第101話 独立・建国編 ~えっ? 帝都ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
何かあったら助けてやると約束をした後に、転移で戻ってきました我が領に。
うん、実質的にはレイクフォレストを見捨てて帰って来たんだ。
いやね、オルレアン嬢は忙しそうだったし、新しい教皇役も見つからなかったからね。
それにマリアンヌが布教に熱心でなかった事もあって、信者なんて雀の涙だったのだよ。
まあ聖教徒を排除出来ただけでも良しとするさ。
だから隣町の事はスパッと忘れて、執務に勤しむ事にしたのだ。
「今帰ったぞ、ウォルター」
「お嬢様ぁーっ! このウォルター、お帰りを一日千秋の思いでお待ちししておりましたぞぉ!」
「おおぅ、そんなに私の事を思っていてくれたのか!」
「ええ、日に日に溜まっていく書類を眺めながら、お帰りを切望しておりました」
「あっ、ちょっと用事を思い出したので、旅に出ても良いかな?」
「逃しませんぞ」
ちくせう、罠だったか。
勿論少しくらいは仕事をする意志はあったのだが、忙殺なんて望んでいなかったんだよ。
てか、別に長期不在していたワケじゃないのに、どうしてそんなに書類が溜まっているんだ?
「大体何の書類だよ! 何かあったんなら、そっちの解決が先だろうがっ!」
「帝都に向かう為の前準備に御座います」
「はっ、帝都?」
「ええ、冬の間に帝都に赴き、領主交代の手続きなどを行う必要が御座いますので」
うげぇ、凄く面倒くさい。 それってアレだろ? 帝都まで馬車で数週間かけて移動するとかの。
しかも、空を飛んで行ったり、ショートカットしたりしたら問題になるとか言うパターンだったりするヤツ。
単純に爵位が必要なだけだったら、パッと行って皇帝をぶん殴ったら、くれるんじゃないのかな?
「ダメですぞ、お嬢様。 パッと行って皇帝をぶん殴るとか」
「んなっ! 貴様も心が読めるようになったのか?」
「口に出ておりましたぞ。 まあそうでなくとも、お嬢様は大変分かり易く御座いますからな」
「そんな残念な娘を見る目をするんじゃないっ!」
くそぅ、領主だぞ! 幼女神なんだぞ! 偉いんだぞ! もっと私を敬ってくれっ!
「よち、よちですぅ」
「何か凄くムカつくんだが?」
何だよ、ヘルまで。 ちょっとオッパイが大きいからって、生意気なんだよ!
「ママ、よしよし、ナデナデ」
「ハトリよ、止めてくれ。 その優しさは、私にはツラい」
ハトリにまで慰められると、流石に凹む。 うん、私の威厳は外出中みたいだ。 えっ、元から無い? うっさいわっ!
大体からして、爵位を持つメリットって何だろう?
偉そうに出来る? 領主な幼女神だから、それなりにイキれるぞ。 別に嬉しくないし。
もしも爵位持ちにマウントを取られるなら、暴力で取り返せるし、そこらへんはメリットとは言えないな。
じゃぁ後は、爵位持ちや令息と結婚出来る事くらいか? 結婚なんてする気が無いぞ。
爵位ってば王族や皇族が保証する地位ってだけで、徴税権とその土地を収める義務が生じる。
それに上からの命令には従う必要があるし、場合によっては上納金なんてのも必要だ。 それに治世に失敗すると、爵位の没収なんてのものあるんだよな。
そう考えると、伯爵って会社で言う部長くらいだろうか? 中間管理職よりはマシなのかも知れないが、メリットって薄い気がする。
まあメリットの一つの内、他国からの侵略には国からの援助があるとは言え、この世界だと初動が無茶苦茶に遅いし、間に合わない場合は、簡単に見捨てられたりするんだよな。
それに侵略者の迎撃なら自力で簡単に跳ね返せそうだし、辺境伯じゃないんだから、他国からは攻められる可能性すら低い。
寧ろ他領の策略で攻められる可能性の方が多いんだし、その場合だって、自力で解決するのなら、メリットにさえならないしな。
そもそも国に属するメリットはあるのだろうか? 圧倒的な武力さえあれば、大抵の事は解決出来る気がする。
逆に、ウチの弱点って何だろう? 通商妨害なら、コテンパンにすれば解決だし、財政はそれ程悪くはない。 まあ畑を多く所有しているからね。
それに奥の手としては、私達で他領を襲撃するなんて方法もある。 まあそんな盗賊みたいなマネなんて、極力しない予定だけど。
とは言え侵略戦争なんて、国がやる盗賊行為だから、現実的には起こり得る事ではあるけどね。
勿論、逆侵攻は否定しないよ。 やられたらやり返さないと、相手が調子に乗るダケだし、個人的には倍返しがデフォだと思っているから。
あ、そう言えば防御力に関してはどうなんだろう。 私達3人じゃあ拠点防衛なんて無理筋なのではなかろうか?
いや、それ以前に諜報とか情報収集に問題があるんじゃないか? 北部の問題だって、私が気付いたワケだし。
「なあウォルター。 ウチって諜報部隊とか存在するのか?」
「いえ、情報は商人や教会に依存していましたから、独自のモノはありませんぞ」
「おうふっ」
なる程、つまり今のウチは、情報源が存在しないって事だよな。 諜報戦とか仕掛けられたら一発で詰みそうだな。 どんすんべ。
情報収集か。 諜報部なんて今から訓練していたら、いつまで掛かるんだ?
いや待て、そう言えば教会を襲撃した場合には、ハトリの子蜘蛛が役に立ったんだっけか? 人化した今でも利用できるのだろうか?
「なあハトリ、以前教会を襲撃した時に使った子蜘蛛って用意出来る?」
「出来るのー。 何匹必要なのー?」
「うーん、沢山?」
「好きなだけ出せるのー」
うそ、マジっすか。 ハトリの有能さが止まる所をしらない件について。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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