第115話 独立・建国編 ~えっ? 剣聖ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「誰だ、お前は?」
「剣聖のマクドゥールだが?」
変なオッサンと見詰め合う幼女、ハイガンベイナ4歳です。
短く刈り込んだ頭にムサい無精髭、やや細マッチョに近い体型の怪しいヤツ。 そんな外見だ。
「怪しいヤツだな」
「変な幼女程には怪しくないけどな」
誰が怪しいねん! 酷い奴だ。 こんな脳筋は相手せずにに、アウトレンジから一方的にボコるに限るな。 近接戦闘タイプっぽいし。
「お前の相手をー」「ハトリがするのー」
「えっ? ちょっとハトリさん?」
「ハトリの相手なのー」
何言ってんの、この娘。 確かにハトリも近接戦闘タイプだけど、別に相手の土俵で戦う必要なんて無いよね?
「なぁ、ハトリ」
「ハトリが戦って、役に立つのー」
えっ、良いのかコレ。 戦わせるのも一つの手かも知れないが、無理にリスクを背負う必要も無いよね。
「なぁ」
「決定事項なのー」
「あっ、ハイ」
意思は固いみたいだな。 まあ、イザとなったら強制介入すれば良いだけか。 なるべくそうはしたくないケド。
「じゃぁ中庭で戦えば良いんじゃないか? 室内じゃあ戦えないだろ?」
「そうするのー」
まあね、パワーとスピードで上回っているハトリが有利なのは、開けた場所だろうからね。 わざわざ不利な条件で戦う必要なんて無いんだし。
「おい、オレが勝ったら人質は開放するんだろうな?」
「お前に意見する権利があるとでも思っているのか? だがまあ勝てたら考えてやるよ」
そう、勝てたらね。 別に相手はハトリだけだなんて言ってないし。
「とっとと窓から飛び出して、勝負でも試合でも好きにしろ」
「いや、オレは高いところはちょっと」
「怖いのか? 外見に見合わずチキンだな」「チキンなのー」
「チクショウ! 飛び降りりゃ良いんだろっ! 今飛び出すから、見ててやがれっ!」
「それ、とーべ、とーべ、とーべ、とーべ」
「待て、ちょっと心の準備をするからな。 押すなよ? 絶対に押すなよ!」
「ハトリ、これは押せと言っているのですよ」
「ちょっ、待っ」「せーの、どーん」
「うぎゃぁぁぁ~っ!」
漫画みたいなヤツだな。 いや、コメディアンか? あんなので剣聖が勤まるのだろうか?
「いくのー。 とおなのー」
「ぐふぇっ!」
ん? 今、カエルが潰れた様な音が聞こえたぞ。
「あれー。 いないのー」
「どきやがれっ! テメエの足の下だっ!」
「ゴミ? ぐりぐり」
「ちゃうわいっ! うわっ、ちょっ、やめっ!」
「ばっちぃのー」
「うっさいわっ!」
何やってんだコイツら? コントかな?
「全く、酷い目にあったぜ。 思わず目覚めるところだった」
「気持ち悪いのー」
「勘弁してくれ、泣けてくる」
「汚物は消毒なのー」
「わっ、ファイヤーボールとか投げてくるんじゃねぇよ。 それよりおっ始めようぜ」
「変態さんなのー?」
「ちげぇよ、殺し合いだよっ! テメエもそのつもりなんだろ?」
「当然なのー。 生かして帰さないのー」
「来ているのはお前たちなんだがな」
おっ、いよいよ殺し合いを始めるのかな? まぁ、ハトリの圧勝で終わりそうだけど。
ハトリはアイテムボックスからバスターソードを引き出して正眼に構える。 うん、構えだけは凄腕の剣士なんだよな。
「とーなのー」
「うぐっ、なんて重い打ち込みをしやがるんだ」
あれ? 今のを受け流したの? スピードものっていたし、パワーだって段違いのハズだよね。 どうして反応出来るの?
「とっ、とっ、とぉなのー」
「ぐっ、げっ、がっ!」
マグレじゃない? スピードは完全に負けているのに、どうして持ち堪えられるの? アレは後の先?
「やっ、やっ、やぁなのー」
「くっ、はっ、けっ!」
やっぱりだ、圧倒的な経験則を用いて、相手の僅かな動きから次の動作を予測して動いているんだ。 剣聖って伊達じゃぁなかったって事だよね。
だとすると、次に狙ってくるのはカウンターだろうか? ヤバいな、対応されてる。
あーもう、そんなパワーとスピードのゴリ押しじゃぁ、手痛い反撃を喰らってしまうよ。 くそっ、フェイントの概念とか無拍子とかを教えておくんだった。
「やーなのー」
「くっ、そりゃっ!」
なっ、ハトリの玉の肌に傷を付けただとぉ! 剣聖テメェ、絶対殺す!
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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