外と印象に残るらしく、魔法少女みたいな扱いを受けているんだとか。


 まあ少々バイオレンス過ぎる印象もある2人だが、治安が悪いこの世界では思わず餌付えづけしたくなる程に人気らしい。


 もっとも、犯罪者やチンピラには悪夢の象徴らしいので、治安維持に関する貢献としては高いと言えるのだろう。


 素直過ぎるハトリに住民が悪影響でも及ぼさない限りは放置でいくつもりだ。


 そして残る私は、書類仕事。 おはようからおやすみまで書類仕事。 オヤツの時間は死守したのだが、トイレ休憩は時間制限付きなのが泣けてくる。


「なぁウォルター、週休二日くらいなら問題ないと思うんだ」

「これから一生、旅行とか連休とかが無しでも良いなら考慮しましょう」


「うぇーん。 ヘルぅ、ウォルターがいじめるんだぁ」

「おー、よちよちですぅ。 ウォルター、ベイナ様は幼女なのですからぁ、もう少し休みがあっても良いと思いますぅ」


「2週間の連続勤務の後には、ベイナ様との2人っきりの日をつくりましょう」


「ベイナ様ぁ、ガッツですぅ。 2人の明るい未来のために頑張ってぇください」

「買収されてんじゃねぇ!」


 やっぱりウォルターに勝てるヤツはいないみたいだ。 それで良いのか? 死神さん。


 そんな日々が続いたあるとき、妙な噂が聞こえてきた。


「なぁヘル。 知らない奴から宣戦布告されそうなんだが、何か知らないか?」

「えっとぉ、『灼熱しゃくねつの魔女』さんが魔王と死神を討伐するとか言う話ですかぁ? 私も知らない魔女ですぅ」

「だよなぁ、何処どこで恨みを買ったんだろう?」

「逆恨みとかぁ、ねたみって可能性もありますよぉ」

「マジで?」

「えぇ、ベイナ様の活躍にぃ、嫉妬しっとしたとか色々ですぅ」

「いや、アレはかかる火のを振り払っただけで、活躍とかそう言う話じゃないだろう」

「目立ちたい連中には一緒ですぅ」

「何その迷惑な理屈っ!」

「酷い話ですぅ。 ベイナ様に嫉妬して良いのは私だけですぅ」

「嫉妬のベクトルが違いそうだけどな」


 邪神や聖女の問題だって解決していないのに、『灼熱の魔女』とかお腹一杯だ。


 誰か代わってくれないかなぁ。



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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