第139話 聖王国編 ~えっ? 暖炉ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「ふぅ。 やっと出口か」
「暖炉に繋がっていたんですねぇ。 意外ですぅ」
暖炉から這い出す幼女、ハイガンベイナ6歳です。
「いや、意外ではないだろう? 秘密の脱出路なんだろうし」
「そう言うものですかぁ?」
「そう言うモノだろ?」
脱出路が見つかりやすい場所にあったら、色々とマズいだろうからね。
だがこの状況は私達に少しだけ有利だ。 何故なら取り囲まれないで済んだのだから。
それにここは応接室か何かの様で結構広く、暫く滞在しても問題無さそうだ。
「ちょっと時間を貰っても良いかな?」
「トイレですかぁ? だから出発前にしておきなさいとあれほど言ったのですぅ。 お飲みしましょうかぁ?」
「いや、トイレでもないし言われてもいねぇよっ! てかデフォルトで飲もうとするなっ! おぃ、脱がそうとするんじゃねぇよっ!」
まったく油断も隙も無いな。 一応敵地なんだが緊張する事が無いのだろうか?
「作りたいモノがあるんだよ」
「私との子供ですかぁ? 協力しますぅ」
「だから脱がそうとするんじゃねぇよっ! げしげし」
何とかヘルを引き剥がし、アイテムボックスから聖騎士の死体を取り出す。
「アンデッドですかぁ? 協力しますよぉ」
「陽動には悪くないアイデアだけど、取り敢えず必要なのはアダマンタイトなんだ」
「つまり、死体を剥くとぉ? ちょっとネクロフィリアはどうかと思いますぅ」
「そんな趣味は無ぇよっ!」
死体愛好者なんて、冗談でも笑えないので止めて貰いたい。 それに必要なのは鎧だけであって、下着までを剥くつもりは当然無い。
「何を作るんだすかぁ?」
「徹甲弾の弾頭だよ。 硬いだけじゃなくて面白い特性があっただろう?」
「魔法が効きにくいアレですかぁ? それに何の意味がぁ?」
「相手が結界を張った場合なんかの貫通弾に使えるんじゃないかと思ってな」
魔法が効きにくい原因は魔力を弾く特性があるんじゃないかと思っているんだ。 それなら魔力で出来ているシールド的なモノに打ち込んだ場合は貫通能力が期待できるからね。
てな事で、錬金術を使って徹甲弾作りを行う。 うをっ、マジで魔力の通りが悪い。
本来は錬金術ではなく、鍛造か鋳型で成型するんだろうけど道具も時間も無いからね。 私の有り余る魔力で蹂躙する様に成型していく。
そんなこんなで、10発の徹甲弾が出来上がった。 うん、中々の出来だ。 切り札にしよう。
「あっ、ついでに死体を作ってゾンビも作って貰えるか?」
「ゾンビは足が遅いですよぉ。 足手纏いになると思いますぅ」
「いや、混乱さえ引き起こせれば問題ない。 適当に徘徊させるだけでも意味はあると思う」
「そう言う事なら協力しますぅ。 クリエイトアンデッドぉ」
おおぅ、普通のゾンビだ。 やっぱり某作品みたいにデスナイトとかにはなってくれないんだな。
「少なくないですかぁ?」
「だな。 陽動にも不十分だろうか。 それなら処分に困っている死体が大量にあるので、纏めて出しておくか」
てな事で応接室の扉を開け放ち、死体を出して次々とゾンビを作成しておく。 てか、まだ在庫がタンマリあるな。 この際だ、全ての在庫を放出しよう。
作っては放流し、その繰り返し。 すると暫くしてあちこちで混乱する声が聞こえ始めた。
「うわっ、どうして教会の中にアンデッドがいるんだっ?」
「原因究明は後にしろ! それよりもありったけの聖水を持って来い!」
あっ、そう言えばココは教会だったわ。 そこら中にアンデッドの専門家だいたらしく、混乱が広がるよりも収集するスピードの方が早いらしい。
「ベイナ様はぁ、やっぱり抜けてますぅ」
「うっさいわっ! ちょっと忘れていただけじゃないかっ!」
「侵入者だぁ! 侵入者がいるぞぉ!」
「ほらぁ、結局取り囲まれる事になるんじゃないですかぁ」
「ゴメン。 反省してます。 エクスプロージョン!」
「ぎゃぁぁぁ~っ!」
「ベイナ様ぁ、建物の中ですよぉ。 爆発する魔術は控えた方が良いんじゃないですかぁ?」
「いや、たとえ崩壊したとしても他人の建物だろ? 少々崩れたくらいの方が、首脳部を捜し易くなるんじゃないか?」
「それもそうですねぇ。 じゃ私もするですぅ。 ギガ・エクスプロージョン!」
「ちょっ、限度ってものがあるだろうがっ!」
少しどころか、ちょっと外が見えてしまっている。 うん、突入した意味が無くなったかも知れん。
これでターゲットが生き埋めとかになっていたら、探しようが無いぞ。
まぁ良いか。 どうせ幹部の顔とか知らないんだし。
「ハトリも暴れるのー」
『ミーティアもやるです』
あっ、2人まで飛び出して行っちゃったよ。 まあ、団体行動とか苦手そうだもんね。 仕方がないか。
「じゃぁ、2人は出て行ったのでぇ、ここからはデートですねぇ」
「いや、デートじゃねぇし」
「いいじゃないですかぁ。 抱っこしてあげますからぁ」
「緊張感が無いなぁ」
「うふふふふぅ。 ラブラブな私達に平伏すのですぅ」
そうして私はヘルに抱っこされて瓦礫の中を散策する事にした。
「敵襲っ! 敵襲っ!」
「エクスプロージョン!」
これじゃぁ爆裂魔じゃん。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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