第117話 独立・建国編 ~えっ? 帝都蹂躙ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「【兵士達は皆死ね】」
「ぐはっ!」
苦悶の表情を浮かべながら死ぬ兵士を見る幼女、ハイガンベイナ4歳です。
ふむ、服装からして近衛兵だろうか? まあ、死ねば皆仏なのだが。
コイツらの死体はハトリの餌として役立って貰おう。 うん、便利な異能とか持っているかも知れないからね。
そう言えば文官はどうなんだろう? ハトリって戦闘系以外の異能も集めていたよね。 だったら貰っておくか。
「【文官たちも全員死ね】」
「うぐっ!」
こちらも似たような死に方なので、両方とも合わせてアイテムボックスへご招待。 大漁だなって、アレ? 何だか残った者たちの表情が凍りついているぞ。
「別にお前たちを殺すツモリは無い。 なぜなら軍勢を率いて、我が領へ攻め入って貰わなくてはならないからなっ!」
「…魔王め…」
「いや、お前たちが一方的に魔王呼ばわりしているだけで、別に魔王じゃぁないんだけれどな。 どちらかと言えば、邪神の方が正解に近いんだぞ」
「どちらにしても、災厄に近い存在には違うまい」
「一方的に喧嘩を売っておいて、災厄扱いか。 ならばもっと災厄っぽいことをしてやろう」
まあね、危機感を与える事が目的なのだから、この程度で止めるつもりはなかったんだよね。 だから窓辺に近づき、それっぽい呪文を唱える。 勿論文言は至って適当だ。
「風よ吹け。 嵐よ来れ。 幾億千万の雷でこの地の全てを貫き穿て」
そう言ってサンダーレインの魔術を発動する。 ただし範囲と威力と数はマシマシだ。
天を被う曇天から打ち下ろされる、数える事が出来ない程の雷が至る所に着弾する。 うん、ちょっとした終末みたいだ。
「はははははーっ! 我が力に恐れ戦くが良いっ!」
「ひぃぃぃぃ~っ!」
おっ、良いリアクションだね。 君、最高だよ。
しかもやっておいて何だが、ちっとも魔力が減らないんでやんの。 ちょっとした天変地異なら起こせるって謳い文句、本当だったんだな。
あっ、そうか。 私ってば本当にビックリするくらいに強くなっていたんだ。 だからハトリを無意識に守る対象に考える様になっていたんだな。
逆にハトリはそれを感じ取って、自分が不要な存在にならない様に焦っていたのか。 自分の事なのに、そんな事にも気が付かないなんてな。 ちょっと反省。
まあこれからはハトリは甘やかしつつ頼っていく方向で良いかな。 要は距離感の問題なんだろうし。 えっ、違う? 不器用な自覚はあるんだから責めないでくれ。
「お前はこの帝都を滅ぼすつもりなのか?」
「えっ?」
あちゃぁ、失敗失敗。 やり過ぎだったか? まあ謝るのはカッコ悪いので、全力で誤魔化す方向でいこう。
「滅ぼす? この程度でか? 大体帝都の半分の人間すら死んでおらんだろう?」
「悪魔め…」
ありゃ? 今度は悪魔にジョブチェンジ? まあ良いけど。
「何なら、帝都を蒸発させてやっても良いのだぞ?」
「くっ…」
これで十分かな? 後は念押しで教会の参戦を言い含めて置けば完璧なんじゃないかな。
「これで我に喧嘩を売った意味がわかったであろう?」
「どうしてここまでしておいて、領に攻め入る事を強要する? もう十分だと思うが?」
「禊だよ。 我はタダで許すほど優しい神ではないのでな」
「くそっ!」
「教会の者共にも必ず参加させるのだぞ。 ではサラバだ。 あーはっはっはっ!」
よし、転移で帰還だ!
両手を広げ、恰好を付けた状態で転移したのは失敗だった。
場所は自分の館の執務室。 そして複数の視線が集中する私。
「ベイナ様ぁ、楽しい事でもあったんですかぁ?」
「ママー、お帰りなのー。 それでそのポーズはどんな意味なのー?」
「くっ、殺せ」
ちゃうねん。 ちょっと調子に乗っていただけやねん。
だからそんな目で、私を見ないでぇ~っ!
「あっ、ハトリにお土産があるんだ」
「そんな事ではぁ、誤魔化せないのですぅ。 でも私にもお土産があるなら騙されてあげるのですぅ」
「ママ、お土産って何なのー?」
くっ、ヘルを煙に巻くのは失敗か? まあこのまま聞こえないフリで、何とかやり過ごせばどうにでもなるだろう。
「ならないのですよぉ。 でも本当に私にはお土産が無いんですかぁ? お留守番をしていたのにぃ?」
「スミマセン。 私が悪うございました」
「ならば私はぁ、一緒にお風呂に入ることで許しますぅ」
「うぅ、でも私にエロい事をするんじゃないのか?」
「えぇ~っ、ショックですぅ。 ハトリちゃんとは旅先で一緒にお風呂に入ったんですよねぇ。 仲間外れなんて酷いですぅ」
「くっ、判った。 今晩一緒に入ろう」
「ハトリも一緒にはいるのー」
このままオモチャになるのは確定なのか?
「大丈夫ですよぉ、ベイナ様。 オモチャになるのではなくぅ、ラブドールになるのですぅ」
「もっと酷いじゃぁないかっ!」
「うふふふふぅ、逃さないのですよぉ」
「ハトリも逃さないのぉ」
信じられるか? これでも人間に恐れられる幼女神なんだぜ。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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