第127話 聖王国編 ~えっ? 温泉街ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「お嬢様、あと一息で御座いますよ」
「ちくしょーっ!」
書類仕事に勤しむ幼女、ハイガンベイナ6歳です。
旅立つ事を決意してから1ヶ月、私は書類に埋もれている。 埋もれ続けている。
もう紙とか見るのも嫌やねん。 おはようからお休みまで、いつも書類と格闘しとうねん。
もうね、右手とか意識しないでも何かを書いている状態なんだよ。 きっと自動書記とかこんな状態の事を言うんじゃないかと思う。
「お嬢様、手が止まっておりますよ」
「ホントに鬼だなっ!」
「ほら、これを終えれば旅行ですよ」
「いや、旅行じゃなくて遠征なんだけどな」
「行きたくないんですか?」
「行く! だから頑張る!」
「それで良いのですよ」
うんうんって感じで頷いているウォルター。 お前遠征の事、全然心配してないよね。 まあ何があるとも思えないケド、旅行じゃぁないんだけどな。
頑張ると言った以上はラストスパートしないとな。 私だって書類仕事には、もうウンザリしているんだし。
「思考分割マルチタスク、オバークロック・フルバースト!」
「おおぅ、お嬢様が本気だ!」
「ウォルター!」
「はい、次の書類です!」
次々と消えていく書類。 わははははっ! 今の私には書類なんて敵ではないのだ! どんどん持って来いっ!
「これで最後で御座います!」
「よっしゃぁぁぁ~っ!」
最後の書類を処理してガッツポーズ。 今の私は無敵だぁぁぁ~っ!
「じゃぁ衣装合わせをするのですぅ。 両手を上に挙げて下さいねぇ」
「うん! びしっ!」
「はーい、脱がしますよぉ! ぽぽーい」
「脱ぎ脱ぎ~っ!」
「今度はコレを着ましょうねぇ」
「わーい、おにゅーのお洋服だぁ」
「はーい、美人さんですよぉ。 何だか表現が古くさいですけどぉ」
「可愛い?」
「可愛いですよぉ、ベイナ様ぁ」
何だか着せ替え人形みたいな気分だが、私は何を着ても似合う、超絶美幼女だからな。 ヘルが私を着飾せる気分は分からんでもない。
姿見に映った自分を見てみる。 うん、これって「不思議の国のアリス」じゃね? いや、幼女だからお出かけ感が半端ねぇ。
皆、遠征だって事を忘れてないよね? こんだけ旅行気分ってどうなん?
「ママー、旅行楽しみなのー」
「おっ、おう。 お前もか」
あかん、誰一人として遠征だと認識してねぇ。 あっ、そうだ。 ミーティアはどうなんだ?
「なぁ、ミーティア」
『黙れペタン。 この旅行中はミーティアがママを独占するです』
まあ期待はしていなかったケドな。 てか味方がいねぇよ!
「あー、全員聞いて欲しい。 今回は一応、遠征なんだ。 場合によっては聖王国を滅ぼす、大きな戦いなんだよ」
「でも一応ですよねぇ。 今回の旅行では寝かせませんよぉ」
「ハトリもママを寝かせないのー」
『ママのおっぱいはミーティアのものです』
あれ? 全員、頭がピンクなの? もしかしてこの遠征は、私の貞操の危機だったりするの? 最大のピンチなの?
「で、遠征先のルートなんだが出来るだけ最短距離で行こうと思う」
「えーっ、ロルマの温泉街には立ち寄らないんですかぁ?」
「ハトリも温泉街に生きたいのー」
『ママとの温泉を邪魔するんじゃねぇです』
「はい、じゃぁ温泉街に立ち寄ってから、聖都を襲撃したいと思います」
「やったですぅ! 流石ベイナ様ですぅ」
「やったのー! ママと温泉なのー」
『最初からそう言っていれば良いのです』
「くっ、完全に旅行気分じゃねーか! おーし、こうなったら私も存分に楽しんでやる! 旅行ついでの侵攻じゃぁ!」
と、主目的が温泉旅行に変わり、私たちは旅に出る事になった。
いや、良いんだけどね。 これでも私が国王で、家臣たちは私を好き過ぎるだけなんだよ。 きっとそうだ。
「はぁい、良い子ですねぇ。 よちよち。 お手! みょんみょん♪」
「はい」 ちょん
うん、最初はヘルだって私がテイムして手下にしたハズだったんだけどね。 どう考えたって立場が逆転してね?
「なぁ、今更なんだけどヘルって私がテイムしたんだよなぁ。 どうして立場が逆転してるの?」
「えっ、気付いて無かったんですかぁ? あんなの即効でディスペルしちゃいましたよぉ」
「それならどうして私に付き合ってくれているんだ?」
「ああ、そんな事ですかぁ? それは調きょ…じゃなくて教い…じゃなくてぇ、仲良くしたら何だか楽しそうだったからですよぉ」
「今、不審な言葉が聞こえたんだが?」
あれ? もしかして私ってば、ヘルに調教されてるの?
みょんみょん♪
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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