第122話 閑話 ~勇者誕生~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
※胸糞展開です、ご注意下さい。
「それで、帝国軍はどうなった?」
「壊滅状態ですな。 僅かに生き残った者たちが、敗残兵として確認されております」
「やはり出兵は控えて正解であったか」
「その様ですな」
聖王国の首都エルザにある聖教会本部で、先の帝国軍遠征に関する報告が行われていた。
「確認するまでも無いかも知れないが、『魔王』はどうなった?」
「無論、健在ですよ。 そちら側には一切の損失が確認出来ないとか」
「一方的だな。 『魔王』が軍を有している情報は無かったと思うが? まさか魔王個人の力だけで退けたとでも言うのか?」
「現在は『魔王』ではなく『邪神』と名乗っているそうですが、仲間が数名確認されているだけですね。 しかもその1人が、独立宣言時に剣聖を屠ったとか」
「文字通り一騎当千の者だけで組織された集団か。 それで、そやつ等が我が国に牙を剥く可能性は?」
「無くは無いでしょうが、確率は低いでしょう。 元々防衛以外に裂ける戦力を有しているとは思えませんし、拠点を構えている以上、防衛は必要でしょう」
「ならば我らが取る選択肢は、暗殺か。 適任者はいるのか?」
「いなければ作れば良いのですよ。 表向きの暗殺者と、専門部署からの選抜で」
「『勇者』と暗部か」
「それが妥当でしょうな。 相手が大群でない以上、軍を派遣するなど愚の骨頂。 暗殺者で十分でしょう」
こうして勇者の選定が始まった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「それで決まった『勇者』がコレか?」
「ええ、見た目はアレですが、腕は立つとか。 おい、大司教様にご挨拶を」
「えっ、俺っすか? 俺が勇者に決まったラッシュだ…です」
「…まあ良い。 旅立つにあたって、何か望むモノはあるか?」
「何でも良いんすか?」
「可能な範囲であれば考慮しよう」
「なら女っすね。 ツレの魔術師が女だったんすけど、薬を使ってキメたら壊れちまって、新しいのを探しているんすよ」
「女の魔術師って事で良いのか?」
「あっ、ババアはダメっすよ。 若くて、出来れば新品の女が良いっす」
「熟練の魔術師は選べなくなるが?」
「それは構わないっすよ。 でも顔が良ければ最高っすね。 あと、感度の良い穴とかも最高っす」
「俗物だな。 それで用意すれば、魔王討伐は成功させられるのか?」
「アレっすよね。 魔王を名乗っている雌ガキだとか。 穴としての価値は無いって話っすけど、側近に良さそうなのがいるとか。 まあ余裕っすね。 俺、ガキにも容赦しない質なんで。 でも側近は好きに調教しても良いんすよね。 なら余裕っす」
「…判った。 年若い女の魔術師を用意しよう」
「アザっす。 それで雌ガキを処分したら何が貰えるんすか?」
「何が望みだ?」
「そうっすねぇ、女と金っすかね」
「成功の暁には、十分な量を用意すると約束しよう。 ただし、成功報酬だぞ」
「勿論っすよ、やだなぁ。 心配しなくってもちゃんと狩ってきますから。 何なら、生首とか持ち帰ったら増額とかありっすか?」
「『魔王』のモノであればな」
「なら持って帰るっす。 俺、ちょー約に立ちますよ。 期待して待っていて欲しいっす」
「もう良い。 下がるが良い」
「んじゃぁ、女と報酬の件、よろしくっす!」
「おい、もう少しマシなのはいなかったのか?」
「確かに言動は酷いモノですが、腕は確実に立つんですよ」
「本当か?」
「ええ、敵対するマフィアを潰して女を攫ったとか、娼館を襲撃して用心棒を虐殺したとか武勇伝には事欠かない様で」
「チンピラや用心棒と『魔王』を同列に考えて欲しくはないのだがな」
「いや、それが無傷でやり遂げたらしいんですよ。 やり方が特殊と言いますか、手段を選ばないと言いますか、まぁ賭けてみる価値はあると思いますよ」
「結果にだけ拘るタイプと言う事か?」
「まあそう言う言い方もできますね。 単純に女好きのサディストとも言えますが…」
「もしも成功するのであれば、儲けものと言ったところか」
「それに失っても何の損失にもなりませんからね。 相打ちにでもなってくれれば、処分の手間も省けますし」
「それなら、暗部からも人を出しておけ。 失敗した場合の処分と、あわよくば『魔王』の暗殺も可能かも知れんからな」
「そちらの人選は、コチラでしておきます」
「ではゴロツキ用の女も用意しておけ。 魔術など使えなくても構わん。 適当な場所で買い付けた女で十分だろう。 それらしい恰好をさせておけば、問題なかろうからな」
「ええ、それなら買い付けなどは行わなくて充分ですよ。 信仰のために娘を差し出す敬虔な信徒など数え切れない程にいますからな」
「無駄な消費などはするなよ」
「ええ、判っていますとも。 神の身許に出家する貴重な人材です。 二度と故郷の地を踏むことはありませんが、我々の役に立つのです。 本人たちも本望でありましょう」
「ならばそのように」
「仰せのままに、大司教様」
こうして娘が『勇者』に差し出され、一行はベイナが住まう、イーストウッド領に向かって出発した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ほら、さっさと歩けよバカ女。 まさかここまで使えないとは思わなかったぜ」
「勇者様、スミマセン、スミマセン、スミマセン」
「そりゃあ感度の良い穴を要求したのは俺だけどよぉ、魔術が使えないってどう言う事だよ」
「スミマセン、スミマセン、スミマセン」
「お前はもう黙っていろよ。 俺が要求した時だけ、股を開けば良いよ」
「スミマセン、スミマセン、スミマセン」
「うるせぇつってんだろ、クソ女! てめぇなんざ、穴以外に価値なんて無ぇんだからよ。 あ゛ん、何だよその目はよぉ」
「…」
「ちっ、とんだ外れクジだぜ。 こんな事なら、もう2~3人、要求しておくんだったぜ。 クソがっ」
「…勇者様、前方に魔物が現れました」
「黙っていろって言っただろうが。 あん、アレはグレイウルフか何かか?」
「スミマセン、断定できません」
「ちっ、本当に使えないな。 あっ、そうだ。 お前、アレの前に行って、気を引いてみろよ」
「えっ?」
「囮になれっつてんだよ! 気が向いたら退治してやるからよ」
「いや、でも…」
「つべこべ言ってんじゃねぇよ!」
そう言って女を殴り、足の腱を腰の刃物で傷付けた。
さらには髪の毛を持って女を引き摺り、グレイウルフに近付いていく。
「よし、ここで良いかな。 おーい、ワンコロ! 餌はここだぞー! 何なら使用済だけど、穴も使って良いからなー!」
「助けて下さい、勇者様! 私が何をしたって言うんですかっ!」
「いや、だってお前、使えないじゃん」
「お願いします! 助けて下さい! 何でもしますからっ!」
「ほら、アレだよ。 肉体相性の不一致的な? 俺はもうちょっと、泣き叫ぶタイプが好きなんだ。 おやっ、反抗的な目だな。 反抗期?」
「…地獄に落ちろ…」
「おおっ、イイねぇ。 その調子で餌になって、俺を楽しませてくれよ。 期待してるぜ☆」
「神様は、貴方を絶対に許しません! 必ず地獄に落ちますよ!」
「おぅ、じゃぁ神様とやらに会ったら、宜しく言っておいてくれよ。 あっ、ワンコロが近付いてきたから、遠くでお前を見守ってやるよ」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねェ~っ!」
「まぁ、死ぬのはお前だけどな」
その後、『勇者』は一人旅になった。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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